勉強と恋の駆け引き


「ごんべい、毎回凄いな。また100点だ」
「ありがとうございます!」

教師から答案を返され、ナナシごんべいは笑顔で答える。

「ごんべい、相変わらず凄いね!」
「ありがとう」

友達に言われると、ごんべいも嬉しくなる。
ごんべいは、常にクラス1位、学年でもトップの成績の持ち主。
唯一苦手なのは体育だけで、後は皆オール5であった。
ごんべいは、成績トップでこの高校を卒業するのが目標だ。

「…その為なら、頑張れる」

ごんべいは、テストをぎゅっと握りしめ呟く。

「ごんべい、次パソコン室だよ。行こ?」
「うん」

友達と2人で廊下を歩いていると、自販機の所でたむろしているクラスの不良3人組がいた。

「おい、今日行くだろ?」
「本当に可愛い子いんの?」
「まあ、いるんじゃねえ」
「なら行っくー。ロウは?行くだろ?」
「…興味ない」
「ったくおめえな。そんなんじゃ女出来ねえぜ?」
「俺は1人でいい。ってか、俺サボって寝る」
「ロウ、お前また寝るのかよ」
「まあ、ロウは他人に興味ねえからな」

不良達のやり取りを聞いてごんべいは、最低な奴等、と思った。

「ねえ、あの3人かっこいいよね!けど、女好きだから直ぐ捨てられるって聞くしなー」
「顔は良いけど、非行ばかりしてるし最低よ。先生も、なんで退学にしないんだろう」

ごんべいは、物々と文句を言う。

「だって、結構3人とも成績良いでしょ?特にヒロ君なんて、ごんべいの次に良いじゃん」
「そういえばそうね。いつもサボってるのに、なんで成績が良いんだろう」
「だから、先生も何も言えないんじゃない?」
「けど、私はあんな奴等大嫌い」
「ふふ、ほーんとごんべいは勉強にしか興味ないんだから」

友達は笑いながら言う。

(あんな不良、いなくなればいいのに)

ごんべいは、本気でそう思っていた。



そして、次のテストがあり結果が出た。
上位10位は、クラスにいつも貼り出されている。

「…嘘」

ごんべいは、結果を見て思わずポカンとしてしまった。

「どしたのごんべい…うっそ、ごんべいが2位?しかも1位って…」

友達はびっくりして、1位の人物を見る。

「きゃーヒロ君凄いじゃん!」
「あのナナシさん抜かすなんてかっこいい!」

ヒロロウと2人の不良の周囲には、女子が集まりキャーキャー騒いでいた。

「なんでロウばっか褒めるんだよ」
「俺達だってトップ10に入ってるんだよー」
「だって1位だよ?」
「うんうん、いつもナナシさんだったのに、びっくりじゃん」

ごんべいは呆然として、その騒ぎの声も耳に入っていなかった。

「…」

そんなごんべいの姿を、ロウがじっと見ていた事に、彼女は気づいていない。



ロウに負けて以来、ごんべいは全く彼に勝てなくなってしまった。
殆どのテストがロウが独占し、ごんべいは2位の状態だった。
トップは、ロウが降臨していた。

(なんで…どうして勝てないの?)

ごんべいは、貼り出された結果を見て唇を噛みしめる。
全教科、見事にロウは2位。
満点のものがあっても、彼もまた満点で並ぶ。

「ねーまじすげぇじゃんロウ」
「お前いきなりどうした、すげえな」

不良とロウ、そして女子がキャーキャー騒いでいる。
思わず、ごんべいは教室を飛び出していた。

(なんで…なんであんなサイッテーな不良に勝てないの…?!私は…トップでこの高校を卒業したいのに…!)

ごんべいは、怒りと悔しさで涙を浮かべながら歩いていた。

「先生!」

ごんべいは職員室へ行き、担任の男教師に声を掛ける。

「ごんべい、どうした?」

担任の教師は、クラス全員を下の名前で呼ぶ、珍しい教師。
それだけ、生徒を大事にしているのだろう。

「先生、お願いがあります」

成績トップのごんべいの真剣な表情に、教師もびっくりしている。

「お願い?なんだ言ってみろ」
「はい。私に補習をさせて下さい。1対1で、お願いします」
「ごんべいが補習?なぜ…」
「……」
「そうか。ロウに抜かされて辛いんだな」

教師も分かっていた、トップだったごんべいがロウに抜かされて辛いんだろうと。
教師は、よしと言った。

「分かった。今日の放課後どうだ?」
「いいんですか先生?!」

ごんべいの顔がぱっと明るくなる。

「ああ。先生がみっちり見てやる。だから次はトップになるんだぞ?」
「はい!先生、ありがとうございます!」

ごんべいはペコッと一礼すると、職員室を後にした。
ごんべいが去った後、教師は答案を見る。

「ロウは元々トップだったが…何故またトップになったんだ…?」

満点のロウの答案を見て、教師は不思議そうに呟いた。



「あれ、ごんべい帰んないの?」

放課後、友達が席に座りっぱなしのごんべいに声を掛ける。

「うん、先生に補習して貰うんだ。…トップになりたいからさ」
「そっか…」

友達は、ごんべいの気持ちを知っていたので、何も言わなかった。

「じゃあ、この問題を解いてみてくれ」
「はい!」

ごんべいは、補習が始まると真剣に取り組む。

(必ず…今度は1位になるわ…!)

