スカウト!ランウェイと俺。-2

寝てるのに、自分の鼾で目が覚めた。なんかレオの夢を見たような気もするが、はっきり覚えてない。ふと目の前のパソコンを見れば真っ暗で、めちゃくちゃビビった、どうやらスリープだったみたいですぐに立ちあがったけど、やっぱり画面は真っ白い。パソコンが寿命かと思ったが、この間買ったばかりだ。それはない。目を擦っていると、いつもと違う音がすることに気がついた。ふと顔をあげれば、遊木が来ているようすだが、セナの顔つきがきびしいし、鳴上くんはちょっと困り顔。何があったんだ?と様子を伺う。

「っていうか、話がずれてたね。ごめん。その衣装をね、泉さんたちが【ファッションショー】で着たあと手早く仕立て直して、僕たちが出演する【春の音楽祭】んお衣装として使えないかなって。予算も限られてるから、駄目かな……」
「使い回しってそういうこと?」

どうも判別は出来ないが、予算絡みの話だろうか。まともに働いてない頭のなかはユニット予算の方を思い出したが、これじゃない。と頭を思考を切り替える。えっと、予算予算。と思い出しながら、聞き耳をたてる。
僕たちの【春の音楽祭】は、楽器を使ったりしてかなり費用がかかるのに、ギリギリになってから、開催が決まったせいか、予算が回ってこなくてさ。僕たちがモタモタして出遅れたせいだから、文句も言えないんだけど。衣装代調達できなさそうなんだよね。一緒に出演する『UNDEAD』が費用を負担しようかって言ってくれたんだけど、それも申し訳ないじゃない。『UNDEAD』に頼りっぱなし、みたいでさ。あの人達には死ぬほどお世話になってきちゃったし、これ以上は申し訳ないもん。だから、お願い泉さん。泉さんっちの衣装、使い終わったあと、僕たちにも着させて。【ファッションショー】が【春の音楽祭】の宣伝にもなるし、一石二鳥かな。って
だめかな?と遊木がセナを見上げると、せなはお前らはいつもそうだよねぇ。ちょっとは周りの迷惑とかも考えなよ。いいけどさ。ゆうくんには『ぴったり』だよねぇ。
セナが呆れてるのを見ながら、まぁ、衣装帰ってくるならいいんじゃない?体型の調整で切ったりされると困るけど、いつか使うかもしれないし。クリーニング出して返してね。と俺は口を開く。

「文哉。」
「俺からの、会計からの条件『Knights』の財布からはクリーニング代金は持たない、衣装は切らないように。それだけだよ、あとはセナが交渉よろしく。」
「そこに条件を足すけど、」
「もう、保村先輩も泉さんも、こっちが喋ってるのに、遮らないでよ〜。泉さんはいつもそうだよね。っていいの?許可してくれる?」

よかったー。とほっとした表情を浮かべる。がセナの交換条件ってなんだろう。カメラ撮らせて、とかゆうくんとのツーショット写真とか、思い浮かぶだけでろくなことあんまりな気がしてきたので、俺はそっと合掌。転校生ちゃんが僕から頼めば!って太鼓判をおしてくれたんだけど、と嬉しそうに彼は言う。条件は最後まで聞いとけ、そして細部まで全部読め。とひっそり思いながらも、ふと脳裏に浮かんだワードをキーボードに叩き込む。色々話しているのを聞きながら、思い出したように一気にキーボードを叩く。思ったよりも寝た方がやっぱり効率いいのかもしれない。睡眠大事。

「あんまり非道な真似はしないでよォ、こっちも汚名返上しなくちゃいけない微妙な時期なんだから。」
「解ってる。俺がやらかしたせいで、『Knights』には、特に文哉には苦労させてるしねぇ。一応小指の先っちょ程度には申し訳ないと思ってるから。」

いや、あんたはもうちょっと反省しなさい。小憎たらしい『お兄ちゃん』よねぇ。文哉ちゃん。
え?なに?全然聞いてなかった。名前を呼ばれても、なに?と問いかけてもキーボードにひたすら文字をたたきつける。残り時間およそ10時間以内。いままで燻ってたのが嘘みたいにさっきまでのテーマと混ぜて進んでいく。こっちも駄目だわ。と言われたが、俺も仕事!必死!と声だけ出して、目線はパソコン。セナの交換条件を聞きながら俺は必死になって30分で仕事を片付ける事に成功した。って、俺の2徹は無意味だったことが今完全に証明されて俺のメンタルボロボロ。泣きそうになってたらスルメを口に放り込まれた。鳴上くん、俺の扱いがわかられてきたようだ。とりあえず仕事を終わらせて誤字脱字を確認してからメールで原稿を送って、俺もモデルの練習をしなければならない。
ちょっとジャカジャカシャカシャカうるさいけど、いいBGMでした。はい。

/back/

×