二人の彼氏


「はあ…」

ごんべいは思い切り溜息をつく。
その原因は、スマートフォンに表示されている文章であった。

『明日のデート、僕はショートパンツを君に履いてきてほしい』
『俺はスカートだ、勿論ミニスカだ。良いな』

何方の男性も、自分の要求をごんべいに押し付けていた。

「片方はズボンで片方はスカートって…何着ていけばいいのよ」

スマートフォンと睨めっこしながら、ごんべいは呟く。
彼女は、たまたま居合わせた二人の男性に電車で痴漢され、そのまま持ち帰りされていた。
最初こそ拒否し続けていたごんべいだが、二人の優しく激しい愛撫に、身も心もすっかり虜になってしまい、とうとうその身を重ねてしまった。
二人と出会い、明日は初めてのきちんとしたデートであった。

「彼氏が同時に二人いるって…複雑過ぎる。でも、私も選べないし…」

ヒロとワキ、何方を選ぶ事など出来ない。
そして、二人もごんべいを諦める事など出来ないと言っていた。

「私はヒロもワキも好き。そうよ、それでいいのよ。…よし、着ていく服決めた」

ごんべいはクローゼットの中から服を取り出し、笑顔で頷くのであった。




ピンポーンと、家のチャイムが上がる。

「ごんべい、迎えに来たぜ」
「こんにちは、ごんべいさん」

俺様なヒロ、紳士なワキ、性格が正反対な二人だが、昔からの幼馴染で親友だという。
会って間もないごんべいだが、二人はお互いを信頼し合っていると感じていた。

「こんにちは、ヒロ、ワキ。迎えに来てくれてありがと」

ごんべいが笑顔でそう言うと、二人の頬が一気に赤く染まる。

「ッ…おいごんべい、俺のリクエスト知ってんだろ?」
「え、ヒロ、君もごんべいさんに服のリクエストしていたのかい?」
「って、お前もかよワキ…」

お互い、ごんべいに今日着ていく服のリクエストをしていた事を知らなかった様だ。

「知ってるわ。でも、ヒロはミニスカ、ワキはショートパンツって言うから…だから間をとってワンピースにしたのよ」

彼等に会った時もごんべいはマキシ丈のワンピースを着ており、今日はその逆の、ミニスカタイプのワンピースを着ていた。

「…まあ、ミニスカだから良いか」
「僕はごんべいさんのショートパンツから覗く太腿が見たかったんですが…でも、それもとても可愛いですよ」
「良かった、ありがと」

気に入って貰えなかったら嫌だなと思っていたが、二人の態度を見てごんべいは安心する。
彼女は家の鍵を閉め、彼等と共に映画館へと向かうのであった。




「ねえ、そういえば何の映画見るの?」

映画を見に行こうと誘われていたが、どの映画が見るのか分からない。

「入ってからのお楽しみですよ」
「チケット買ってくるから待ってろ」

二人はそう言い、チケット売り場へと向かう。

「ねえねえ、あの二人かっこよくない?」
「ほんと、イケメン〜」

女性陣の黄色い声の先には、ヒロとワキの姿。
ごんべいも知っている事であったが、二人はかなりの美青年だ。
そんな二人が痴漢をやっていたなど信じられないが、それがなければごんべいはここにはいない。

(痴漢されて感じちゃって…嫌だったのに。でも、あの二人は優しかった…だから、私はここにいる。ヒロ…ワキ…二人とも好きだよ)

心の中で、ごんべいはそう呟く。

「ごんべいさん、待たせてごめんね」
「ううん、平気よ」
「じゃあ行こうぜ」

両手に華、ではなく、両手に美青年を連れ、ごんべいは上映されるホールへと入っていく。

「席はここです。ごんべいさん、どうぞ」

紳士の様にワキはエスコートし、ごんべいを最後列の真ん中に座らせ、両側に彼とヒロが座った。
入ってくる人数も疎らで、殆どの人が真ん中や前のほうに座っていた。

「ほらごんべい、ポップコーン」
「ありが…はむっ?!」

ポップコーンを受け取ろうとしたが、その前にヒロがごんべいの口の中にポップコーンを入れていた。

「俺が食べさせてやるから、お前は口開けてろ」
「もぐもぐ…う、うん、分かった」

爽やかな笑顔で言うヒロ、女性なら誰でも見惚れてしまうだろう。
ごんべいはもぐもぐと、口の中のポップコーンを食べる。
キャラメル味がほろ苦く甘くて美味しい。
まるで、今のごんべいの気持ちを現している様だ。

「ごんべいさん、僕からはジュースです。どうぞ」

はいと、紳士の微笑みでワキがストローをごんべいの口に近づける。
それを口付けて吸うと、オレンジジュースの甘みがじゅわっと広がっていく。

「美味しい」
「ふふ、良かったです。ジュースは僕が飲ませてあげますから」

王子の様なワキの微笑み、これも女性なら誰でも見惚れてしまうだろう。

(私…こんなかっこいい二人を独占していいのかしら…?)

