「さて、我々は上がるとするか。」
「はい。」
ぞろぞろと脱衣場に戻る女性組。
「気持ち良かったね!」
「ええ、明日また入りましょうね。」
「あ!そうだ、ユカタ…だったっけ?あれってどうやって着るの?」
「あそこに説明書きがあるみたいね。」
ガーネットが見つけた貼り紙を、ミノンを除く全員が読み始める。説明文は当然ながら大人向けで…教養ある大人3人には読めても、初歩的な読み書きしか出来ないエーコにはかなり読み難かった。
「エーコ、分かんない…。」
少し粘ったもののさっぱり読めず、しょんぼりとしたエーコにミノンが微笑む。
「…エーコ様、下着は着けられましたね?」
「ミノン?う、うん。」
優雅に座り、浴衣一式の入った籠を寄せるミノン。
「こちらに袖を通されて下さい…そう、では次はこれを…キツくないですか?」
「うん。」
あっと言う間に浴衣用の下衣を着せ終える。
「では浴衣を……丈は短めが可愛らしくて動き易いですかね。じゃあおはしょりはこんな感じで…よし。」
桃色の浴衣も手際良く着付けると、ミノンは仕上げに赤と黄色の可愛らしい兵児帯を巻いて結んだ。
「す、すごい…あっという間だわ!」
「毎日似た様なものを着ていますから。…はい、完成です。似合ってらっしゃいますよ。」
「きゃ〜!ありがとうミノン!」
いち早く浴衣姿になったエーコがはしゃぐ。
「ねえミノン、私もやってくれないかしら…下衣は着られたけれど、浴衣が分からないの…。」
「ガーネットを見本に、私らにも着付け方を見せてくれないか?」
「分かりました。」
ゆっくりとガーネットに着付けるミノン。
「そう、この位まで丈を上げて…そこを紐で結んで…整えて…そうです。」
「後は、その布ね。」
「帯と言います。此方を少し持っていて下さい…そう…キツくないですか?後は巻いて…よいしょっと…終わりです。」
「まあ…!ミノンがやるとあっという間ね。」
ガーネットがくるりと回ってみせる。
「お似合いですよ。どうですか、着られましたか?」
「ああ、何とかな。」
「こんな物でしょうか。」
「お二人共よくお似合いです。男性方の反応が楽しみですね。」
「そうだわ!ジタン達は上がったかしら?」
浴衣姿が4人と、着物姿が1人。
時刻はもうすぐ夕食時。
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