20200712(ないつの日) 5題-蹴り飛ばした意志の行方(瀬名泉)

5つのお題ったー
お借りしました。


お題は『蹴り飛ばした意志の行方・大好きなおもちゃ・約束を口実に・どうすれば手に入る?・夕陽の色に寂しくなった』です



セナと打ち合わせしてるときに不意に言われた。

「ねぇ。文哉。今、幸せ?」
「幸せだよ。急にどうしたの…。変なものたべた?」
「今日ずっと一緒に居たりしてるのに、食べてないの知ってるでしょぉ?」
「そうだけど、急にそんなこと聞くからさ。」
「この間のエッセイ読んだんだけど。」
「あぁ。あれね。」

売れなかった時代の苦悩や、搾取されてた時代のぼやっとしたものを記載した記憶はある。まぁ大事なこともいっぱい書いてた。ESはアイドル専門やバラエティ。むっちゃんのいるほうが本を専門のマネジメントをしてもらっている。去年の事件でむっちゃんは独立事務所を持ったのでそっちで恩返しをするつもりだ。

「結構一人で大変だったんじゃないの。『Knights』に入るまでさぁ」
「さぁ。俺もあれは意地だったんだろうね。」

大事な記憶だけ抱えて生きていく。そんな意思を持ってた時期だから。なんて言わずに秘める。この一年のことについては『Knights』の誰にも言いたくはないのだ。

「でも、その分今は幸せだし、いいじゃんね。」
「いいわけないでしょぉ。そのために俺たちも苦労してたりするんだから」
「……どういうこと?俺が負担だって言いたいの?」
「あんたを引っ張りたかったの。あのライブから。」
「あのライブ…?」
「あんたが一人で出たライブ」
「あぁ……そういわれると嬉しいな……」

頬がゆるむ自覚をすると、あんたには甘やかしが足りないからねぇ。拾ったころ野良犬みたいに誰も信じてなかったし。とか言われたけれど、レオとセナは絶対的な信用をしてますー!今も昔も!そんなこと主張をしたけれども、話半ばに流された。

「っていうか、野良犬は否定しないんだ。」
「犬だったし?」
「今は優秀な守護者だもんねぇ。抱きかかえていこうと思った意思を破ったのてどういう理由だったの?」
「俺だから欲しいって言ってくれたからかな。」
「あんたはほんと満点の答えしか出さないのやめた方がいいよぉ?」

そんなつもりはないんだけどなぁ。本音だし、そこはしっかり覚えてる。過去を抱いて生きる意思は蹴っ飛ばして、今ここで生きてる。それだけだ。



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