そう疑問にさえ思うが、二人は好きでごんべいにポップコーンをあげたり、ジュースを飲ませている。
彼等なりの愛情表現であった。

(ポップコーン食ってるごんべい…可愛いぜ)
(ジュースを飲むごんべいさん…色気がありますね…)

ごんべいの何気ない動作や行動が、彼等の熱を熱くさせている事に、ごんべいは気がついていない。
そして、映画が始まると周囲は暗くなり、映画の画面で時々明るくなる程度のものになっていた。
若い男女が恋に落ちる普通のラブストーリーが、大きなスクリーンに映っているのを見て、ごんべいは何の映画かやっと分かる事が出来た。

「これ…もしかして…」

映画中は静かにしなくてはならない為、小声で呟くごんべい。

「ああ…今話題の不倫映画だ」
「やっぱり…」

結婚している身でありながら、お互い惹かれてしまう禁断の物語だ。

「僕達は結婚もしていないし、お互い付き合っている人もいませんから、なんか気兼ねもなくお付き合い出来て良いですね」

ワキの言葉に、ごんべいも納得だった。

(けど、なんでこの映画なんだろ…)

そう思うごんべいの疑問は、直ぐに解決する事が出来た。

『だ、だめよ…そんな事したら戻れなくなる…』
『もう我慢効かない…好きだ…っ!』
『あっ…ん、んっ』

映画の中で、とうとう男女がキスをしてしまっていた。
嫌がっていた女性の方も、男性が身体に触れていく内、甘い声を上げる様になっていく。
乳首が男性の口の中に入っていくと、女性は堪らず大きく声を上げる。

『ああんっ、あん、いいっ…』
『ちゅぱっ、ん…もっと声聞かせて…』
「…」

まるでアダルトビデオを見ているぐらいの、映画の中ではかなり激しい描写であった。
ごんべいは何となく恥ずかしくなってしまい、それを誤魔化そうとジュースを飲もうとする。

「!んっ!?」
「…」

ワキがくれたものはストローではなく、彼の唇であった。
ちゅっとキスをされると、そのまま舌が口の中に入り、直ぐに舌を見つけらると、レロレロと絡ませられていく。

「んぅ…っ、んん…」

離してと言いたいが、息継ぎすると直ぐに唇が塞がり、言葉を発する事が出来ない。
そうしている内に、スカートの中に細い指がいつの間にか入り込み、内腿をさわさわと撫でている。

「!んっ…」

ワキとキスをしていて分からないが、間違いなくヒロの手であった。
内腿に力を入れ閉じようとするが、彼の手の方が強く、内腿に指を優しく這わせていく。

「んん…んーっ…!な、何するのよ…っ!」

上映中なので大声では言えなかったが、ごんべいは怒りを含んだ低い声でそう言った。

「映画の中の二人がお楽しみなものだからつい…僕も手が伸びてしまいました」

ワキは悪びれた様子もなく、そう笑顔で答えた。

「つ、ついって…」
「ごんべい、言っておくけどな、俺もワキもお前を抱きたくて仕方ねぇんだよ…」

まるで子供が駄々をこねる様な顔で、ワキに続きヒロも言った。

「し、仕方ねぇって…ここ映画館で今見てる最中だよ?それに、今思ったけど二人とも私より年上でしょ、我慢してよ」
「ごんべいさん、僕達まだ10代なんですよ」
「…へ?」

ワキの言葉に、ごんべいは二人の顔を交互に見渡す。
10代という事は、彼等は自分より年下だという事だ。

「嘘でしょ…?」
「俺もワキも19だ。だからよごんべい姉ちゃんよ…あんたに甘えてぇんだ…」

ヒロはとても10代には見えない大人っぽい表情でそう言うと、再びごんべいのスカートの中にある手を動かす。

「ひゃあ…っ!」

ヒロの指先はあっという間に奥へと辿り着き、その先にあったごんべいの下着に触れると、そのまま上下に撫で始めていた。

「ちょ…っ、やだ…ヒロ…っ」
「ヒロが触るなら僕も…もう我慢出来ません…」
「やあっ、ワキまで…っ」

ワキはごんべいの耳に唇を這わし、優しく這わせながらその手は彼女の大きな胸へと伸びていた。
片方の胸を掴むと、ぐにゅぐにゅと皺が出来るほど大きく円を描く様に揉み始める。

