家族

23

「私にまかせるネ」

神楽が傘の先端から弾を発射させ石像に数十発の銃痕をつける。動きが鈍ったところを石像に向かって飛び傘を横に構え胸に電光のような突きを食らわした。

地響きを鳴らし石像は仰向けに倒れる。
神楽は宙返りをし地面に降り立つと傘を肩に担ぎ石像を見下ろした。

「フフーン!私は将来宇宙一のえいりあんはんたーになる女ネ!こんな石の固まりなんて神楽様の一撃で」

終わりアル、と言おうとした瞬間、石像の手が伸び神楽を襲う。それを横に飛んで避けると巨大な針のような岩が逃げる神楽を追うように次々と地面から飛び出してくる。

「わ!わ!わ!」

屋根の上に飛んで逃げた所でようやく収まった。

「…一撃が…何?」
「…お、お前等の分も残しておいてやったアル。感謝するがヨロシ」

神楽は下にいる沖田にジッと見られフンと顔を横にする。そこへ銀時がやってきて上にいる神楽に向かって言った。

「神楽。こういうのは連鎖が基本になるんだぜ。モンハンでもデカい竜倒すには他プレイヤーとの協力プレイが必須だろ?」
「旦那、俺は如何にして他プレイヤーの剥ぎ取りを邪魔するかに命賭けてるからよく分かりやせん」
「…後でID教えて。ブラリするから」


石像が起き上がり近くにあった大木を手に取り引き抜く。それを銀時達に向かって振り降ろした。それを神楽は後ろへ飛び沖田と銀時は横へ飛んで避ける。先程まで神楽がいた屋根は瓦が割れる音を立て大木がめり込んだ。

銀時が叫ぶ。

「分かったか?!三人で連鎖するんだぞ!!」
「分かったアル」

別の建物の屋根の上にいる神楽が返事をした。

「旦那、土方さんみたいでさァ」

地面に着地した沖田は両手で刀を持ち構える。

神楽が屋根からめり込んだ大木へ飛び降りその上を走る。石像の目の前まで来ると飛び頭の上に着地、そのまま傘を縦にし振り上げ「うりゃあぁぁ!!!」と、勢いよく突き刺した。

ぐらり、とよろめくと銀時が足に向かって一刀する。
足を払われた石像はそのまま地響きを鳴らし仰向けに転倒すると神楽が再び空高く飛び近くの大木の枝に捕まり勢いに乗ってくるっと回転し別の枝に飛び乗った。
沖田が石像の体の上まで走り飛び刀の峰を首の後ろまで持っていくと石像の体の中心を目掛け「思いっ切り行きますぜィ」と、強烈な一打を浴びせる。風圧と共にビシビシとひびが入った。
体の上に着地し直ぐ様後ろへ飛ぶと、神楽が大木を蹴って宙返りをしひびの入った体に銃口を向け集中砲火を浴びせた。
激しい銃声と共に石が砕ける音がする。小石が飛び散り体に穴が空き始めた。ボロボロになった体の上に神楽が着地すると横から銀時が飛びだす。

「これで最後かぁ??!!」

と叫び石像の体を両断するかのように木刀を叩きつけた。

風圧も加え石像の体が二つに割れていく。

銀時が叩きつける前に瓦礫の上に避難した神楽は「おー」と目を大きく開けてその光景見ていた。

「これで終わりならいいんですがねィ」
「えっ?!もしかして上半身と下半身が分かれて攻撃してくるあれ?真っ二つにしたの失敗だった?だってあの流れはどう考えたって二つに割れって感じだったじゃん」

腰に手を当て石像を見て言う沖田に銀時は慌てる。

「あ!」

神楽が声を上げた。
石像が徐々に砂と化していく。その砂は風に流され石像は跡形もなく消え去った。
それを見、沖田は溜め息をつき刀を鞘に納める。

「何でィ。外見とは裏腹に意外にあっさりしてやしたねィ」
「これから先もあんなの出てくるのか?勘弁してくれよー」

銀髪をボリボリと掻き肩を鳴らした。

「ゴールドはどこに落ちてるアルカ?!」

神楽は石像があった場所へ行き地面を這いながら何かを探している。







「僕…どこの世界に迷い込んだのかな?」

呆然とその光景を見る眼鏡の少年はそう呟いた。





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