10年の想い


「おめでとー」
「同窓会やろうなー」
「また会おうねっ」

三月の初め、とある高校の卒業式が終わり、皆思い思いクラスメイト達と語り合っている。

「…ヒーロー君…」

その中の一人、ナナシごんべいはみんなの輪の中にいる美青年、ヒーローヒロを見つめていた。

「ヒーロー君打ち上げ会やろうよー」
「うん、良いよ」
「どこにするー?」

クラスの女子は、殆どがヒロに好意を寄せていた。
ごんべいもその一人だが、少し話をした事があるだけで、何も進展をせずまま卒業してしまった。

「…さようなら、ヒーロー君…」

ごんべいはそう心で呟き、彼に別れを告げると、そっと教室を出て行った。
そんな彼女の後ろ姿を、ヒロがじっと見つめていたー。







「同窓会?」
「うん、高校の時の。今度の金曜日の夜にやるんだって」

ラブホテルの一室、情事を終えた二人は、お互い着替えながら話をしていた。

「高校なら10年以上会ってないって事か」
「うん、楽しみなんだ」
「よくある話だけど、好きだったやつに再会してそのまま持ちかえり…なんてされるなよ?」

彼氏は彼女の腰に手を回し、引き寄せながら言う。

「大丈夫、私は貴方一筋だから」

ちゅっと、彼女は彼氏にキスを落とす。

「なら良いけどよ…ん」
「ん…あんっ…」

服を着たのに、と、ごんべいは思ったが、胸を弄られらと抵抗が出来ない。

「ごんべい…好きだ…」
「あんっ、ああん…」

そのまま彼に胸を愛撫され、ごんべいは2度目の甘い声を漏らすのであった。




「ふう…けど同窓会か、懐かしいな」

週末の金曜日の午後、ごんべいはキーボードを打ちながら呟く。
ごんべいが高校を卒業してから、10年以上が経っていた。
仕事も順調、彼氏もおり、普通の生活を送っていた。
それまでは全く思い出さなかったが、同窓会の話があってから、ごんべいは当時思いを寄せていた、ヒーローヒロの事を思い出していた。

「ヒーロー君、来るかな…」

ヒロに会っても何かするわけでもないが、やはり、好きだった人には会ってみたいのが本音。
ごんべいはそんな事を思いながら、残りの仕事をこなすのであった。



「ここかな?」

仕事を終え、同窓会の場所と指定された居酒屋へと辿り着き、ごんべいは中へと入る。

「あっ、ごんべいー!久しぶり!」
「わ、久しぶり!」

同じクラスメイトだった女性が、ごんべいを見て声を上げる。

「ごんべい綺麗になったねー羨ましいっ」
「そんな事ないよ」
「謙遜しなくていいの、あ、みんな奥の部屋に集まってるから」

彼女に指定された奥の座敷へと向かうと、もう数十人のクラスメイト達が集まっており、思い思い語り合っていた。

「今何してる?」
「これこれこーでさー」

男性達は、お互いの近況を報告しあっており、ごんべいが中へと入ると、自然に女性達の中へと入っていく。

「私も結婚したくて」
「でもまだ自由がいいよねー」
「だよね、あっ、ごんべい彼氏いるの?」
「うん、いるよ」
「えーいいなぁ」
「私別れたばっかでさ、今日の同窓会期待してるの」

まるで学生に戻ったような、そんな感覚に陥るほど、みんな若く、元気に思い思いを語っている。

「ヒーロー君来てるんかな?」
「まだ来てないみたい」

元クラスメイト達の言葉に、ごんべいも少なからずソワソワしていた。

(私ったら、ヒーロー君に会えるだけでドキドキしてる…来るかどうかさえ分からないのに)

ごんべいの一番の目的はヒーローヒロに会う事だ。
例え話せなくても会えればと、ごんべいの胸の鼓動は高鳴る。

「こんばんは」

スッと、扉を開けスラッとした美青年が声を上げ中へと入って来た。

「おーヒーローー久しぶり!」
「相変わらずかっこいいなー」
「きゃーヒーロー君!」
「10年前と変わってないー素敵!」

男性も女性も、ヒーローヒロが現れると声と表情を輝かせ、彼を出迎えた。

(ヒーロー君…来てくれたんだ…っ。わ、高校の時と変わってないけど、凄い大人っぽくなった…)

