変人名無し・若真島

【変人名無し】
建物の隙間隠れて、パシャとカメラを撮す名無し。
何を撮しているのかと言うと、蛇柄のジャケットと左目の眼帯がトレードマークの、嶋野の狂犬と呼ばれるヤクザ、真島 吾朗を撮しているのだ。
「(ぐへへへ……今日も写真ゲット!)」
またカメラを構えると、そこにいた真島がいなく、構えながら建物の隙間から出た名無し。
「おい」
後ろから声をかけられて、ビクとしながら後ろを向くと真島がいた。
「なんや。女かい」
「ひぃ!!ご、ごめんなさい!!!」
ペコペコと頭を下げて謝る名無しに、近寄ってきた真島。
「毎回隠れてカメラを撮すなら、堂々とやりや」
「へ?……。いいい、いいんですか?」
「ええで。撮したいやろ?」
「は、はい!……今度から堂々と撮しますぅ!」
こんな事を言ったせいで、どんな時でもシャッター音と名無しを見かけるようになったとさ。


【若真島】
「……は?」
真島の言ってる事が理解が出来ない。今まであっただろうか。自分は真島の秘書兼恋人なのだ。
名無しは、もう一回聞き直した。
「だからな。変な薬を飲んだらこうなったんや」
薬までは分かるが、若くなる薬はこの世にあるのだろうか。そこが理解出来なかった。
しかも、真島の話を聞くと、変な白衣を着た人から、声をかけられて、スタミナンスパークを貰ったそうで、それを飲むと急に眠気が出て、寝て起きて西田から言われる。
「親父……若くなってます」
と。
自分で確認すると、20代の自分が鏡にいたらしい。秘書名無しは、落ち着く為にソファに座った。
「いつ効果がきれるんですか?」
「さぁな」
「さぁって……」
「別にいいちゃう?」
「真島さんが気にしてないならいいですよ。でも、明日の幹部会はどう説明するんですか?」
「素直に言うしかないやろうな」
全く気にしてない本人。
結局次の朝には元に戻った。
「元に戻ったな」
「よかったじゃありませんか」
「よくないわ。あれこれやる予定だったのに、名無しちゃんが大量に仕事持ってきよって!」
「あれこれって何をやるつもりだったんですか?」
「それはやな」
耳元で言うと、名無しの顔が赤くなり、その顔を見てケラケラと笑う真島でした。

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