友情



「お前等が何アル?銀ちゃん」


土方達が居る公園から程良く離れた後、神楽は酢昆布をしゃぶりながら銀時に聞いた。死んだ魚のような目で桃色を見ると「あぁ」と呟く。

「いつも引き分けにして勝負を長引かせているのかと思った」
「ハァ?!」

神楽は誰が見ても14歳の少女とは思えない変顔になり声を上げる。

「そんなのして何になるネ」
「また沖田君と喧嘩すんの?」

何でそんな事を聞いてくるんだ、この天パは。神楽は怪訝な顔をした。

「当たり前アル。アイツは負けたまんまでいるアホじゃないネ。仕方ないから相手してやるヨ」

銀時はニヤリと口元を上げ「あぁそぉ?」と言い、

「関係なかったんだ」

と、前を向く。

そんな銀時に神楽は変な物を見るように眉をピクピクと上下に動かし後退りをした。

「…銀ちゃん…糖分取りすぎてお菓子になったアルカ?」
「それを言うならおかしくなったでしょォ?!いや、おかしくもないけど?!」

神楽の方を向いて突っ込むと銀時はゴホンと咳払いをし、再び前を向く。

「新八が買い物行こうって言ってたぞ」
「行くアルー!卵掛けご飯には新鮮な卵が一番ネ!」
「えぇ?!もしかしてそれ晩飯のメニュー?!」

嬉しそうに腕を伸ばし言う神楽の方を再び向いて突っ込んだ。







「なぁ、何でいつも喧嘩してんの?」

銀時達が去った後、二人は二時間程市中を見回る。屯所へ帰る車の中、助手席の前に足を放り出しふてくされる亜麻色の子供を見た。

「…別に。気に食わないんでさァ」

運転席を見ず窓の外に顔をやったままボソッ呟く程度に答える。

「本当に気に食わなかったら相手にしないと思うがな」
「何が言いたいんでィ」

無表情のまま沖田はギロリと土方を睨む。

「良い遊び相手だな」
「…その遊びで公共物壊して良いんですかィ?」
「良いわけねぇだろ。また役所から文句言われると思うと頭痛いわ」
「そのまま弾けて死ね土方」

そう言うと再び窓の外を見た。


死ね発言に一々言い返しているとこっちが疲れてくる。土方はフーと紫煙を吐きラジオの局番を変えようとダイヤルに手を伸ばした。


『――…ガッ……』


ダイヤルの近くにあった無線機のランプが光る。土方の手が止まった。


『大江戸病院から東、狭い路地裏で人が殺されているとの通報。近くを巡回中の隊士は至急行って下さい…――』


「事件か」

伸ばした手をダイヤルではなく無線機に持って行き手に取った。

「こちら土方。今行く。今日その辺りは十番隊だろ」
『分かってらぁ!行きますよ!』

土方の言葉にすぐさま原田の荒々しい声が無線機から聞こえた。


「事件ですかィ」
「そうみたいだな」






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