テレビを見ていると。

「二人きりになったので帰りましたよ」

と、綺麗な女の人が言っていた。
当たり前の判断だよなと、ソファに座って雑誌を読んでる人をチラッと見て、すぐにテレビに戻した。

「(……私の判断は違う?)」

ソファの実物堂島大吾とは、ただの友達である。
たまにこう来ては、ただ酒を飲んで楽しく終わる関係。
テレビを見るまでは、深く考えてなかった名無し。
友達としてしか、堂島大吾をみていなかったのだ。

「(私。変なのかな……)」

イスから立ち、ソファにいる大吾の隣に座る。

「ん?」

「大吾さん!……下心ってあるんですか?」

その質問に、大吾さんが目を丸める。

「何を言って……」

「あっ……いや〜あるのかなって思って」

「……」

眉間にシワをつくったもんだから。

「ご、ごめんね〜……」

と、謝ったってから、さっき座ってたイスに戻る。

「(あ……へ、変な質問したな〜私のバカ!)」

楽しかった関係が壊れるのを深く反省した。
二人きりなんて関係なく、ただお酒を楽しく飲んで、愚痴とか何となくの会話を大吾さんとするのが、名無しにとって少しのストレス解消だったのに、
テレビの影響で、変な質問をしてしまった。
もう二人きりにはなれないと名無しは思った。

「名無し……」

「はい?」

「そんな関係になりたいのか?」

「へ?……」

今度は逆に、名無しが目を丸める。


「俺は……そうでもいいとは思ってる」

「!!」

「考えておいてくれ……」

また雑誌を読む大吾。
目を丸くしたまんま、ボーとしているな名無し。
やっと直った時には、顔が赤くなった。
普通に2人きりですけど

二人でいる時はいい。
一人で帰りを待っている時、何か音が鳴ると、ビックと体が反応する。
私は、一人でいる事が苦手だ大吾さんと付き合う前は、家には誰かいたから安心できたんだと思う。
だからと言って、お風呂とか入れない訳でもない。
常にいい香りと綺麗な肌をキープはしたい。
でもやっぱり一人は寂しいし怖い。
テレビとか見ていると、一人女性の家に泥棒が入り、なにかを盗まれたり襲われたりする事件が発生すると、違う県でも、不安でドアの鍵を確認したりする。
大吾さんに言うと、ギュッと抱きしめてくれて、大丈夫だと言ってくれる。
安心するまで、抱きしめてくれる大吾さんに常に感謝している。

時計を何回も確認して、早く帰ってこないかなと思いながら、夜ご飯を食べながらドラマとかを見るが、仕事の疲れもあるのか直ぐにウトウトしてきた。
茶碗を洗うため、立ち上がって台所に行って洗い始めると、丁度洗い終わった時ごろ、LINEの音が鳴り、確認すると、大吾さんだった。
“もうすぐ家に着く”“わかりました”とやり取りして、大吾さんの帰りを待った。

15分後、鍵の開ける音がして玄関に行くと。

「ただいま」

「お帰りなさい大吾さん!」

寂しさもあって大吾さんの胸に飛び込む、しっかりと抱きしめてくれた。

「いつもありがとう大吾さん」

「安心するなら何回もするさ」

その言葉にフフッと笑い、またギュッと抱きしめた。
怖がり

テレビを見ていると、色々なフルーツを混ぜてどんな味になるかと実験をしていた。
それを見て、自分のお金で買えるだけのフルーツを買ってミックスジュースを作ろうと考えていた。
スーパーの帰り、偶然知り合いの真島さんに会う。
大量のフルーツを何に使うんだと聞いてきたので、ミックスジュースを作ると答えた。
少しの会話をして、真島さんと別れて家に帰る。
家に着くと、携帯の着信音が鳴り、確認すると大吾さんだったので、電話に出る。

「はい。大吾さんどうしました?」

「今日早く帰れそうなんだ。行っていいか?」

「はい。」

「分かった。じゃあ行くな」

大吾さんが来る事になり、家を少しでもかたずけ&掃除を始めた。
家が綺麗になると、次は料理で、ミックスジュースの事は忘れていた。

ピンポンとチャイムが鳴り、インターホンで確認すると大吾さんで、玄関を開けると、大量の荷物を持っていた。

「お疲れ様。何を持ってきたんですか?」

「フルーツだよ。真島さんが教えてくれたんだ」

片方の荷物を持って家に招き入れ、テーブルに置き、荷物のフルーツを確認する。

「わぁ!フルーツいっぱい!」

「部下に頼んだんだ」

さすが六代目と心の中でツッコミして、お礼をする。

「ありがとうございます大吾さん」

沢山すぎるフルーツを切ってミキサーに入れて混ぜる。
流石に大量過ぎて時間がかかったが、テレビと同じとはいかないミックスジュースが完成した。

「ふぅ〜。やっと出来ましたね」

「お疲れ。飲んでみるか?」

「はい」

ゴクリとお互い飲む。
口の中は柑橘類の味が広がり、美味しく飲めて笑顔になった。
ミックスジュース

LINEがこない日や電話がこない日が続くと、寂しくって不安。
仕事を知ってるから、連絡できないのも知っている。
でも、そうじゃなかった。
忙しいのにLINEやで電話をしてきてるのだ。

「ありがとう。大吾さん」

今度この言葉をLINEで言おうと心に決めている。
あなたに感謝

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