140字SSまとめ | ナノ
Diary

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 プラネタリウム
宇宙が大好きだった父の影響で、私も大いに星を愛した。休日には二人で天体望遠鏡を覗き、寝る前には星座の神話を読み聞かせられた。プラネタリウムにもよく連れていって貰った。天気の悪い日に星が見えないと、途端にぐずる幼い私のためだ。いつか私も父のように、自分の子供に星を見せるのだろうか。

(121217/更紗さんより)



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2013/01/07 (21:01)


 ピアニッシモ
あの子を見る度、私はピアノを思い出す。病弱そうな横顔、微かに搾り出すような声、消え入りそうに座る姿。五線譜の上、ふるふると不安定に奏でるピアニッシモ。弦の上を、綱渡りするようにそっと弾む音符のように、いつか空気に溶けて無くなってしまいそうだ。そんな消え様を見てみたいとも思うけど。

(121216/きよさんより)



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2013/01/07 (21:00)


 薬指
左手を光に翳すと、薬指にはめた金の輪が鈍く光った。初めてこの輪を手にした日から6年が経った。分かったのは、専業主婦は意外と退屈だということ。こうして指輪を見る度に、まるで呪縛のようだなあ、とは思う。或いは私を逃さないようにする枷のようだとも。鎖の繋ぐ先は、あの人と同じ墓だろうか。

(121216/いさめめこさんより)



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2013/01/07 (21:00)


 背中
俺はあの男を忘れない。血溜まりの中で見上げた、あの後ろ姿を忘れない。あの日片目と共に俺は全てを失ったが、唯一心の中におかしな感情だけが燻っている。その炎のようなものの名を俺は知らない。ただ小さな燃え残りのために、俺は命も投げ出せるだろう。何時かあの背中に追い付く日を、俺は夢見る。

(121216/比恋乃さんより)


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2013/01/07 (21:00)


 待ち合わせ
懐の時計を取り出すと、約束より少し進んだ時間を針が指す。おや、遅れてしまったようだ。前方には不安げに辺りを眺めるあの人の姿。何と可憐でいじらしい。も少し遅れてしまおうか。いやいや、意地悪は良くないな。ソフトを被り直して、ずんずん歩く。私の姿を見つけたのだろう。あの人の顔が輝いた。

(121210/比恋乃さんより)



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2012/12/11 (07:22)


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