「<望みの品>はもうお決まりですか?」
「ああ、オレはやっぱギルだぜ!」
「私はアクセサリにしようか。」
「ビビ選手とミノン選手は何にしますか?」
「え、えっ! ボクも出るのっ!?」
「……!?」
U-A狩猟祭
「二人ともイイ線行くと思って、オレがエントリーしといてやったんだ。」
部屋に集められたと思ったら、思ってもみないことになっていた。狩猟祭……いったい何の祭りだろうか。
「相変わらず勝手じゃな。」
気晴らしになるだとか色々とジタン様は理由を並べていたが、私にはその半分もわからなかった。浮かない顔をしていたらしく、「わりぃ、嫌ならやめるか?」と囁かれる。特に何を思うわけでもないけれど……そもそもよくわからないのに、参加も不参加も決められない。
「どうなされますか?」
「あっ、じゃあボクはカードを……。」
「そちらは?」
「……わ……私、え……と……。」
欲しいもので良いんだぜ、と再び囁かれる。まだ参加するかも決めかねているのに、もう賞品の話になっているらしい。
「迷っているのなら、アクセサリはどうじゃ? きっとそなたに似合うものが贈られるぞ。」
「……わかりました。……私も、アクセサリを……お願いします。」
装身具には興味がないが、他に何も思い付かなかったのでそう答える。とにかく魔物を狩れば良いらしい。剣は久し振りだし、復帰には良い機会なのかもしれない。
「では選手の皆様は決められた区域へ各自行ってください。」
町に放された魔物は大したことがなく、大抵は力の源を突けば一撃だった。立ち回りと持久戦を苦手とする身には好都合だ。
乗り物を乗り継いで商業区まで行くと、奥に大きな獣の魔物がいた。ジタン様とフライヤ様が二人がかりで戦っている。力の源は角の辺りだ……あれでは届かないだろう。
体は大きいがそのぶん隙があったので、こっそり後ろに回る。跳躍力には自信がなかったが思いきり飛ぶと、うまい具合に乗ることができた。打った肺に強い痛みが走る。
しかし目を開ければ、角は目前だった。短剣の方で一突きする。すると予想通り、魔物は呆気なく消えていった。
「驚いたなミノン、すごいじゃないか!」
「おぬし、見かけにそぐわずなかなかやるな。」
着地した私に、二人は笑いながら駆け寄ってきた。同時に終了を告げる声が響く。
「今年の優勝は、209ポイントで、ミノン選手です!」
優勝したらしい。……私が。
城に戻ると、大公様から賞品だという<珊瑚の指環>が貰えた。着ける気にはなれなかったので、ジタン様に預ける。
祭りの後だからだろうか。どこか空気は和やかだった。しかし突然、扉が開く。
流れ込んで来たのは――血の、臭いだった。
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