スカウト!ランウェイと俺。-1

ヤバイです。原稿が終わりません。
今日も今日とて、スタジオで持ち込んできたパソコンと格闘。
何でだろうね。いや、この間始まったドラマの撮影がくっそほど長引いてるからなんだけどさ。何回録り直すんだって言うぐらい、いや、仕事だから文句は言わないけど、いままで締め切りや期日をきっかり守ってたのを落としてしまうなんて、実に腹立たしいので、2徹目です。はい、あとで仮眠取ります。ここまで来たらおわるまでノーモア休憩するべきかもしれない、世間は休憩とれって言うけど。その分効率落ちてたりしない?大丈夫?っていうか、俺がやばい。そこは否定しない。顔色まっさお、レオ成分つきてる。ブロマイド枕にして寝ておまじないかけたいぐらい。青葉に聞けばなんか教えてくれるかな、見たい夢の見方的なの。っていうか、空き時間から休憩時間から諸々全部突っ込んでも書き終わらない原稿ってなんだよ。駄目だ、思考と文字と文章が噛み合ってない。もうむり、俺に文才はない!
ガツンとエンターキーを押したら、パソコンがちょっとフリーズ。処理待ちとか出てきて、俺は頭を抱える。このまま固まって使えなくなったら俺の徹夜が最悪のパターンは無意味に帰す。それはやめてくれと思いながらも画面はお陀仏。データは復旧させてみたけど、まっしろ。

「うわぁああ!!!もうむりぃ!」
「文哉、何叫んでるの?」
「あと12時間で原稿が終わる気配も見せない。甘いものとスルメ買ってくる。」
「あ、こら、もうすぐ練習始めるよ」

練習?今日はユニット練習ないはずだけど?記憶の中のスケジューリングにはそんなもん一切ない。記憶にない。何した?お俺すっぽかしてる?まじ?これ以上タスクが増えるのは勘弁してほしい。まじで。っていうか、セナいつからいたの?文哉はうんうん悩んでる10分前から。
居たなら声かけてよ。ただでさえセナ成分も足りてないぐらいに憔悴してるのに。と自己申告。そういうのいいから、とぶったぎられて、ほら練習するよ。と俺の腕を掴んで俺を連れ歩く。いや俺一人で歩けますけど。そう主張すると。「顔色真っ青で言われても説得力ないから。」なんてばっさり。セナ節ちょっとまって貰ってパソコンだけを掴んで準備できたよ。と声をかけるが、セナはそのまま沈黙で連れてこられたのは、体育館。っていうか、何か用の舞台、ステージが一つある。その近くに鳴上くん。

「なにこれ?解説!」
「あら、文哉ちゃん、この間説明したわよぉ」

この間の説明。と言われてもピンとこない。いつもより低いステージは中央がまっすぐ長い道が一つ。ライブでもなさそうだし、と首を傾げる。まるでこれは、ランウェイみたいだな、と思った瞬間に、『前夜祭』で【ファッションショー】やるって言ってたのを思い出した。やべっ、俺モデル畑じゃないのに、なにやらそうとしてるの?モデル畑達。

「文哉はモデルの経験は?」
「小さな頃に子ども服で一度。」
「じゃあ、今日は俺となるくんでやるから、文哉は次の通しから本格的に参加で、行こう」
「いや、俺でなきゃ駄目?」

最近文哉が『Knights』の仕事してないから、出てほしいんだけど。セナにそう言われたら俺に断る理由がない。解ったから、ちょっと完全に明日まで待ってほしい。俺にはあと12時間ほどしか猶予がない。ゼロからの作り直し、まじで。俺には時間がないかもしれない。コラム楽勝。とか思ってた自分、それレオ成分があってこそなんだよ。って半年前ぐらいの自分に言いたい。

「一回通すから、そのまま文哉は見ててよ」
「ん、」

短い返事をして近くの椅子に腰かける。パソコンを開いて準備してたけど、おやすみ3秒で寝てしまった。そりゃあ仮眠すらなかったもんな。ごめんって、セナ。

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