07 あと少しの嘘だから



ジンに撃たれた左太ももが痛む。
それに、運よく外れて頭ではなく右肩にあたった銃弾は
体内にとどまっているらしい。

波に運ばれて、運がよかったのか
港のほうに流された。
力が入らず、少しの高さでも上ることができない。


このままでは本当に死んでしまう。


力を振り絞り、近くに見えた岩場に泳いだ。
岩場に近づき、岩をつかむ。
あたりはすっかり暗くなっており、
すぐ上を走る車のライトがちらちらと見える。

安心したせいか、意識が薄れていく。
早く、バーボンさんに会いたい。


そう思いながらも視界は薄れていった。






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どれくらい気を失ってたんだろう。
撃たれた場所は最初よりも痛みはなかった。

天井は見覚えがなく、ベットに寝かされていた。


死んだのだろうか。





すこしだけだるい体を起こして周りを見渡すと
どうやら何かの研究施設のようなところにいた。

岩場で倒れていた私は
マッドサイエンティストかなんかに拉致されたらしい。

多少人体実験でもされてしまっているのだろうか



そんなことを思いながら落ち着いているのは、なぜだろう・・・






「目が覚めたみたいだね」




ベットの横のドアが開き、
見知らぬメガネをかけてマスクをした男性が立っていた。
その後ろには、メガネの少年もいた。




「あなたたちは・・・」




ぼやける頭をフル回転させる。
どこかで聞いたことがある気が、





「ライさん・・・?」

「!」

「やっぱり、愁さんは組織の人だったんだね」



目を見開く少女の隣で
不敵な笑みを浮かべながらメガネの少年が話しはじめる



「やっぱりって・・・」

「今、愁さんは灰原のことをライって言ったよね?どうして?」

「・・・昔、裏切り者として組織の全員に手配されて渡された
映像の声に似ていたから・・・。
でもおかしいよね、ライさんはキールさんに撃たれたってきいたし。
ましてはぜんぜん違う人ですもんね!」

「・・・愁さん、昨日寝言でバーボンって言っていたんだ。
組織の中枢の人間にはお酒の名前がコードネームとして当てられる。
バーボンってウィスキーの名前だよね。そして・・・
安室さんのコードネームだ。」

「!君、バーボンさんのこと知って?!・・・君はいったい」

「江戸川コナン、探偵さ。」

「コナン君、」





こんな子供にバーボンさんが自分のことをバラスなんて、
それに、やけにこの子組織について詳しい・・・



「愁さんにはコードネームがないってことは、
上の人間に命令されて仕事をしていたって感じかな。」

「・・・すごいねコナン君、バーボンさんが話してしまうのもなんだかわかった気がするよ。」

「ねえ、その傷のこと、詳しく教えてくれるかな?愁さん」

「・・・ええ、わかったわ」





私はかれにことの顛末を伝えた。
なぜだか彼にはなんでも話してしまう。

彼はジンに恨みがあるらしく、とても食いついた。

コナン君が言うには、海岸の岩場で倒れていたのを
つりをしていた博士という人が見つけて助けてくれたらしい。

体に残っていた弾丸も、取り除いて手当てもしてくれたようだ。
聞けば、それから7日は目を覚まさなかったらしい。


安室さんはポアロにはまだ顔を出していないようだ。


そこではじめて知ったのが、
バーボンさんは公安の人間だということ。

組織が疑っていたノックだというのはどうやら
間違いではなかったようだ。


でも今回の一軒で、バーボンさんが
ノックではないかという疑惑が
高まってしまったに違いない。

早く彼に伝えて手を打たなければ。



ベットから立ち上がろうとすると
全身に痛みを感じてよろける。




それをマスクの男性が支えてくれた。


「歩くには少々リハビリが必要ですね」

「え・・・は、い。」

「申し送れました。沖矢昴といいます。まずは座って、これでも飲んで
落ち着いてください。」

「これは・・・?」

「ホットミルクです。落ち着きますよ。」




マグカップに入ったホットミルクを見て
バーボンさんに入れてもらったカクテルを思い出す。

ふと、涙がこぼれてしまった。




「私、どうしてもバーボンさん、いえ、安室さんを助けなくちゃ・・」

「僕たちが協力するよ!」

「コナン君・・・ありがとう、でもこれは私が引き起こしたことだから
自分の手で終わらせたいの。」




そしてホットミルクを飲み干すと、
そばにあった自分のジャケットを羽織り
痛む体に鞭を売って立ち上がる。

よろけるからだは、リハビリを必要としているけど
そんな時間はない。彼に会わなければ。




「コナン君、昴さん。ありがとうございました。私、いきますね」

「愁さん・・」

「そうだ・・・ねえコナン君。これから、」

「え?」

「これから安室さんを助けてあげてね」

「え、それって・・・まさか」


「では、お二人とも、



   ・・・さようなら」



















mae tugi

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