20200712(ないつの日) 5題-約束を口実に(朱桜司)

5つのお題ったー
お借りしました。


お題は『蹴り飛ばした意志の行方・大好きなおもちゃ・約束を口実に・どうすれば手に入る?・夕陽の色に寂しくなった』です




みんなで集まって打ち合わせの終わりに、見てしまった。カフェで甘味を食べるすーちゃんの姿を。

「や、すむ…文哉先輩……えっと、あのですね」
「さっきの打ち合わせでダイエットするって言ってなかった?」
「明日から行います。甘いものを控え、運動のあとに食事を…!」

食器を隠さなくていいよ。あわてて落としたら大変だし。
それだけ制したら、確かにそうですよね。とすーちゃんは恥ずかしそうに笑って姿勢を正した。

「数時間前の言質を翻すのってどうなの?」
「ぐっ…」
「前になんかで不屈の騎士ですから。って言ってたのあれは?」
「文哉先輩は論で刺しすぎです。」
「じゃないと、きみは堪えないでしょ?」

人の気持ちを読むことにはある程度長けてるから、人によって射し方変えてるよ。俺がりっちゃんに同じようには言わないでしょ?りっちゃんはすーちゃんと同じ方向でいくとなんだかんだと口八丁でごまかされるので、身をもって知らしめるためにあえて叩き落とすんだけど。

「約束って守れない人ってファンが悲しむと思わない?」
「良心に畳みかけないでください。」
「それが一番効果があるからねぇ。」
「文哉先輩って意地悪ですね」
「さぁ。どうだかねぇ。」
「『Knights』に関しては合理性だけで動くからね」
「あなたという人は……」

呆れながら、その向かいに腰を掛けて、飲み物とスプーンを頼むと目を丸くされた。

「半分食べて共謀でも担ごうかな。しっかり反省はしてるみたいだし。」
「黙っててくださるのですか?」
「まぁね。美味しいものの前で泣いて温くなるのも嫌だし。食べるよ。」

促せば、スプーンを握りなおして一匙掬い口の中に入る。甘いものって最後にいつ食べたかと記憶を掘り返したが、どこかの仕事で差し入れてもらったぐらいでしかないので、長いこと前だった気がする。

「珍しいですね。先輩がスルメ以外を食べるなんて」
「俺を何だと思ってるんだ…?」
「なんでしょう?」

ニッコリ笑ってそんなことを言うから俺は生意気だと言いながら大きく匙で救いとって早急に口の中に入れる。思ったより大きく減ったことに驚きの声をあげられたが無視。先輩に生意気言うんじゃありません。ホールハンズが鳴ったから、立ち上げるとナルくんから今どこにいるのかと連絡が入るので、今ここにいると連絡を入れておく。

「あんまりプライベートに口を出す人ではないと思っていたのですが、こうして一緒に雑談をしながら食べれるのは嬉しいですね」
「そんなことは二度もないだろうね」
「その時はまたこうしてDietの反故をします。」
「二度目はないよクソガキ。」
「また食べましょうね。素直じゃないセンパイ」
「あ。手が滑ってセナに連絡入れちゃったわ」
「保村先輩!!」

なんちゃって。連絡を入れたのはナルくんです。言いながらホールハンズを見せると、ナルくんとの連絡画面を見せる。すーちゃんとおやつ食べてるよ。と短文の連絡を入れたら速攻で行くの絵が入っているスタンプが付いた。


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