学生時代と変わらず美青年だったが、その時よりも更に一層かっこよく、ごんべいの心を高鳴らせていた。

(良かった、ヒーロー君に会えて。もうこれだけで満足だわ)

好きだった男性に会え、不思議と、ごんべいはそれ以上の事は望まなくなっていた。
今の彼氏を大事にしたい、そんな思いの方が強くなっていた。
そんなごんべいの姿を、ヒロはじっと、卒業式の時と同じように見つめていたー。



「ふう…飲みすぎちゃったかな」

お手洗いで手を洗いながら、ごんべいは鏡を見つめる。
少し化粧が崩れているが、もうそろそろお開きになる為、直そうとはしなかった。

「ナナシさん」
「!あ、ヒーロー君…?!」

女性トイレから外へと出ると、そこには思いもよらない人が立っていた。

「もうお開きだって。みんな帰り始めてるから、伝えに来たんだ」

柔らかな笑みをたたえ、ヒロは言った。

「あ、そうなんだ。ありがとう…」

ヒロと話すなんて本当に久しぶりの事で、ごんべいは少しタジタジになってしまう。

「ナナシさん、もし良かったらこの後一緒に飲まない?君と一度ゆっくり話がしたいと思ってて」
「えっ…」

突然の誘いに、再びごんべいは驚きの表情を浮かべる。

(ヒーロー君が私と…?嬉しい…でも…)

ごんべいは、この後彼と会う約束をしていた。
お互い仕事をしている為、週末にしか会えない貴重な恋人としての時間だ。

「もし、予定があるなら少しだけでも良いんだけど、どうかな」

高校時代、ずっと憧れていた人からの誘い。

「じゃあ…少しなら…」

ごんべいはコクンと、首を縦に振っていた。




「ナナシさんOLなんだ、良い響きだね」
「そんな。いつもパソコンとにらめっこばかりだよ」

ヒロに連れられたお洒落なバーで、ごんべいはいつもあまり飲まないお酒を口にしていた。
ヒロとの楽しいお喋りに、ついお酒も一緒に進んでしまっていた。

「…俺さ、ナナシさんの事、高校の時ずっと良いなって思ってた」
「!えっ…」

お酒の入ったグラスを、ごんべいは思わずカランと揺らしてしまっていた。
おずおずと隣を見やると、優しい笑みを浮かべたヒロが、じっと見つめていた。

「今日また会えて…10年振りに会えて分かった。俺、まだナナシさんが好きだって。…だから、俺と付き合ってくれないかな」
「!!!」

ごんべいの頬は、一瞬で真っ赤に染まっていた。
好きだった憧れの人が自分を好きでいてくれたなんてと、あの時の、高校の時であったらどんなに幸せな気持ちだっただろう。
ブルッと携帯が振動し、彼からのメールが届いたとごんべいに知らせていた。

(そう…私にはもう彼がいる。私を大切にしてくれる彼が…)

ヒロの事は、遠い学生時代の思い出。
今はもう違う、立派な大人、学生ではない。

「ヒーロー君…ありがとう。とても嬉しい。でも、今付き合っている彼がいるの。彼の事が好きだから…ごめんなさい」

ごんべいはペコリと、頭を下げそう言った。
自分の気持ちに嘘はない、ヒロの気持ちは本当に嬉しかったから。

「…そっか。うん、残念だけど仕方ない。じゃあ、もう出ようか。彼氏さん待たせたら悪いしね」
「ヒーロー君…ごめんね、ありがとう…」

ヒロの笑顔は変わらないままであった。
申し訳ないと思ったが、素直な気持ちを伝えられて良かったと、ごんべいは思った。

「…」

ヒロは黙ったまま、ごんべいの隣を歩いていた。
送ってくれるという彼の言葉にお願いしたのだが、やはり気まづい空気が漂っていた。

「あ、ヒーロー君、もうここで大丈夫だから…」

ごんべいがそう言った途端、ヒロがガシッと彼女の腕を掴んでいた。

「このまま帰すと思ってんの…?」
「え…」

そこにいたのは先程の優しい美青年はいなく、男性の表情をしたヒロであったー。





「や…っ、離して…!」

ごんべいは悲痛の声を上げていた。
彼女は気づいていなかったが、先程ヒロと歩いていた場所は、ホテルが立ち並ぶネオン街。
無理やり近くのラブホテルの一室へと連れ込まれ、そのままベッドへ押し倒されていた。

