小説 | ナノ




love panic





どうしてこんなことになっているのだろう

片思いしている苗字に力強く抱きしめられている
力強く抱きしめられている、がために苗字の胸の柔らかい感触がダイレクトに…
って俺は何を考えているんだ


こうなったのは思い返してみること数分前






「神童くん!片付けなら私がやるのに!私マネージャーだよ?」

今日はあいにくの大雨、そのためたまたま今日練習が休みだったバスケ部の体育館の場所を借りて室内練習をしていた。


テスト明けで皆お疲れのようだったので、俺が率先して片付けをしていた

「苗字だって今日大きい欠伸してただろ、疲れてるみたいだし俺に任せてくれていいよ?」

えー、と苗字の声が背後からする

「欠伸してたの見てたの…?!恥ずかしいなぁ…。テスト勉強全然してなくて徹夜しちゃって…」


俺はボールをかごに入れながら答える


「徹夜…! 徹夜なんて健康に悪いぞ、」

「やっぱりそうだよね…。前もってやろうとは思ってるのにねー…。なんか…」

パタン

扉が閉まる音がする


扉が締まる音…?


え。

慌てて苗字の方を振り返る

「神童くん、どうしたの?」


苗字の後ろには閉じられたドア


俺は唖然とする


「…ここの倉庫の扉、中から開けられないんだが…知らない…?」

苗字はえ?!っといい慌ててドアノブを回しドアを開けようとするが全くもって開かない

「うそ…。、どうしよう…」

「俺の荷物は置いたままだから、誰か気づいたら開けてくれる…かもしれないが…」



二人とも携帯も倉庫外にある荷物の中だ


倉庫の電灯は壊れていて
唯一の光である倉庫の上の方にある鉄格子の外から見える空は
大雨のためどんどん暗くなり
倉庫の中はかろうじて見える程度となっている


外が一瞬眩しく光ったと思うと雷のけたたましい音が響く。



その直後にする苗字の悲鳴

「苗字大丈夫か?!」


そういいながら苗字の傍にいくと
苗字は俺の体に手を回し抱きしめる形に


「苗字…?」

苗字は涙ぐんだ声で答える

「ごめんね神童くん。怖いから少しこのままで居させて…」




…とそのまま数分たったわけだが…

俺の心臓の鼓動が早い

苗字にも聞こえてるのであろうか



俺よりも頭一つとは言わないがそれくらい小さい苗字

俺にがっちり抱きつきながらもかすかに震えてる苗字にとてつもない愛らしさを感じで思わず頭をそっと撫でる

「ん…?」
とこの暗さでも至近距離だからわかる
苗字の瞳は潤んでいて、その上至近距離で上目遣いの状態になって無性に鼓動が更に早くなる

「雷にこんなに驚くなんて子供っぽい、って思ったでしょ?」
と潤んだ瞳でふわっと笑う苗字

心臓の鼓動は早くなり続け
頭もよく回らなくなってるようだ
思考回路がパニックに陥っている

「いや、かわいい、と思った」

「神童くん…?」

「俺、苗字のことが好きだ」

そう口走っていた

そこでようやく頭の熱が少しずつ冷める

いきなりかわいいっていって
いきなり告白して…

苗字が怖がっている今言うことではなかったのではと頭がまたパニックに陥る


「嬉しい、」

そう聞こえたと思ったら苦しいくらいに抱きしめられ

「私も神童くんのことが、好きです」

と苗字が背伸びして俺の顔に顔を近づける

え、と思った次の瞬間、
唇に柔らかい感覚



キス…してるのか…



しばらくすると苗字の顔が離れる

少し息が苦しかったのか息が荒く頬は少し赤く染めたまま座り込んでにこっと俺を見上げる

その表情をみて俺は苗字に向かい合うように座り
「好きだよ、名前」

今度はパニックになったままではなく、まっすぐ名前の方を見て

名前はすこしびっくりした顔で俺を見ると
「私も好きだよ、…拓人くん」



お互いに唇が自然と重なる




雷の音でも雨の音でもない音がする、
「神童先輩と、苗字先輩…」



ふと声のする方を見ると天馬


あ、俺達閉じ込められていたんだった


雷でも雨でもない音の正体は扉が開く音


「お、おれはみてないですからね?!!!」


と明らかに顔を真っ赤にしてそっぽを向く天馬


見られてたのかと一瞬焦るが、左手に感じた名前の温もりでただ俺は幸せな気分につつまれた


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