確率
[8/8]
「…」
『な、なに?!』
「別れた男の事思い出して余計な世話?」
『なっ!』
「それとも失恋した元オトコに付け込むなら今のうち?」
『!!!』
バッと上がった彼女の腕を取り、引き寄せ強引にキスをする。全身を使い拒絶を見せる彼女に興奮を覚えた。
そんな昂りが未だある自分への驚きと、初めて出会った日から本当の俺を見抜いたこの人への軽い苛立ちで。
―――ガラガラ!!
みょうじ先生〜?世良先生もいないんだけど…
(忘れてた、面倒くさ…)
『ちょ、ちょっ!むぐっっ!!』
(静かに、誤解されたい?)
(…)
必死に首を振るこの人が滑稽で笑いが漏れる、あ…っと思った時にはしっかり見られてて、
(チッ!)
(舌打ち!?)
‥‥演技しなくていいこの空間が案外悪くない、言わないけど。
黒い自分を知られている以上甘い言葉は言えるわけがない、そもそもそう容易く言うものでもない。
恋愛なんてこりごりな男女が恋人同士になる確率は何パーセントあるのか、神狩先生あたりに問えば答えなんて簡単だろうけど、ゆっくりとその答えを俺の腕の中で縮こまるこの人に答えさせるのも悪くない。
この人といると疲れない俺でずっといられる。
確率は100%。
―――やっぱり悪くない。
こんな言い方しか出来ない俺がいる限り確率は上がらない。
彼女の答えが先か。
俺が素直になるのが先か。
まずは、恋愛禁止が楽で仕方がないこの人を恋愛解禁にしなければ。
END
271221
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