Diary
▼ 雪葬
初めて雪を真綿のようだと思った。僕の体だったものは、ひっそりと静かに、白い褥に沈められる。冷たい。僕のたましいは、降る雪に溶け合うように、体から乖離した。ぱさりぱさりと、僕が少しずつ雪に埋もれる。どうか愛しい君よ、触れないでくれ。君の仄かに熱い体温で、僕のたましいは滲んでしまう。
(130110)
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2013/01/17 (08:29)
▼ 空葬
遥か空の彼方から、極彩色の使者がやって来る。羽搏きと共に、夜明けと共に。さあ食いちぎれ。その腹を満たせ。私の凡ては、天上へ行くのだ。私の体を、骨を、たましいを連れて行け。私は啄まれ、飲み込まれ、千々に別れる。そうだ、小さく軽くなくては、天には昇れない。私のたましいは空へ行くのだ。
(130110)
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2013/01/17 (08:28)
▼ 風葬
ざらざらと、砂のように崩れるのは何だ。それはかつて私と呼ばれたもの。ゆっくりと、目に見えないものに蝕まれて私は無になる。私のたましいも同じように、この世から少しづつ削り取られていく。置いて行かないで。一人にしないで。怖い。怖い。零れた砂のように、何も考えられなくなるのが何よりも。
(130110)
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2013/01/17 (08:27)
▼ 土葬
私のたましいは静かに目を覚ました。此処は冷たい土の下。嗚呼、命が蠢いていると思った。下へ、下へと、幾つもの命が生まれては沈んでいく。私もその内、真っ白な骨になり、洗われたたましいとなり彼の国へ。土の底は一体何処へ通じているだろう。夢想は止まぬ。その時まで暫し、囂しく静かな眠りを。
(130110)
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2013/01/17 (08:27)
▼ 火葬
灰が舞い、ぱちぱちと火の爆ぜる音。赤々とした炎が私の皮膚を舐めるように燃える。私のたましいは蒸発して、雲のように浮き上がった。炎の向こうには君の顔。そんな顔で私を見ないで下さい。美しさも何もかも、骨ばかりになってしまった私など。悲しまなくていい。灰になった私は、忘れられるばかり。
(130110/「美しい死」)
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2013/01/17 (08:25)
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