仕事が少し一段落したから、休憩がてらソファで横になり、目を瞑る。
何分たったか、そろそろ起きようと、大吾は、目を開けると。

「ん?……はぁ!?」

赤いロープで縛られていた。
訳が分からず、取り合えずロープをはずそうと試してるが、結構頑丈に結んでいた。

「くっ!……駄目か。どうしたら……ん?」

ドアが閉まる音が聞え、助けてもらおうと、首を近づいてくる人に向けると。

「名無し?」

「大吾さん起きました?」

「はぁ?起きましたって……名無しなのか?」

あっ……バレましたと舌を出す名無しに、
怒りたくなるが、理由を聞くと特にないと言う返答。

「はずしますね……よし!それではまた」

急いで部屋を出た名無しに、ため息が出た大吾だった。


「ふふっ!真島さんに見せよーと!」

カメラを持って真島組に向かった名無しでした。

おい。何で俺、縛られてんの?

最近ミレニアムタワー東にあるBARバンタムに通い続けている。
何故なら、ある男性が気になってるからである。

「いらっしゃいませ…また来てくださったんですね。此方にどうぞ」

席に案内され座ると。

「最初はビールでしたね」

バーテンダは、サッと作って出してくれたビールをグッと飲んだ。
ビールを飲みながら、目をゆっくり左右に動かせば、奥に座る男性がいる。

「(あっ……今日もいた……)」

オールバックで黒のスーツを着て、お酒を飲む姿が格好いい男性。

「(はぁ〜今日もイケメンだわ)」

自分は美人でもない、飛び抜けて外観が美しくもないし、ただの平凡だけど、あんなに格好いい男性と飲めたら、友達に自慢出来るだろう。

「(まぁ、現実そんな事起こらないけどね……)」

お酒に目線を戻すと。

「………すいません」

「えっ…!」

ビックリして声を掛けられた方面に顔を向ける。

「……一緒にどうですか?」

突然格好いい男性から声をかけてきたのだ。

「……えっと…」

「誰か待ってるなら……」

「いえ!大丈夫です!」

大きな声に少しビックリしていたが、クスッと笑われ一緒に飲む事になった。

お互い初対面……とゆうかドキドキして、無言になったりしたが、頑張って名前を聞いたり、年齢を聞いたりで、当たり障りのない話題を振りながら、段々距離を縮めていき、楽しい時間を過ごす。

「ん?こんな時間か…悪い帰るよ」

「そうですね!今日は楽しかったです」

「俺もだ…」

「…………」

「また会えるか?」

「……はい」

また会う約束をして、大吾さんは店を出ていった。

「(今日は最高!!)」

通い続けて良かったと思う。
名前も分かり、しかも次の約束までしているのだ。

「(友達に自慢しちゃおう)」

上機嫌に飲む姿にバーテンダーは、クスッと笑った。

通う理由

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