「あ…んっ、や、だ…っ」

ヒロとワキ、二人が自分より年下という事が頭の中できちんと理解できる前に、ごんべいの身体は快楽を感じ、理性を徐々に奪っていく。
それでも、ここは映画館、周りに人もいると自分に言い聞かせ、声を上げる。

「二人とも…年下なら私のいう事聞いてよね…っ、ん、ここ、映画館…他の人もいるんだから…」
「安心して下さい、ごんべいさん。ほら…周りを見て」
「え…」

ワキの言葉に前の方に座っている人達を見ると、そこには驚きの光景が広がっていた。

「あ、あんっ、あんっ」
「してぇもっとぉ…」

甘い声を上げる女性の身体に、男性が抱きついている。
この劇場内にいる人々は皆、恋人との甘い情事を楽しんでいた。

「な、なんでみんな…そんな事…」

暗くてあまり良く見えないが、声のトーンから皆それぞれ楽しんでいる事が分かる。

「ああん、イいっ、いい…」

映画の中のカップルも、甘い情事を楽しんでいる。
あちこちから上がる甘い声と乱れた音に、劇場内は妖しい雰囲気へと変わってしまっていた。

「俺達の事なんか誰も見てねぇよ…」
「その通り。…ごんべいさん、僕達は僕達で楽しみましょう」

そう言った二人の瞳は潤み、熱いものへと変化している。
二人の男性から逃れる手段など、今のごんべいには持ち合わせていなかった。



「ぁ…っ、ん…っ」

スイッチの入ったごんべいの二人の彼氏の愛撫に、彼女は声が出てしまうのを必死に押さえる。

「ごんべい…声聞かせろよ…」
「ごんべいさんの可愛い声…僕とヒロに聞かせて下さい…」

年下とは思えない色気を放つヒロとワキに、ごんべいは屈してしまいそうになるが、嫌々と首を振る。

「こんな所でするの…嫌よ…っ」

幾ら周りがしているからと言って、自分達もとは思えない。
だが、強がりを見せるごんべいに、二人は更に愛撫を加速させる。
ワンピースの上から胸を愛撫していたワキだったが、肩紐を腕の所まで下ろしてしまい、ごんべいの大きな乳房を露わにさせた。

「!だ、だめワキ…っ、あぁんっ!」

ごんべいが抵抗する前に、ワキは彼女の乳房の突起へと吸い付いていた。
既に硬くなって尖ってしまっている乳首を口の中でちゅぱちゅぱと吸い、片方の乳首も人差し指と親指で摘み、くいくいっと捻っていく。

「あぁんっ!あ…っ、あんっ、あぁ…ん…っ」

乳首を愛撫されると、ごんべいの中の我慢と理性が一気に失われていくのが自分でも分かった。
ヒロが下着を脱がしている事も分かったが、彼女は抵抗しなかった。
蜜で光るそこに、ヒロは両手で内腿を押さえ顔を埋めていく。

「あぁあんっ!」

声を出しちゃダメと頭の中では分かっていたが、ごんべいは遂に甘くなった声を響かせていた。

「ん、ちゅう…ごんべいの蜜…甘くて美味しいぜ…ん」

座席に座るごんべいの内腿を大きく開かせ、ヒロは蜜が溢れる入り口に吸い付き、ちゅうちゅうと蜜を吸っていく。

「ああぁんっ…あんっ、ああっ…」

一度声を大きく出してしまうと、もう我慢などどうでも良くなってしまう。
映画の中のカップルも、他のカップル達も皆、自分達の世界に入っており周りの事など何とも思っていない。

「ちゅう…ごんべいさん…乳首もとても硬くて美味しいですよ…」

乳首を愛撫するワキも彼女の甘い声をもっと聞きたいと、舌先を尖らせ先端部分だけをチロチロと突き、片方の乳首も指先でコロコロと転がしていく。

「ああんっ。あんっ、あっあぁんっ…」

硬くなった乳首を熱い舌と指で転がされるだけで、蕩ける様な甘い快楽が引き起こされる。
ここが映画館の中だという事など、ごんべいの頭の中からは、綺麗さっぱり消え去っていた。