「ごんべいさ、高校の時ずっと俺のこと見てたくせに、他の男作ったんだ」

両手首を片手で掴まれ、ぐいっと頭上で固定されると、ヒロはじっとごんべいを見つめて言った。
いつの間にかごんべいの名字ではなく、#名前で呼んだヒロ。
その表情は、冷ややかな笑みを含んでいた。

「そ、そんな事ヒーロー君に関係ないでしょ…!」
「関係あるよ。俺もごんべいの事好きだったのに…他の男なんか作って」
「んっ…!」

ヒロはそう言うと、ごんべいの唇を奪う。
嫌々と首を振るが、まるでびくとも動かない。
ごんべいの口内に入り、舌を絡ませていきながら、空いている片手がするりと服の上を履い、大きな膨らみを掴んでいた。

「んんっ…いやぁ…っ!」
「ちゅ…ん。…やっぱり、ごんべいのおっぱい大きい。高校の時より大きくなったんじゃない?」

キスを終え、意地悪く微笑みながら、ヒロはぐにゅぐにゅと服の上から乳房を揉み始めていく。

「そんな事…ない…っ!お願い離して…!」
「離さないよ。君はもう俺のものだ…君の彼氏には渡さない」

ヒロの瞳がギラリと、妖しく光った。
あの優しいヒロに、こんな一面があったのかとさえ、ごんべいは疑問に思ってしまう。
ヒロは再び顔を埋め、ごんべいの首筋にちゅっと音を立てながら舌を這わせていくと、乳房を揉むのをやめ、彼女の服を脱がし始めていた。

「いや…いやぁ…っ」
「暴れないでよ…直ぐに気持ち良くしてあげるから」

彼以外に触れられたくない、ごんべいはその思いだけで身体を捻るが、ヒロの力が上手であった。
ごんべいの服を脱がし、彼女のブラを露わにさせると、その上から豊満な乳房を包み込み、捏ねるように揉んでいく。

「んっ…!や…いやあ…っ」
「…凄い柔らかい。こんなおっぱい、君の彼は何度も揉んだんだろう?…嫉妬でおかしくなりそうだな…」
「ヒーロー君止めて…お願いだから…っ」
「止める気はないよ。…こんな綺麗な身体見て、止める男の方がどうかしてる…ん、ちゅう…」
「!ふあっ…あっ!」

思わず、ごんべいはビクンと腰を跳ねらせてしまい、そのまま甘い声を漏らしてしまっていた。

「はあ…君の乳首…ん、凄く硬い…嫌がってたのに…身体は正直だ…ん」

ヒロはそう囁きながら、いつの間にかブラも上へとずり上げてしまい、露わになったピンク色の乳首に吸い付いていた。

「いやあっ…!違…硬くない…あぁんっ!」

抵抗したいのにと、ごんべいは頭で分かっているのに、まるで身体が言う事を効かなくなっていた。
乳首をちゅうっと吸われると、腰の奥が熱くなり、甘い痺れが全身に伝わっていく。
それはごんべいの口へと伝わり、甘い声を漏らしていた。

「硬いよ…こっちの乳首も、ん、ほら…」

ヒロは敢えて、ごんべいの手首を掴んでいた手を離した。
ごんべいは直ぐにヒロの両肩を掴み、起き上がらせようとする。
が、その手はもう一つのごんべいの乳房へと這わされ、そのまま乳首を摘まれくいくいっと捻られた。

「ああんっ!あんっ、あぁ…っ」

ヒロの肩を掴んだ両手は、ごんべいの甘い声と共にその力を失った。

「そんな可愛い声出して…乳首硬いって認めてるんだね…ん、ちゅ、ちゅう…」

ごんべいがやっと自分の手に堕ちたと、ヒロは確信しニヤリと微笑む。
そのまま乳首の根元から先端に向かって甘噛みし、最後にちゅううっと音を立て乳首全体を吸い上げる。

「あぁんっ、あんあんっ」

そして、片方の乳房の柔らかさを堪能する様に揉み、そのまま人差し指を乳頭に当て、コロコロと転がしていく。

「はあんっ、あんっ、ああんっ」

喘ぎとなった声を上げるごんべいの頭に、既に抵抗という文字は消えていた。
ずっと憧れていた好きな人に触れられている、その思いは今の彼への想いより勝ってしまっていた。
ヒロが乳首から離れ、スカートの中へとその端正な顔を埋めても、ごんべいは抵抗しなかった。

