友情



新しい年を迎え半月が経った。

公園では木枯らしが吹く寒空の中にも関わらず元気にはしゃぐ子供達の声が聞こえる。




「死ねェ!チャイナァァ!!」
「お前が死ねヨ!地に還るヨロシ!」

亜麻色が一刀すると桃色が飛ぶ。桃色が鉛弾を飛ばすと亜麻色が弾く。

「元気にはしゃぎすぎだァァ!!クソガキどもォォォ!!!」

パトカーのドアを壊す勢いで閉め煙草を加えた黒髪の男が叫ぶ。

「てめぇらはいつもいつも…ぎゃあぁ!!!」

黒髪の足下にバズーカの弾が撃ち込まれたが間一髪で避けた。立っていた場所からは白い煙が立ち上る。

「邪魔するな。土方」
「総悟ォォ!!てめぇ!!!」

青筋を立てる土方に沖田はべーと舌を出した。その後ろをチャイナ服を着た少女が飛ぶ。

「よそ見するんじゃないネ」
「!」

沖田が振り向くと番傘を桃色頭の横まで振り上げた神楽の姿が目に入る。咄嗟に鍔で防ごうとするが間に合わず柄の頭を掠り肩の辺りを殴られ吹っ飛んだ。

土煙を上げ地面を滑る。

「…ってェ!!」

顔を歪め殴られた個所を押さえながら起き上がろうとする沖田の額に銃口が当たる。

「わ!」

冷たい鉄の感触に押され再び仰向けに倒れた。

神楽はそれを見ると沖田に向けていた傘を肩に担ぎフフンと鼻を鳴らしながら見下す。

「戦いの途中でよそ見するバカがどこにいるネ。今日は私の勝ちアル」

そう言うと傘を広げて差し「ホホホー」と口に手を当て高笑いをした。

「…っ!…土方のせいでィ!死ね!!鏡餅丸飲みして死ね!!」

ガバッと勢いよく起き上がると隣に立っていた土方を睨みつけながら叫ぶ。

「いや、あれ止めるのが普通だろ!こちらとしては喧嘩が終わって万々歳だ!バカ!!」
「トッシーは悪くないネ。お前が弱いから悪いアル」

眉間に皺を寄せ叫ぶ土方の横で神楽は上機嫌で酢昆布一枚を取り出し「勝利の後の一枚は格別アルー」と言い口に入れる。
その姿に沖田はムッと口をヘの字に曲げ立ち上がった。

「チャイナ!もういっ」
「待てコラ」

刀を持ち再戦を申し込もうとした沖田の襟元を土方が掴む。

「お前勤務中だろ」
「…」

沖田は紫煙を吐きながら睨む土方を横目で見、チッと舌打ちをした。

神楽はそんな二人を横目でちらりと見ると手を上下に振り「さっさと行くヨロシ」と言ったその時、

「コラ!神楽」
「あ、銀ちゃん!」

声がした方を振り返るとそこには曲のある銀髪が立っていた。

「まぁた喧嘩してたのか?いつもいつもよくやるなぁ」
「今日は勝ったネ!」
「…へぇ、勝負がつく時ってあるんだ」

神楽の言葉に銀時は意外だったようで目を丸くする。その銀時の言葉に神楽も目を丸くしきょとんとした。

「だっていつもお前等」
「オイ万事屋」

銀時の言葉を青筋を立てた土方が遮る。土方は親指を立て半壊された公園の遊具を差した。

「これの弁償を」
「あ!虎模様のマヨネーズが空を飛んでいる!!」
「何?!」

銀時が上空を指差す。土方が見上げると真っ青な冬の空が広がり天人達が持ってきた鉄の固まりが飛んでいた。

もちろんマヨネーズなど飛んではいないし銀時達もいなくなっている。




「…」
「…バッカじゃね?」

未だ襟元を掴まれている沖田がボソッと呟いた。






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