ヤクザの人を好きになってしまったA

仕事が終わり、気分的に飲みたい大吾は、真島と行った店を思いだし、近くで降りて店に向かった。


「いらっしゃいませ……あっ!真島さんとご一緒だった」

「また来ました」

「お席にどうぞ!……何を飲みますか?」

「ビールで頼む」

「かしこまりました」

無駄のない動きで、さっとビールが出てきた。
大吾は手に持ち、グイッとビールを飲む。
トンとグラスを置いて、何かつまみを頼むかとマスターを見ると、何やら時計を見ていた。

「遅いな〜何かあったのかな」

マスターが、小さな声で言ってるのを聞こえた大吾は、気になって聞いてみた。

「どうしたんですか?」

「あっ……じつは名無しさんが来ないんです」

まさかと大吾は、席を立つ。

「少しこの辺を見てくる。マスターは店にいてくれ」

「えっ!あ、はい」

外に出た大吾は、泰平通り東に向かう。


泰平通り東に着いた大吾は、回りを見るが名無しの姿はなく、その辺を歩く。

「(いないな……。)」

店に一回戻ろうとしたとき。
見た事がある男が歩いていた。

「(確かあいつは……)」

前に名無しが困ってて、真島が倒した男の一人だった。
大量の袋を持って、何処かに向かっているようだった。
男を見た大吾は、胸騒ぎがあり、バレないよう距離を保って後を着いていった。



「(ここか?)」

古い雑居ビルの中に入ったのを確認して、大吾も中に入る。
階段を上がると、ある階の部屋の中に男は入っていた。
何か聞こえるか少し近くに寄り聞き耳をたてる。
人の声は聞こえたが、何を言ってるのかは分からなかった。

「(くそ……ん?)」

誰かが階段を上がってくる音が聞こえて、大吾は素早くその場から離れて様子を見る。
部屋の中に入ろうとしたとき、大吾が後から腕で首を絞めた。

「うぐっ!」

「静かにしろ……俺の質問に答えろ。この部屋に女がいるか?」

「な、なんの事だ」

「質問に答えろ……」

「ぐっ……いる!いるって!」

腕を外して、むせてる男を無理やり起こして、一緒に部屋の中に入る。

「なんだてめぇ!」

男のでかい声に、違う部屋からゾロゾロと出てきた。




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