06 この痛みすら愛しくて



「ジン、連れてきたわよ」

「よお、よくきたなア」




まだ昼間だというのに空が曇っているせいか
あたりは暗く感じた。

埠頭には人一人見当たらなく、
私とベルモット、ウォッカ、ジンの四人だけだった。
潮風が頬をなで、べったりとくっつく。
それがいつも以上に気持ち悪く感じた。



「で、バーボンについての報告を聞かせろ。」



鋭い目が前髪の隙間からのぞく。
そのさっき混じりの視線に恐怖を感じ
後ずさりをする。
だが、私の背後には海が広がっている。

風が強く吹き始め、
すこし並みも高くなってきたようだ。
海面と多少高さがあるこの埠頭にも
波が届きそうだ。




「あの、私、バーボンさんの調査、は」



三人の威圧感にゾクゾクと悪寒が走る。
ここから逃げ出したい、どんな感情に襲われる。
でも彼のために、戦わなくては。




「ジン!私は!バーボンの調査はこれ以上は続行できな」




―−−パァン!!




いいかけの台詞はすべて話すことはできなかった。
鳴り響いた銃声とともに左足の太ももに
刺すような痛みを感じた後広がるように激痛が走る。


「な・・・」

「ちょっと!ジン!急に何を!」

「気にいらねえんだよ、その目がな。さあなんだ、続きを話せ」



意識が飛びそうになる痛みに耐えながら
ジンをきっと睨む。

するとジンはニヤリと怪しく笑うとまたピストルを私に向けた。




「いい目だ」





―−−パァン!!





再び鳴り響いた銃声を受けて
私は後ろに倒れこみ、荒れる海へ落ちていった。








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愁が組織に向かってから、もう1週間がたつ。



嫌な予感しかしなかった。
何度か電話をかけたけれど電源を切っているのか通じず、
メールも返事が一向にこない。

最悪の展開すらよぎったが、信じたくはなかった。
俺はベルモットに連絡をした





「ベルモット・・・」

「あら、バーボン。何の用かしら」

「最近愁を見かけないのですが、これでは教育なんて進みませんよ。」



冗談を交えながら、普段どうりを意識して情報を聞き出そうとした。



「ああ、それね。もう教育は必要ないわ。」

「?・・・どういうことです?」

「ジンに消されたの。」

「な・・・」



思わずケイタイを落としそうになるほど動揺したが
ここは落ち着かなければ、情報が足りない。




「へえ、あのジンが自ら?どこでやられたんですか」

「埠頭よ。ジンに足と頭を撃たれて海に落ちたわ。
死んでしまったでしょうね。裏切りには制裁を。それが組織よ。」

「裏切り?彼女がですか?意外でした」





「・・・Love is blind。」

「え?」




電話越しにため息をはくベルモットは
Love is blind.そうつぶやいた




「あなたもあの子も、おばかさんね。」





それだけいうと電話は切られた。





愁が始末された。



死んだ。





そのワードに、俺はそのばでしばし立ち尽くすことしかできなかった。





殺してやる、殺してやる
俺の大切なものを次々と奪ってくこの組織を
絶対に




「殺してやる」





俺はすぐに風見に連絡をし、
組織壊滅に向けて動き出した。
















mae tugi

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