宝者

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「ごめんね」

『え……ちょ、ちょっとどこ行くの!!?』

「……」

『何考えてるんよ!?』



ぎゅっと力を込め握った俺の腕に彼女の戸惑いが、彼女の変わった言葉遣いと抑え気味な声が、一歩先行く俺の背中に焦りを伝える。

すべてそれは…

俺の為に俺の前で深い笑顔を見せることのない彼女の優しさ。


「ごめん。なまえ」
『……』


しばらく車走らせて着いた場所は相変わらず静かにキラキラ輝いて。少し遅れて車から降りて俺のそばにやってきたなまえを見れば、きゅっと唇結んだまま呆れた顔をして俺を睨む。


「今日はなまえを抱きたい、朝まで帰さない」





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