スカウト スイーツパティシエと俺。-3e

一通り試作品を出したが、結果論。凛月くんの菓子が委員長に選ばれたのだった。まぁ、納得はしてる。セナはちょっと悔しそうなので、俺がただただ宥め役に徹するのだが。それでもまだ納得はしてないようだ。校門を潜り抜けても、まだ納得してないらしく、さっきまで笑ってたのにもうまたちょっとヘソを曲げている。

「あーたくさん食べた満足満足。」
「確かに、今晩食べなくていいや。」
「ふ〜ちゃん、馬鹿みたいにたべてたもんね。」

なんでみんなそんなに、食べないのかよくわからない。なんでだろうね?と俺たち二人は首をかしげる。計量が終わったら、ひたすらホイップクリームを作る係りをしてたので、腕がだるいが、事務所には台本を取りに行かないといけない。明日の朝使うものなので、今晩は台本読みに時間をとられるだろう。一番後ろを歩きながら、電車の時間を確認する。まぁ、終電でもないので補導は怖いが帰りはタクシーか、とか思考をまわす。

「わかる人にはわかるんだなぁ。あの転校生はなかなか見所あるよね」
「転校生ちゃんは変わった子だけど、わりとセンスはいいと思うわよ。」

凛月ちゃんのお菓子目を閉じて『えいっ』って食べてみたんだけど。味は確かに最高だったわァ。文哉ちゃんの言うこと信じれば良かったわ。なんて溢してる鳴上くんとまた凹みモードセナになってるので、はいあい。と俺はいいながらセナの横に立つ。凛月くんにつっかかるので、落ち着けと言わんばかりんに俺はセナの腕を引いた。

「生意気!くそっ時間を無駄にした!あんなゲテモノを『名物』いする夢ノ咲学院も終わりだねっ!」
「負け犬の遠吠えが聞こえる。」
「煽らないの。」

次はデザインコンペがあるみたいだから、そっちにも応募しましょうっか。私も精一杯頑張ります!朱桜くんと鳴上くんのやりとりを微笑ましく見てると、じゃあ次はそっちで勝負だからとセナが凛月くんに喧嘩を売ってるし、収集がつかなくなってきた。やれやれと呆れてたら、セナがあんた事務所は結局行かなくていいの?と話を振られる。今から言って受け取ったらすぐに帰る予定。と伝えると、カロリー消費のついでに送るから走って行くよ。と俺の腕を引っ張り出す。セナ、俺の事務所知ってるの?昔連絡を入れたからね、その時調べた。と言われて、そうだった。と思い出す。セナは俺が欲しいと言ったとき、事務所に連絡を取ったのだ。そんなことを思い出してると、セナはしばらく話かけないでよね。なんて言いつつ駆け足になってる。いや俺は走るとも言ってないんだが、まぁセナが望むなら走るけどさ。少し駆け出していると、空いてる側の手を凛月くんが手をとって、ならび出す。

「って、こらくまくん。なんで文哉の横に並んで走ってるの!鬱陶しいなぁ、あっち行ってよ。」
「断る、次は脚力の勝負と判断したけどー。どっちが先にあの柱電信柱までたどり着くか競争ね」

夜は体力が、とか気力充分とか行って俺の手を掴んだまま走る。まって、俺大岡越前とかそんなんじゃないから。っていうか、挟んでるの親じゃない。痛い!鳴上くんに助けを求めれば、元気ね、アタシたちも行きましょうか司ちゃん。と5人で徒競走みたいなことになってるし、陸上部の鳴上くんがぶっちぎるということもするし、セナはうひっ。とか珍しい声をあげるのを聞いたので、俺は面白くなって、あはは。と笑う。

「あんたたち、自宅こっち方面なの〜!?」
「『そういうこと』も含めて、お互いまだ知らないことばかり!でもこれから先、どんどん仲良くなっていけばいいのよね、文哉ちゃん」
「あぁ、なんでもいいんじゃない?、ま今日は無駄ではなかったと思うよ。『Knights』にとっては」

そうよね。これから先も、みんなえこうして肩を並べて走り続けましょうねェ。文哉ちゃん。力を貸してね。俺で良ければ、よころんで。いくらでも手伝うよ。
レオが帰ってこれる場所のためならね。なんて言えはしなかったけれど。朱桜くんも鳴上くんも満足そうだし、セナはまた負けてちょっと不満げだけど、まぁ、こんな日もあっていいんじゃないかな、なんて俺は思ってると、セナが着いてくるな!と吠えられた。俺は引っ張られてるだけだし、両腕は未だに痛い。あの、離してもらっていいですか?凛月くん。ダメ?なんでさ

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