-20210712(Knightsの日) 5題


選ばれた戦士たち(レオ)

ライブ前に、最終確認をしてたら、レオが通った後を見つけた。一枚づつ拾って歩いてたら、嬉しそうに楽譜をばらまいて書き散らしてるレオを発見した。

「レオ、ライブ。始まるよ。」
「あ、文哉!元気か!」
「みんなとライブだからね。楽しみだよ」

この日自由になるために、色々と大学の課題やら、書き物の仕事を片付けてるので、眠たいけれども頭の中は冷えている。俺のクマがないか調べるために、じっと見つめられてるけれども、レオと話すのも久しぶりで嬉しくて仕方ない。

「書き散らした楽譜、拾っておいたよ」
「流石!文哉だな!」
「レオにそう言ってもらえるのは嬉しい。」
「さぁ、今日もライブ頑張ろうな!俺たちは選ばれた戦士なんだからな!」
「……そこ、騎士の方が良いんじゃない?」

そうか?なんて笑ってたけれど、なんだか違和感があった。どこだかわからない、不形のそれは明らかなものだ。形容できない気持ちを飲み込むことができなくて、言葉が詰まる。少しの嫌な予感が頭を巡った。

「レオ、どうかした?」
「どうかしたって、どうした?」
「ううん……俺の、杞憂かな。卒業式前とちょっと被って見えて、驚いただけ。」
「文哉は大げさだな!」
「ちょっと、心配なだけ。」

お前のちょっとは大げさだから、俺たちは窒息しそうだ!なんて笑って言うから、じゃあおれの気のせいだと判断を下す。もう二度と、あんなことがあってたまるかと心の底で思う。

「そのための地慣らし。で居るんだけどね。」
「文哉がいるから安心するのは間違いないんだよな。」

いつもありがとう。なんて言われて、俺は驚く。まさか礼を言われるとは思っていなかったからだ。

「こちらこそ、ありがとう。俺と一緒にいてくれて。」
「どうした?」
「ううん、なんでもない。感謝したくなったからした、それだけ。」

そっか。なんて言いながら俺を見て歯を見せて笑うから、俺もつられて笑った。俺たちは廻り逢った騎士だ。どんな道だって、みんなでだったら進んでいける。そう思ってたら、すーちゃんが俺たちを呼びに来たので、二人で返事して歩き出した。ちなみに楽譜を散らしたので、俺たち三人がかりで拾い集めた。すーちゃんが文句言ってたけど、これも楽しいので俺は笑ってるだけだ。


傍にいられたらそれでいい(セナ)

事務所で本を読んでたら、セナがやってきた。青葉やすーちゃんの所在を聴かれたけど、知らないのでそのまま伝えたら、そっか。なんてあっさりした返事をして近くの椅子に座って声をかけてきた。

「文哉って、最近抱き着く癖減ったよね」
「そりゃあ、まぁ大人。ですから?」
「なんで疑問形?」

レオも安定してるし、俺も毎日睡眠不足ながらも、事務所にはだいたい誰かいることが多いので比較的安心してここで仕事をすることが増えた。読み物だってここでやったり、図書室とかによく在住レベルでいる。

「そうだなぁ。しいて言うと、世界が『レオとセナ』だけじゃなくなって『Knightsのみんな』になったからかな。」
「それ大丈夫なの?」
「まぁ、今はセナ成分が足りてないんだけどね。」
「駄目じゃん。」

――それでも、最近は近くにいるからそれだけでいいんですー。なんて膨れて、読んでた本にしおりを挟んで、セナを見る。アイスブルーの瞳がまん丸くなって驚いてるのがよく見えた。
あんたそんなに素直に言うようになったんだ。なんて言いながら、俺の熱を確認するように、俺の額に手を当てだした。おい、俺を何だと思っているんだ。

「熱はないね。これぐらいで俺の成分、足りる?」
「……足りてないんで、抱きしめていい?」
「はい、素直。」

ぽんぽんと頭を撫でられたので俺は本を横に置いて、セナに抱き着いた。首閉まってるって怒られたけど、俺はこれで満足できました。ありがとう。


だって一緒にいたいから(嵐)

MVの撮影中、みんな思い思いの事をしてるからか、個室には俺と、ナルくんしかいなかった。俺はスルメを食べながら、スマホを触ってたら、ナルくんがねぇねぇ。と声をかけてきた。

「文哉ちゃん。」
「なに?」
「一緒にお菓子、食べて雑談しましょうよ。これ、新発売なの。」

新しいお菓子と言われたけれども、別にそっちに興味はない。雑談しようと言われたことに対して、いいよ。と返事をして食べかけのスルメを胃の中に収める。

「文哉ちゃんって、スルメ以外食べてるのあんまり見ないんだけど。ちゃんと食べてるわよね?」
「最近はセナもレオも、みんないるから食べるようにはしてるよ。」

食べたら食べた分だけ肉になるし、落とそうと思ったらすぐに落ちるのでまぁいいんだけど。食べないときは全く食べなくなって周りを怒らせるので、こういう時に食べてるパフォーマンスを行うだけなんだけれども。
ちゃんと食べなきゃだめよ。なんて釘を刺しつつ、今日の撮影終ったら時間ある?みんなでご飯行きましょう。なんて圧を受けて俺は頷くだけだ。