「ん、ちゅ…ごんべいさん…」
「ちゅぱっ、ん…ごんべい…」

硬い乳首がワキによって吸われるちゅぱちゅぱという音、蜜がヒロによって舐め上げられる、ぴちゃぴちゃといういやらしい音。

「はあんっ、あんっ…あぁん…イい…イイよぉ…」

ごんべいの喘ぎ声と共に、ヒクヒクと蜜の入り口が波打ち、乳首はピンっと尖る。

「ヒロ…」
「ああ…」

我慢出来なくなっていたのは、ワキもヒロも一緒であった。

「この前は俺が先だったからな…ワキ、お前が先でいいぜ…」
「遠慮なくそうさせて貰うよ…。ごんべいさん、立てる?」
「うん…」

ごんべいは立ち上がり、前の席に掴まる。
ヒクヒクと疼く入り口に、ワキの熱くなったものが触れると、グッと入り口をこじ開け、中へと挿入されていく。

「あぁあんっ」

空っぽだったそこに熱く硬いもので満たされ、ごんべいは喜びの声を上げる。
あっという間に奥へと辿り着いたワキのものは、ゆっくりと引き抜かれ、グッと再び奥へと突き上げる。

「ああぁん!あぁんっ!」

首を仰け反らし、ごんべいは声を上げる。

「はあ…ッ、相変わらず…ごんべいさんのここは…良いです、ね…ッ」

彼女の腰を掴み、ワキはリズムよく自身を抜き挿しさせる。
その度にギュッと締め付けられ、整った彼の表情も快楽に顔を歪ませていた。

「ああんっ、あんっ、あぁん」

言葉を発する余裕などのないごんべいは、ワキのものが奥へと突き上げる度に甘い声を上げる事しか出来ない。

「ッ…たく、我慢出来ねぇ…」

横で見ていたヒロも、ごんべいの乱れた声や姿に我慢が効かなくなったのか、彼女の下へと回り込むと、両手で乳房を掴み、片方の乳首へと吸いつく。

「ちゅぱっ、ん…じゅるっ…ごんべい…ッ…」
「ッ…く…ごんべいさん…ッ」

硬い乳首を何度もちゅぱちゅぱと吸い付くヒロ。
腰を掴み直し、角度を変えながら確実に奥へと突き上げるワキ。

「はあぁあんっ、ああんっ、あぁん。ヒロ…ワキ…っ、ああぁん」

劇場の中全体に響き渡る程、ごんべいの声は大きく響いていた。
が、皆それぞれの行為に夢中で、聞いている者は二人の彼氏だけであった。
映画を観に来ただけなのにと、ごんべいは今更ながら感じていたが既に遅い。

「く…ッ…!」

自分の中のワキのものが大きく波打った事を感じると、同時に熱いものが中へと注がれていくのが分かる。

「ワキ…交代だ…」

ワキの返事を聞かず、ヒロがいち早くごんべいの腰を掴む。
休む事なくもう一人の彼氏の熱いものを受け入れると、彼は素早く腰を動かしていく。

「はあぁんっ、ヒロ…っ、そんな…激しい…っ、あぁあんっ」

ワキとはまた違う強く激しい動きに、ごんべいの膣はギュッと再び強く締め付ける。

「お前がそうさせてるんだろうが…ッ」

ヒロのものが膣の壁を擦りながら抜かれていき、 再び壁を擦りながらグンと奥を突き上げられる。

「ああんっ、あんっ、あんっ。だ、ってぇ…気持ち良い、から…ああん」
「ったく…可愛いぜ…マジで…ッ」

年上だが年上に見えないごんべいの魅力に、ヒロもワキも虜と化していた。

「ごんべいさん…本当に可愛いですよ…」

欲望を果たしたワキだったが、惚れた女性の喘ぐ姿に引き寄せられる様に、揺れる彼女の乳房を掴みながら、耳朶に舌を這わせていく。

「はあぁん、あぁんっ…ヒロ…ワキ…っ」

二人の年下の彼氏に愛されるごんべい。
彼氏が同時に二人もいるなんて許されないかもしれないが、今はただ、与えられる快感に身を任せていた。



映画の上映が終わる間近まで、他の女性陣やごんべいの甘い声は止まることなく響き渡っていた。
上映が終わると、皆何事もなかったかの様に劇場内を後にしていた。

「ごんべい、今度はどこで抱かせてくれるんだ?」
「僕はどこでも。ごんべいさんに触れられるなら」
「も、もう!そんな事分かんない!」

顔を真っ赤にし、そう答えるごんべい。

(二人と一緒ならどこでも良い…絶対そんな事口になんて出さないんだから)

ごんべいはそう心の中で誓うのであったー。


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