20200712(ないつの日) 5題-夕陽の色に寂しくなった(月永レオ)


ESビルから寮へ帰る間。ふとした瞬間に人々の隙間からオレンジが見えた。レオっぽい色だなーなんて思ってたら、レオに会いたくなった。今なにしてるかな、とホールハンズで連絡をすると、タイミングよく俺たちの曲が鳴った。え、珍しく持ってるの?とか思って音のほうを見たら、レオがいた。公園の隅で、ラジカセ片手に踊っている。

「レオ!」
「あ。文哉、うっちゅ〜!」
「なにしてるんだよ。こんなところで」
「ラジカセが捨てられててな!霊感が湧いた」
「よし、わかった。セナに連絡して説教コースな。」

止めろあれはやめてくれ。と持っていたラジカセを捨てて俺のほうに寄ってきた。うん、わかってるならどうしてした。レオにそんなことを詰めても意味ないのは知ってるので、リアルタイム罰則のが効果あるのを知っている。

「とりあえず、一旦ここを離れるぞ。人の目がありすぎる。」

ここからならビルに戻るよりも星奏館はすぐそこだ。もしかしたら『Knights』の誰かがいるかもしれない。いたら巻き込もう。そんな魂胆で、レオの手を引く。

「文哉はいつもオレを見つけるのうまいよな」
「いつも追いかけてるからね。探すのは慣れてるし?」
「いいや。おれが戻ってからはお前はずっとおれたちと一緒の速度で走ってるし、横で笑ってる」

そんなことを言われて、目頭が熱くなった。俺はずっと後ろだと思ってたし、必要時にはトップスピードで先頭に立って地慣らしをしてたりするから、一緒と言えば一緒だけどそうじゃないと思ってた。なのに、そういってくれるのが嬉しくて、鼻が痛い。でもよかった、俺が前を歩いてるから、どんな顔してもレオにバレない。そっと涙をのみ込んで、なんでもない顔をして声を作る。

「レオ、ちょっとだけ聞いてくれよ。」
「どうした?」
「俺『Knights』でよかったよ。あの時、レオの楽譜を拾ってよかったって思ってる。」
「そうか。よかったな!」
「大好き」
「おれもだぞ!」
「そっか。」

繋いでない方の手で目をこすって、何事もないふりをしながら角を曲がればもうすぐ星奏館。見えてくる建物もレオの色に染まるのが見える。触れている熱が心地よくてセンチメンタルになった。あとで、抱き着いておこうとか考えるのだから、俺も結構甘くなったな。と思ってしまった。



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