「変わったわね。卒業してから」
「そう、かな?ちゃんと、人として歩いてるからじゃない?」
「険がとれたっていうか、ちゃんとアタシたちも見てる。」
「そりゃあ、仲間だからだよ」

ううん、『飼い主』って言わなくなった。なんて言われて、俺は確かに?なんて改めて思った。言われたら確かに、あの『レクイエム』からあんまりそういう表現を使わなくなった気はする。

「まぁ結局俺は俺だし。こんな俺は嫌い?」
「ううん、大好きよ。どんな文哉ちゃんでもね。昔よりもっと好き。」
「そ、ならよかったよ。何か飲む?」
「持ってきたのがあるから大丈夫よ。一つどうぞ。」

差し出された真新しい菓子箱から一つもらって口に入れる。思ったより甘くて、驚いたけれども、別に嫌いな味でもない。そのまま咀嚼して、二人でこういう味なら何が合うとかそんな話をしてたら、撮影再開だとセナがやってきたので俺たち二人は笑いながら適当に返事をしてすぐに追いかけるなんて返事をするのだった。





鬼と交わした刃(司)

今度のお仕事、珍しく人外の役を勝ち取った。サブ主演と友情ものの連続ドラマ。これが、ぶっちゃけ勝ち取ったというか、先方の御指名だというから驚き。なんで俺だったのかもよくわからないけれど、貰った仕事を捨てる理由なんてないし、台本が読めるのは純粋に嬉しくて、本を開いて俺は一瞬驚いた。共演者、初回ゲスト、すーちゃん。そこまで読むと同時に、俺の背中を誰かが叩いた。

「あ、保村先輩。今度よろしくおねがいします」
「初回ゲストのやつ?だよね。」
「えぇ、不束者ですが、ご指導よろしくお願いします。」
「多分、俺の方が教わりそうだけれどもね。」

小さい立ち回りあるんだって。開いたページを見せれば、すーちゃんは目を輝かせた。俺はなんとなくやべぇ。なんて思った。保村先輩、殺陣はやられたことはありますか?なんて聞かれたので、素直に首を振る。やったことはない、時代劇もあったけれども、そういうのは事務所NGが出て結局立ち消えた記憶はある。

「刀とかそういうの、あんまりライブとかでしか使ったことないから自信ないんだよね」

すーちゃん、そういう御家の人だから心得とかあるの?なんて聞いたら、藪蛇だったようだ。目を輝かせて、今度やりましょう!なんて言ってくれるから、若干引き気味で返事したけど、刀の持ち方がなってないだとか、身の動かし方が固いとかめちゃくちゃなすーちゃんのスパルタによってによって、辛うじて見れるものが出来たのだけれども、最終的にすーちゃんがそのまま俺の撮影に全部ついて指導が入ったので、俺、泣きそう。っていうかセナに泣きついたら、そのままmすーちゃんに送り返された。鬼!!なんて悲鳴を上げて俺はドラマに向けて仕込まれるのであった。全身筋肉痛なんだけど、どういうことなのか全く理解できない。



消えない痛み(凛月)

ブックルームでひたすら本を読んでたら、寝る場所を探しに来たのかりっちゃんが入ってきた。欠伸を零しながらも、俺を見つけて手を振って寄って来た。

「ねぇ、ふ〜ちゃん」
「どうしたの?」
「暇だったから、面白そうなことないか探しに来た。」
「なに、雑談する?」

ここで話すのもどうかと思ったけれども、誰も居ないので俺は気にせず読みかけの本にしおりを挟んで、脇に置く。雑な提案は飲み込まれたようで俺の近くにりっちゃんは座った。何もしゃべることのない沈黙だけれども、隣は知ったる人なので居心地はいい。
何を話するかと思考を巡らせてたら、りっちゃんから投げかけてきた。

「最近、元気?」
「元気だと思うよ、課題に奔走してたけど。それも終わったし。」
「そっか。」
「りっちゃんは?」
「どうだろ、ふ〜ちゃんから見てどう思う?」

投げかけられたので、りっちゃんを見る。顔色はよさそうだし、元気には見えるけど、多少眠たそうが入っているし、よくわからない。唸って答えを捻りだしてたら、りっちゃんは笑ってそんなに真剣に考えなくても大丈夫だよ。なんて笑っていった。

「そんなに本をいっぱい読んで、どうしたの?何かあった?」
「仕事一区切りしたから、読んでるだけだよ。俺、そんなに信用ない?」

ストレスマッハの時は片時も本を手放せなかったけれども、最近は色々ありすぎたけど、比較的落ち着いているしそんなに文字中毒をも起こしてない。まぁ自分で書いてるから、多少自給自足で補えてるのだろう。

「ない、かな。」
「ひどいなぁ。」

カラカラ笑ったら、りっちゃんはちょっと苦しそうに笑ったように見えた。何かあったなら話を聞くし、俺も一緒に考えるから。なんて伝えたら、りっちゃんは一瞬だけ嬉しそうにして、そうだねなんて言って寝落ちた。まって、なに、今の。まって、なんだったの。起きて!!なに、お前の身になにがあったの!俺今からそいつしめにいくから、教えて!!って言うか起きて!!重たい!やめろ。なんかフラグっぽいのやめろ!!!起きて!!揺さぶり起こす俺と、どこからか聞きつけた暴力行為だと騒ぎ立てる蓮巳とぎゃんぎゃんしても寝てるのやめて!起きて!!

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