友情

40

破壊された機械に割れたガラス、壁と床には銃痕、亀裂、大量の壊れたロボットがバチバチと音を立てながら転がっていた。

「私62体ネ」
「…58」

ニヤリと笑う神楽に不機嫌そうに刀を納める沖田。そんな亜麻色を見て神楽は肩に傘を担ぎながら鼻で笑った。

「また私の勝ちネ」
「飛び道具は卑怯でィ」
「負け犬の遠吠えにしか聞こえないアルー」

そう言いながら神楽はくるりと回り小躍りする。沖田はそんな神楽を一瞥すると突如体ごと振り返り拳を握り肘を引く。

「ジャンケン…!」
「ポン!!」

神楽はチョキ、沖田はパー。

「…」
「そうアルカ、そんな些細な勝ちも欲しいアルカ」

神楽は両膝に手を置きうなだれる亜麻色頭をポンポンと叩く。

「土方の呪いでさァ!あれから全然調子出ねェ!スランプでィ」

上体を起こし自分に背を向け歩き出す沖田を見て神楽は何だか新鮮な気分になる。いつも引き分けだったのでこう拗ねられるのは初めてだ。

プッと笑うと「たまにはこういうのも良いアルネ」と呟き神楽は不機嫌オーラを放つ背を追った。











夜の江戸の町を二人の男が歩いていた。

「あぁ、武田にでも渡しておいてくれ。ご苦労だった。あ、それとあのハゲに切腹しろと言っておけ。帰ったら俺が介錯してやる」

そう言い終わると土方は電話を切った。電話の内容を側で聞いていた近藤は安堵の溜め息を吐く。

「原田無事だったのか。良かった…って、え?切腹?しかもトシが帰るまで腹切ったまま放置?」
「明日の朝には総悟や万事屋の娘の冤罪を晴らせるだろう。ったくあのバカ、少しぐらい待てなかったのか」

土方は顔をしかめ黒髪を掻いた。

「チャイナさんもいないとなると…まさか…」
「多分そのまさかだろうな」

土方と近藤はまず万事屋に沖田がいるかもしれないと思い訪ねて行った。ちょうど銀時と新八が出てきたので聞いてみると朝に沖田は来ていたのだが二人が用事で外出、夕方になって帰宅すると神楽と共にいなくなったとの事。それで自分達も今から探しに行くのだと言っていた。

「……トシ、まだ怒っているのか?」
「………その捨てられたゴリラのような目で見るのはやめてくれ」
「ゴリラってそう捨てられてるもん?!」

若干涙目で訴えてくる上司を見てハァと溜め息を吐いた。

沖田は夢幻がある場所は知らない。行くとしたら一ヶ月前に勝手に潜入したという場所だろう。朝までに上から夢幻の所長を捕まえる為の許可をもらい早朝にでも突入してみようか。

「あ!」

近藤の声に考え込んでいた土方が顔を上げる。

「?」
「総悟」

近藤が見つめている方を見ると橋の下の川原に亜麻色頭が立っていた。

「何してんだ?あいつ」

神山の話によるとペンギンの被り物をしていたと言っていたが今はしていないようだ。幕府の者に見られたらどうするんだ、土方は顔をしかめ橋を渡りかかった足を止める。

「総悟!!」

土方が橋の上から呼んでみるが見向きもしない。チッと舌打ちをすると橋の柵を乗り越え川原へ降り立った。続いて近藤も降り立つ。

「コラ!無視とは良い度胸だなぁ?」
「総悟、心配したぞ」

亜麻色が無表情で振り返る。

「!」

何か違う。無表情はいつもの事だが、醸し出す雰囲気が違うのだ。長年一緒に居るからこそ分かる。
目の前の者は何も感じ取れない――ロボットのような、






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