自分にも原因があったかもしれない・・・。
会えない日が多く、寂しい思いもさせてしまったのかもしれない。
極力ご飯やら家に行って時間を作ったつもりだ。
電話もメールも。
セックスも沢山抱いた。
それでも名無しは、寂しさに耐えられなかったのだ。
他の男とキスをしている所を見た時は、おかしくなりそうだった。
こんなにも愛しい名無しを奪ったのだ。
あの男を、誰にも知れず消す事なんて当たり前に出来る。
名無しにも……。
でも、自分にも原因があったかもしれない・・・。
そう思うと落ち着いた。
ケータイの履歴から、名無しの名前を消した。
もう会うことはない。
幸せなら、それでもいいのかもしれない。
それが本音かもしれない。

「寂しくさせて悪い名無し……」

ポツリと一人言を言って、また歩きだした。
────────────────────────
最初は裏切るつもりではなかった。
彼の仕事は知ってたし、忙しいのは分かっていた。
わがままを言って困らせたくなかったし、本当に好きだった。
でも、自分は寂しさに耐えられなかった。
だから、埋めてくれたこの目の前いる男と隠れて付き合っていた。
裏切ったのだ。
連絡はしないつもりだ。
自然に終わらせるつもり。
ケータイの履歴から大吾さんの名前を消した。
裏切った事に怒るだろう。
許せないだろう。

「ごめんね……大吾さん」

ポツリと一人言を言って彼の胸の中で目を閉じた。
お互いの気持ち

ストレスで、大好きなお菓子をバリバリと食べる。
お腹回りが凄いことになってるが、別に彼氏も好きな人もいないから気にしてなかった。
ある日、神室町ミレニアムタワー東通りを歩いていると、何かにつまずいて、踏ん張るため一歩前に足を出すと、ヤクザの怖いお兄さんの靴を踏んでしまった。
囲まれて逃げ場を失ったので、土下座までして謝ったが、許してもらえずだった。

「(どうしよう……)」

困って回りをチラチラと見ても、回りの人は素通りで、助けは期待できない。
こうなったら有り金全部捧げて許してもらおうと、かばんから財布を出して、有り金の全部をヤクザの前に出す。

「ゆ、許してもらえませんか?……」

バッとお金を取られ鼻で笑われ、また土下座して、やっと解放された。

「……」

最悪な日である。
立つ気力もなく、ペタリと地面に座っていると、一人の男性が近寄ってきて、スッとお金を出されたのだ。

「取り返してきました」

「へ?」

「見てたんですよ」


オールバックで黒のスーツなんだけ、さっきのヤクザのお兄さんとちょっと感じが似てて怖かったが、整ってる顔と背が高いのが、好みだから少し信用して、お金を取りお礼を言った。

「あ、ありがとうございます……」

「いえ。じゃあ……」

去ってゆく男性を見てから、ゆっくり立ち上がった。
パンパンとおしりを軽くはたく。
一部始終を見てた回りの人達の目線が痛く、さっとその場をはなれる。
デブが、お金を取られて怖い感じの男性にお金を貰う……会話は聞こえてなかったからこんなかんじだろう。
こんな目に会うならダッシュで逃げれるよう痩せようかなと思った。
痩せたらさっきの男性みたく会えるかもと妄想しながら家路に帰っていった。
自分は変われるだろうか?

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