やっと中に移動した名無しは、端で大人しく飲み物を飲んでいた。
すると、見たことがある人がいる。
堂島大吾だった。
誰かと話していて、話が終わったのかこっちに歩いてくるのだ。
「(わからないよね……)」
手に持っていたグラスをクッと飲み、ハンカチで口を拭いてから、また堂島大吾を見ると、目が合う。
「(!!)」
バッと、とっさに首を下にむけた名無し。
しかし、足音が近くに聞こえた。
「すいません」
「は、はい」
「……あぁ、やはり。また会いましたね」
「!!。分かるんですか!」
グッと首をあげた。
「手に持ってるハンカチ」
「あっ」
「パーティに来てたんですね」
「え、えぇ……」
「良かったら、少し話しませんか?」
「は、はい」
大吾と、会話を始めた名無し。
何を話したらいいのか分からず、会話が続かないが、大吾も同じだった。
その時、おとなしめのムーディーな曲が鳴り、チークダンスが始まった。
それを見ていた名無しは、恥ずかしくって絶対無理だなと思っていたが、大吾が。
「踊ってみませんか?」
と、言ってきたのだ。
「えっ!」
「大丈夫です。音に合わせて揺れるだけですし」
「あ、はい……」
返事をすると、名無しの手を取って、チークダンスのポーズになる。
大吾の体に密着すると、ドキドキして顔も見れないぐらい顔が赤くなる。
しばらくチークダンスが続いて、音楽が鳴り終わると、名無しは、バッと急いで体を放した。
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