追憶*マリオネットの糸の先 1 





ずっと幸せだった。そう、ぼくたちは。『Valkyrie』は、至高にして最高だった。常に楽器を引けるほどの環境。ぼくの音が、人の声に重なって講堂に響く。それこそが、天に召すような気持ちで、ずっとそこにいたのです。一つ年下のリーダーの人形遣いと、2つの人形。そして、さえずるだけのぼく。甘言なる綿菓子のような世界で、息をしているぼくたち。外の世界が変わっても、ぼくらはぼくらのままでいた。
ライブ30分前。手芸部部室に集まったぼくたちは、各々が最終調整を行っていた。衣装を着用して、どの楽器を使うかなどの打ち合わせを行う。今日は、弦楽器を持ってほしいといわれたので、ぼくは楽器を選び調弦をしつつ、今日の楽曲について指を慣らす。ぼくが人間メトロノームであるので人形遣いから、楽曲や音についてなんて、どうこういわれた記憶はないけれど、微細な音についてまで何度か言われたことがあった。
まぁ、音の関連について彼に口出しをさせないのが、ぼくと人形遣いとの間で締結させたルールなので、とやかく言われても全部無視ですが。

「小鳥、調子はどうかね?」
「あなたこそ、どうなんですか?昨晩も遅くまで最終調整を行っていたようですけれども。」

そう言えば、みかがぎくりと固まった。どうやら、リークがばれてしまったので、
ぼくは睨むようなするどい目線を送られる。うん、ぼくのせいじゃないですよ、あなたのせいですから。自業自得ですよ、えぇ?

「央兄ィも、今日の衣装。お似合いやで。」
「作り手の腕がいいからですよ。ねぇ?人形遣い」

僕が腕によりをかけたのだから、間違いないのだよ。それにしても、やはりそうして見ると、本当に女性へと変化する少女のようだ。だなんて人形遣いがぼくを上から下まで見てそうこぼす。
ぼくが、このような姿をしているのも、ぼくが朔間さんとそっくりだなんて言われるのを避けるために、ぼくはこんな姿をしているのですからあたりまえですよね。ここにいる前に、一人で活動していた時からこの状態なので、ぼくは別に何も思わないし、むしろこっちのほうが何かと不便もあるけれども便利である。

「一人で活動していた頃『Layla』からずっとそうですからね。」
「見かけだけな。」

吐き捨てられたので、ぼくは喉を閉めて高い声でクスクス笑ってやる。音だけは、ぼくから離れずずっと側にいるのだ。ぼくの出した声に驚いたみかが、どうやって出してんの?なんてキラキラした目で問いかけてくる。ぼくは気にせず、そのトーンで話をしようと思ったら気色が悪いと人形遣いに一蹴された。実に遺憾である。ぼくがそのトーンで話をしようと口を開くと同時になずながやってきたので、人形遣いもみかも意識がそっちにいくので、ぼくは手を止めていた作業を改めて進めていく。ライブはもうすぐだ。



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