甘くなったミカン

正月。
仕事が休みになり、恋人の名無しの家で、のんびりと過ごしていると。
「実家から来たミカン食べますか?」
「あぁ。貰おうか」
持ってきますね。と台所から、籠に大量に積まれたミカンを持ってきた。大吾は、一個手に取って皮を剥いて、口に入れた。
「美味しいな」
「甘いミカンですね」
パクパクとミカンを食べると、最後の一粒が。
「ん?これ、すっぱい」
「………」
大吾は何を思ったか、グイッと名無しの顔を近づけて。
「!?」
「…………甘くなったろう?」

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