「おい!姉ちゃん!そいつを渡しな!!」
天下一通りで、チンピラの男達が一人の女を囲っている。
誰が見ても女がピンチだと思うこの状況。
でも、道行く人は誰もが早足で去ってゆくか、野次馬になるだけで、誰も助けてはくれなかった。
「可哀想。大丈夫?」
「このアマ!無視かよ」
「あの犬と一緒にやっちまおうぜ!!」
一人の男が女に向かってナイフで襲う。
女は犬を持ちながら軽く避け足先を出すと、それに躓いた男は地面に転ぶ。
すかさず女は、素早い動きで踵落としを男にヒットさせる。
男は痛いのか立ち上がれない。
それを見た男達は一斉に女を襲った。
「す、すみませんでした〜」
謝りながら、バタバタと男達は逃げていった。
女は乱れた髪を手で直し、犬をゆっくり地面に降ろす。
「もう平気だよ」
「クゥ〜ン」
「私行かなくちゃ。バイバイ」
去ろうとすると、犬は女の後を付いてくる。
「駄目だよ〜」
「クゥ〜ン……」
「うっ。そんな顔しないで。分かったよ〜。今から大吾さんに会うから聞いてあげる」
「キャン!」
元気に吠えた犬をまた抱き抱えて、約束場所であるミレニアムタワーと急いだ。
「なんで犬??」
「助けたら付いてくるから……。やっぱ駄目だよね?家に連れていくのは」
約束場所に先に着いていた堂島大吾は、眉間に少しシワを寄せる。
今日はデートなのだ。
お互い忙しいから久しぶりに家でゆっくり食事でもと誘った大吾。
名無しに会うと、犬がいるのだ。
上目遣いをしている名無しにため息して。
「分かったよ」
「いいの!良かったねワンちゃん!」
「(名無しには勝てないな)」
大吾宅に行く二人と一匹は、リムジンが停めてある昭和通りに向かった途中。
「あっ!アイツです!」
名無しが倒したチンピラの男達が、大勢引き連れて、 それを束ねてるのかヤクザの男が、名無しと大吾の前に立つ 。
「お前だな あいつらやったのは?」
「ん?……あぁさっきのね。そうだけど?またワンちゃん狙いなの?」
「犬なんざ関係ねぇ お前だよ!」
「はぁ〜。ワンちゃんはここで待っててね 大吾さん手伝ってくれます?」
「いいぜ」
「この人数に二人とは舐められたもんだな!」
手の合図に大勢の男達は二人を囲んで襲ってくる! 武器を持つ男達がさっきより多いが、名無しと大吾は関係なく倒していく!
「大吾さんデスクワークでも衰えがないね」
「当たり前だろう」
あっという間に大勢の男達を倒した。
「ちっ!使えねえ野郎共だな」
「アイツで最後だね 大吾さんは手出し無用」
「分かった」
「俺を舐めんなよ!」
勢いよく突進してくるが、強烈なハイキックで一発で仕留めた。
男は気絶した。
「相変わらず名無しのハイキックは凄いな」
「エヘヘ。そんな事ないよ」
地面に転がる男達を放っといて楽しく喋りながら去ってゆく二人と一匹なのでした。
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