「…まっ、いちごの着目点の良さは認めるけど…それがあっても尚、私のプリンには到底敵わなかったってことよね。」

「あ、あはは…。」

「流石なまえちゃん、ポジティブな解釈だね。」

「まあ、何にせよ…良かったよな!」

「これで、小城さんと組まなくて良くなったんだね!」

「なんかちょっと怖かったけどな…。」



「うふふ、シャトー製菓を敵に回してしまったかしら?」

「天王寺会長!」



夕焼け空の下で、美しい長髪を揺らしながらやってきた天王寺会長は、相変わらず気品溢れる笑みを浮かべながら言った。



「でも、きっと大丈夫ね。あなた達なら…」

「「ふぇ?」」

「だって、5人共。スイーツスピリッツが付いているんですもの。」

「「「「ええええええええ?!」」」」


「どんなケーキを見せてくれるか楽しみだわ。……グランプリでお会いしましょう。」



そう言い残すと、天王寺会長は優雅に立ち去っていく。……本当に綺麗な人ね、天王寺会長。まるで、スイーツの女王様みたいだわ。

天王寺会長にもスイーツスピリッツが付いていたことに、未だ興奮を隠し切れないいちごは「すごいすごいすごーい!」と目をキラキラ輝かせた。そんな彼女の様子に、私は首を横に傾ける。
確かに他のスイーツスピリッツに会えたことは驚いたけれど、あの天王寺会長だもの。別にいても、おかしくはないじゃない?


すると、安堂くんが「忘れないうちにプリンの基本をしっかり復習しておいたほうが良いんじゃないかな?」といちごに提案した。それに花房くんも同意する。しかし、天王寺会長に認められたのだと喜ぶいちごは、全然聞く耳を持たなかった。



「大丈夫よ!今だって出来たんだから。私だって立派なAグループの一員なんだもの!」

「「「……………。」」」


「私、皆と一緒にグランプリに出る!そして、ぜーったい優勝してみせる!!!」



ああ、これじゃあ…



「……残念だけど、今の君とは1回戦突破は無理だよ。」

「………え、」


「グランプリの世界は厳しいんだ。努力を惜しんで勝てると思ったら大間違いだよ。」

「お前、ちょっと上手に出来たくらいで浮かれ過ぎなんだよ。」

「っどうして…?」



「いちご。」

「なまえちゃんっ、」

「それでパティシエールになろうだなんて、考えが甘すぎよ。悪いけど、今のあなたとはチームを組めないわ。」



私達はそう言うと、いちごを残してその場を後にした。


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