「はあぁんっ!」

ビクンと、ごんべいは再び腰を跳ねらせる。

「ん、は…ごんべいの蜜、凄いよ…ん、ちゅ…」

ヒロが足の間に顔を埋め、ジュルッと音を立て蜜を舐め上げていた。

「いやぁ…言わないで…あぁん、ああんっ、あんっ、あん!」

ヒロの舌がもう一つの突起を捕らえた時、ごんべいは首を仰け反らせ喘いでしまう。
ごんべいの反応に、ヒロはその突起を舌で当て、コロコロと乳首を転がした様に弾く。

「あぁん!あんっ、だめぇ!はああんっ、あぁあん!!」

ごんべいはビクンビクンと、身体全体を震わせ、快楽の頂点へと達してしまった。

「…イっちゃった?」
「はあ…ん、ヒロ…」

顔を覗き込ませるヒロを見て、ごんべいは愛しい彼の名を呼ぶ。
もうごんべいには、ヒロしか見えていなかった。

「…ごんべい…君は俺のものだ。ずっと…好きだった…」
「私、も…ヒロが好きだったの…高校の時からずっと…ずっと…あっ、ああっ!」

ヒロに自分の思いを伝えていると、最後は再び喘ぎ声へと変わっていた。
ヒロの熱いものが、ごんべいの蜜で濡れたそこを押し当て、ぐいっと中へと挿入されていた。

「く…。ごんべい…嬉しいよ。俺と君は、十年を越えてやっと結ばれた。…二度と…離さない…ッ!」
「あぁあん!!」

ごんべいの両膝を持ち大きく開かせ、そのままぐいっと彼女の奥へと突き上げる。
甘い痺れがもっと強くなり、ごんべいは腰を浮かせ喘いでしまう。

「あぁあんヒロ…っ、気持ち良い…はあぁんっ」

ヒロのものが膣の壁を擦りながら動き、そのまま突き上げられると、今の彼とする時とは比べ物にならない程、強い快楽がごんべいを襲っていた。

「く…ッ、ごんべい…」

ごんべいの強い締め付けに、ヒロもその端正な顔立ちを歪ませる。
腰の動きを続けながら、ヒロは大きく揺れる乳房へと顔を埋め、ちゅううっと乳首を吸い上げる。

「ああんっ、あんっ、はあぁん」

硬い乳首を吸われると、なんとも言えない心地よさに包まれ、ごんべいはヒロの頭を両手で抱え込む。

「ごんべい…俺の事好きだろ…?」

乳首から顔を上げ、ヒロはごんべいを見つめる。
腰の動きも止まり、じっと彼女を見やる。

「好き…ヒロが好き…ずっと好きだったもの…あっ…あぁ…っ」

どくんとヒロのものが波打ち、その刺激に声を上げるごんべい。

「じゃあ…彼氏と別れて俺と付き合ってくれるね…?」
「付き合う…ヒロの彼女になる…っ、お願い、だから…動いて…っ」

動いてくれないもどかしさに、ごんべいは悲痛の声を上げる。
ヒロはクスッと笑い、再び腰を動かし始め、その動きを早めていく。

「あぁあんっ、あんっ、ああん!」

膣の奥からジンと強い快楽が起こり、ごんべいは悦びの声を上げる。

「く…」

ウィーン、ブーンと、ヒロはごんべいの携帯がずっと振動を上げ、着信している事に気がついていた。
が、そんな事はもうヒロにも、そしてごんべいにも関係ない。

「ごんべい、愛してるよ…」
「はあんっ!あぁあんっ、私も…ヒロを愛してる…あぁん!」

今の二人は、お互いの肌を求め激しく抱き合う事しかない。
ごんべいの甘い声は、まだ止む事なく、部屋中へと響き渡らせていた。
携帯の振動はそのままピタリと、震える事を止めていたー。


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