-塩漬け対応の人とホワイトデー三毛縞が欲しい人が組んだ結果。

え、お前と。なんて言葉をなんとか飲み込むことにした。
そういえば、今日のドラマの撮影は同じ事務所のやつ。とは聞いた。俺はてっきり『Knights』の誰かと同じ仕事になると思っていたので嬉しかったからこそ、テンションはダダ下がり。
目の前の男を見ながら、何しろと言うんだと、落ち込んだ。

「文哉さん、今日はよろしくお願いするぞお」
「好きにして、適当にフォローするから。」
「同じ事務所同士親睦を深めようではないか。」
「……」
「文哉さんは、そういえば。あの時、どうしてレオさんの曲でなくレオさんを選んだんだ?」

……あの時、と言う三毛縞の指示語がどれを挿しているのかはよく分かった。数年も前の話を引っ張り出してくるあたり、ちょっと腹が立つ。お前が引っ張り出していい話でもないだろうと思うが、こうして過去をたまに振り返るのも悪くないと思ってしまう当たり、俺も結構緩くなったと思う。

「それ答える必要なくない?」
「手厳しいなあ。」
「周りがみーんな、甘いからね。これぐらいでちょうどいい塩梅でしょう」

青葉もすーちゃんも、みーんないい人を地で行くからね。吠える役だっているんだよ。お前が今このESビルの中でどうやって動こうとしているかわからないけど、自分のところに火の粉が降りかかるなら俺は全力で叩き潰すから気を付けた方が良いよ。

「それはそれは、先達の格言は耳が痛くなる!侃々諤々、文哉さんは鋭い!」
「お前がへたくそなだけだろ。」
「手厳しい!」

好き勝手喋る三毛縞に適当に相槌を打つ。あんまり思考についてどういう経験がベースになっているかはよくわからないからこそ、ちょっとブラックボックスな雰囲気はしている。

「そういえば、この間文哉さんのエッセイを読ませてもらったぞ」
「は?」
「英語で苦労してるらしいじゃないか。ママは外国生活も長いから外国言語もそれなりに行けるんだなあ」
「……なにいってんだ?っていうか、なんで読んでるんだ?」

ほら、同じ釜の飯を食べる縁だ、ママに言語は任せなさい。と三毛縞は自分の胸を叩いて、まかせろというけど。いや、自分のことは自分でやるし。いらない。英語を教えてもらうとか、まじありえない。

「一人で大丈夫です。いりません。」
「俺と文哉さんの仲じゃないか!」
「お前と仲良くなった覚えもないけど?」
「手厳しい!」

そもそもお前の言語、基本的に肉体言語だろ。俺にできるか。過去にレオと三毛縞の旅行について聞いたことがあった。俺にはできない芸当だと思ってしまったので、御免被りたい。切っても離してもこいつは嬉しそうにしているからこそ、俺は調子を崩されるわけだ。こいつ、精神はケブラーとかチタンと科で出来てるんじゃないかと思ってしまう。っていうか、思ってる。コイツ、メンタル崩れないだろ、よくレオ一緒に生活できてたよな。尊敬する。俺?俺は多分2日で胃を壊すかもしれない。俺思ったより繊細なんだよ。
無理やだ、辛い。今回のドラマ、俺の胃無事に持つかな。

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