スカウト!ランウェイと俺。-3e

当日、俺は事務所で打合せしてから学校にはいると、三毛縞と転校生が入り口で中を覗いていた。

「中、入りたいんだけど。」
「あ、ごめんなさい!保村先輩」
「相変わらずだなあ、文哉さんも」

じろりと三毛縞を睨んでから、俺は転校生が開けたスペースを通って、中に入るとここ数日の見慣れた光景があった。俺の聴覚にセナの声が響く。「俺のゆうくん!」って、いや、うん。もう、セナが白だって言えば白だから、って思う派閥の俺は、そおまま黙って隅っこに荷物を置く。猫撫で声のセナにちょっと俺の背中がゾクッとした。これ、【DDD】もこうだったんだろ?鳴上くん達よく、これを受け入れたなぁ。とかちょっと他人事のように思いながらも、俺もさっさと衣装に着替えて支度をせなばならない。

「感謝してよ、死ぬまで恩に着てよ。ありがとうって言ってよ、ゆうくん。」
「はいはい、ありがとうございます〜」

遊木もセナの処理の仕方がわかってきたのか、その軽いやり取りに俺は小さく噴き出す。小さく噴き出したわりに、セナに目ざとく見つけられて、小言を頂戴する。セナが遊木の面倒を見ることがセナが出した『交換条件』だ。まぁ、根っこが世話焼きだからか、面倒見たがりの面もあるので、セナには助かってたりするけど。いまいちよくセナの思考がわかんなくなる。なんだろう。って言う感じで遊木も首をかしげてるが、まぁ、本人が満足ならいいんじゃないかな、って俺は思う。俺の幸せはレオとセナが笑ってることだし、まぁ、レオがいまどこにいるかもわかってないけど。セナの気分転換にでもなればいいやっておもってるし、もうあれよ。好きにして、ってかんじ。

「その『煮詰まる』は誤用だなあ、通じればなんでもいいんだけどなあ」
「びっくりした!あれっ、三毛縞先輩、転校生ちゃんも!ど、どっどどどうしたの?」

最後、驚きすぎじゃない?ていうか、まだ三毛縞いたのとか思いつつ俺は今日のスケジューリングを思い浮かべながら、今日は忙しそうだ。と思考していると、文哉ちゃん、と鳴上くんが泣きついてくるので、鳴上くんの口の中にクッキーを突っ込んでおく。もう、と頬を膨らませながらも一切れを咀嚼して、あら美味しいと目をまんまるにして驚いている。事務所で一枚ひっつかんで来たものなので、どこのか知らないけれど今度事務所行ったら聞いておこう。

「鳴上くん、綺麗だねやっぱり、よく似合ってるよ。」
「誉めてくれるの?ありがと〜」
「アタシもこれから【ファッションショー】に出場するから着替えたのよォ。文哉ちゃんも、最終の打ち合わせはいるから、速く着替えていらっしゃいな」
「【ファッションショー】って言うわりに、初っぱな三人お揃いなのもどうかと思うけど。まぁ、仕方ないね予算だし。」

俺は、鞄から着替えだけを取り出して、さっさと奥にでも引っ込むとしよう。セナの小言が増える前に撤退するのがよさそうだ。既存衣装の使い回しでも、俺はステージなら問題ないとは思うんだけどな。とか思いつつ、まぁ俺はそっちの畑の人間でもないし、そういうセンスはないので、知らんが。ありえなーい、やる気がでなーい。と肩を落とすセナの、手を掴んで指を絡ませる。なに?とか怪訝な目をされたけど、俺は気にせず、「ふみやぱわー注入、ほらセナ笑って。」と笑ってやると、一瞬固まってから手を振り払われた。解せぬ。

「遊んでないで、きがえなさいよォ」
「行ってくる。すぐ戻ってくるよ。」

パタパタとランウェイの奥に引っ込む。ちょっと恥ずかしかったけど、セナの表情がよく見えて俺は満足です。朱桜くんにもあとでこっそり写真を送っておいてあげよう。とか思いつつ、俺は浮き足立ってる。ルンルンだ。たぶん、セナからぱわーを勝手に拝借したからだよね。とか思いつつ自己を高めて、俺は一着目に袖を通す。
まぁ、あれよ。思ったより俺も成長しててちょっときつい目だけど、あ、縦にね!!なんとか今日は成功させれそうかな、とちょっと安堵するのでした。安堵したら、セナに遅いって怒られた。まって、俺、ほぼほぼランウェイ初心者!!。
んで、ここから、後日談というか、【ファッションショー】後談。
セナがそわそわしてるから、セナにいっておいでよ。と声をかけると脱兎のごとく逃げ出してった。なんだよ、セナ。勢いがこわいわ。とか思いつつ、俺はセナの分まで【ファッションショー】の撤収作業をしてると、鳴上くんに見つかってめちゃくちゃ俺も怒られた。まぁ、俺が倍働くつもりだったし、そわそわしてるセナが居たら集中できないから追い出した。そんなことを言えば、鳴上は呆れてた。うん、いいんだよ。セナが幸せならね。
しばらくして帰ってきたセナは微妙な顔してたのが不思議だったけど、【ファッションショー】の反省会とかで、めちゃくちゃ鳴上くんもセナもハッスル?してたから、俺はこんな世界もあるんだなぁ。とか月並みな感想で、ぼんやりと回りを眺めるだけでした。まぁ、椚先生がこれからは保村くんもグラビアを。とかって言い出したので、俺は丁寧にご遠慮してドラマと映画で手一杯異です。とノーサンキューを決め込むのです。まる。本とドラマと映画で手一杯だって、死ぬ。まじ、とりあえず今回の教訓、睡眠マジ大事。これだけ。

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