お前の隣は続編 | ナノ

異変に気づく

ちひろの様子がおかしい。
いや、ちひろ自体がおかしいわけではなくて、ちひろの周りが何か変だ。

休み時間に俺達の教室へまだ一回も来てないし、今は昼休みだってのにそれでも来ていない。
昼休みだけは必ず短時間でも来てたちひろが、来ない。
さすがにそれはおかしいってことで、倉持も心配して一緒にちひろのクラスへと向かったんだ。

「あれ、教室にもいねぇぞどこ行ったんだちひろの奴」

「…なあおい、山手ちひろ知らねぇ?」

「ちひろ?うーん分かんない、さっきまではいたんだけどねー」

「2人してお迎え?愛されてるねーちひろちゃん」

くすくす笑いながらこれ以上自分達には聞くなとばかりに去っていく目の前の女子。
それがやけに不自然に感じて、他の奴にも聞いてみることにした。

「なあ、ちひろ見てない?」

「うーん、さっきまでは居たんだけど」

「ちひろちゃんどこか知ってたら教えろ」

「なんでそんな偉そうなのよ倉持のくせに。
山手さんならさっき教室から出てったよクラスの子と一緒に」

「それどこ行ったか分からねぇか?分からなくても、ちひろ達の会話とか聞いてない?」

「うーん…会話までは聞いてないなーでもなんか雰囲気はあんまりよくなかったなあ」

ちひろがクラスの奴に連れられて出ていった?なんでだ、今までこんなことなかったろ。
わざわざ教室じゃないとこへ移動するってことは周りには見られたくない内容だってことだよな。

「おい御幸、やばいんじゃねぇのこれ」

「分かってる。けど探す当てがないんじゃどうしようもないだろ。
昼休みの時間は限られてる、がむしゃらに探すだけじゃ見つからない」

「んじゃどうすんだよ!」

どうする?そんなの俺が分かるわけがない。

…考えろ、考えるんだ。

十分に時間がないのは探す俺達もそうだが、ちひろ達も同じ。
ってことは人目のつかない場所といってもそう遠いところまでは行かないはずだ。つまり体育館裏だとか、そういう一旦外へ出るような場所へは行かないだろう。

じゃあ、行く場所は校舎内に限られる。
しかも校舎内で人目のつかない場所なんて、さらに限定される。

候補を挙げるとすれば…

「可能性が高いのは、この階の端にある使われなくなった教室か、屋上へ行く階段だ」

「よし!んじゃ俺は屋上の方へ行く!
お前はここから近い教室に行け!見つけたら連絡入れろよ!」

「…あぁ、頼んだ倉持」

何も起こってないでくれよ…ちひろ…!
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