家族

35

「一年前、陽紀が五十嵐の籍に入る為には邪魔な五十嵐の妻を殺害。娘を人質に真選組捜査を止めさせついでに籍も入れさす。んでここ最近のグロい猟奇事件は娘が石を使って起こしていた。その石とは陽紀の父が強い人造人間を作る過程でできた物。陽紀が娘を主従関係が必要となる石の主人にする。陽紀父はその経過を見、データを取る。娘を実験台にしたわけだな。で、何かバレそうになったんで陽紀父の職権乱用で捜査中止。娘は石に乗っ取られる。薄々娘の異変に気付いてた五十嵐が松平に助けを求める………沖田君」


「何ですかィ?旦那」
「脳が糖分を必要としている」
「どうぞ」
「ありがとう」

銀時は差し出された飴を受け取る。包み紙を開け中身の飴玉を取り出し口に放り込んだ。

「…何だかただの事件を通り越しているのは銀さんの気のせいかな?」
「そうですねィ。いっその事木の精となって飛んで行きたいでさァ」
「行けよ。ネバーランドでもどこでも」

ゴロゴロと飴玉を口の中に転がしながら頭の後ろに両手をやり足を組んだ。

「これ、どうやったら解決できんの?」
「うーん。その石の力をどうやって止めるかですねィ。何とか娘を元に戻して…陽紀を叩きのめして…あわよくば爺も」
「うまくいくかね」
「まぁ…五十嵐親子を普通の家庭に戻す事ができればとりあえずそれでオッケーですねィ。今は捜査が止められている以上捕まえられねェ。またそのうち俺がぶち殺してくれまさァ」

その言葉を聞き銀時が顔をしかめる。

「沖田君って上にも下にも就けないっつーか…会社とか組織に身を置くには向かない子だよね」
「俺も万事屋開業しましょうかねィ」
「え?!ライバル店出現ですか??!!ただでさえ仕事ねぇのに止めてェェ!!」

ニヤリと笑う沖田に焦る銀時は叫んだ。

「…近藤さんがいる限りそれはありやせん」

ズズと茶を啜る沖田に傍で聞いていた神楽が傘の銃口を向ける。

「やっぱり万事屋乗っ取るつもりアルナ?!そうなる前に今ここでぶち殺してくれるネ!!」
「ココアパウダーでむせ死ねチャイナ」
「あぁぁん??!!」
「神楽ちゃん!落ち着いて!」

新八は今にも沖田に殴りかかりそうな神楽を羽交い締めにして止める。

「今俺のとこの隊長二人が石が作られた研究所に潜入しているんでさァ。刀では斬れなかったみたいですが完璧なもんなんて作れやしやせん。何か穴がある筈…」

そこで沖田は溜め息を吐くと「まだ帰って来ないんですがねィ」と続けた。

「……沖田君。銀さんそんなとこ行かないよ」

嫌な予感がしたのか銀時は沖田に言う。

「安心して下せェ。俺はどこにあるか知りやせん。そんなとこの場所知っているのは山崎ともう一人今行ってる隊長ぐらいなもんでさァ」

武田が名前を知っている事でさえ驚いたのに。

「へぇ…ジミー君って結構できる子なんだ」
「地味は地味なりにねィ…」

二人は目線を横にやる。その先には眼鏡をかけた少年がいた。

「…え?何で二人とも僕を見ているんですか?…ん?神楽ちゃんまで?何?ただの眼鏡とか思ってんのォォ?!」
「そんな事ねぇよ。お前も良いとこあるじゃねーか。眼鏡とか眼鏡とか眼鏡とか」
「世界で一つだけの眼鏡でさァ。オンリー眼鏡でィ」
「新八。落ち込む事ないネ。眼鏡の中の眼鏡になれば良いアル」
「それ結局眼鏡だけでしょォォォ???!!!つか眼鏡を連呼してるだけでしょォォォ???!!!」

新八の突っ込みが万事屋に響き渡った。





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