「先生!先生の生徒が喧嘩をしています!」

突然、教室のドアが開くと他のクラスの先生が声を上げた。

「なに?全く仕方ない。ごんべい、少し待っていてくれ」
「はい…」

教師が出て行ってしまうと、ごんべいはため息を吐く。

「全く、どうせあの不良の奴らね。ほんと嫌な奴等…」

ごんべいは苛々する気持ちを押さえ、プリントに取り組む。

ガラッ!

「?…!」

ドアが開いたので、教師が戻って来たのかと思った。
が、それはサイテーな奴だった。

「………」

ヒロロウは無言でごんべいの前まで来ると、彼女の前の椅子に座った。
思わず、ごんべいはビクッとなる。
不良の彼とは、一度も口を聞いた事などない。
しかも、今最もごんべいが嫌いな相手。

(な、なんなの…いきなり人の前に座るなんて…)

目の前に座られ落ち着かないが、ごんべいは無視してプリントに目を落とした。

「なあナナシ…」
「!」

声が上がり、ごんべいは思わず顔を上げる。
そこには、整った二枚目のロウの顔。
間近で見る男の顔に、ごんべいの顔は真っ赤だ。

「な、なに…?」

ごんべいは、やっとの事で口を開く。

「…ナナシが勉強する所、見ててもいい?」
「へ?」

突然の言葉に、ごんべいは目を丸くする。

「だめ、か?」
「え、えっと…見られてると落ち着かないし…」
「なら、俺もプリントする」
「え?」

そうロウが言うと、ごんべいが驚いている間に、彼は教師が彼女の為に持ってきたプリントを1枚取る。
そして、スラスラと解いていく。

(う、嘘。なんであんなに早いの…?数学の応用問題なのに…)

ごんべいがびっくりしている間に、ロウは二枚目に手をつける。

(や、やばい。私もやらなきゃ…)

ごんべいも慌ててプリントを読む。
そして、最後の問題を読む。

(…分からない…これ、どうやるの?)

頭を抱えるが、一向に分からない。

「それ」
「え?」

声が上がると、ロウの指がプリントの問題を指さしている。

「ここ、よく読むと分かる。後は、ナナシの頭なら直ぐ解ける」
「え…」

ごんべいが言われた通り、問題を読み直すと、あっとなる。
そして、直ぐに答えが出た。

「やった!解けた…」

ごんべいはよしっと、手を握る。

「ね、答え合わせしよう」
「え、ヒロ君?」

ロウはごんべいの答案を取り、自分のと見比べる。

「ナナシも俺も答え同じ」

ロウは、笑顔で言った。

「!」

その笑顔があまりにも爽やかで、
ごんべいはドキッとなる。

(な、なんで…こんな不良にドキッとするの?しかもなんで…私一緒に勉強してるの…?)

ごんべいは、ドキンドキンという自分の心臓の音にびっくりしていた。

「なあナナシ」
「な、なに?」
「一緒に帰んないか?もういいだろ、今日はこんくらいでさ」
「え、で、でも私…」
「これからさ、放課後毎日一緒に補習しないか?図書室でさ。あそこなら静かで良いだろうし」

ロウの言葉に、ごんべいは只々びっくりするしかない。
そして、気が付けばこくんと頷いていた。

「…良かった。じゃあ帰ろう」

ロウは席を立ち、手をごんべいに差し出す。

「いこ、ナナシ」
「!う…うん…」

ごんべいは始終ドキドキしながら、ロウの手を握る。
ごんべいが立つと、ドアがガラッと開く。

「ごんべいすまんな。待たせた…って、ロウどうした?」

教師は、ロウの存在に驚く。

「先生、ナナシの補習はこれからは俺が見ますから」
「へ、ロウがか?ごんべいと一緒に補習するって事か?」
「…俺とナナシ、2人でやるって事ですよ。…じゃあ行こうナナシ」

ロウは教師にそう言うと、ごんべいの腕を引っ張る。

「あ…ま、待って…。せ、先生、すみません。ありがとうございました」

ごんべいは一礼すると、ロウに引っ張られ行ってしまった。

「…どうなってるんだ?」

残された教師は、只々疑問に思うしかなかったー。


「ナナシの家まで送ってく」

帰り道を歩きながら、ロウは言う。

「えっ…い、いいよ!だって、ヒロ君ちとは逆じゃ…」
「ナナシと一緒にいたいから。な、手繋ご」

そう言うと、ロウはごんべいの手を握る。
こんな姿、はたから見れば立派な恋人同士だろう。

(なんで私は1番嫌いな奴と手を繋いでいるんだろう…)

ごんべいはそう思いながらも、決して嫌ではない自分がいた。

(なんでこんなにドキドキするんだろう。嫌い、なのに…私からトップの座を奪った奴なのに…)

ごんべいは、歩きながらずっと考えていた。

「ナナシの家、ここ?」

ロウが立ち止まる。
いつの間にか、ごんべいの家と着いていた。

「あ、うん、ここ…」

ごんべいはドアに手を掛ける。

「じ、じゃあ…また」

ごんべいは、ロウから手を離して貰いたかったが、彼は離してくれない。

「ナナシ」
「な、なに?」
「…明日、図書室で待ってるから」
「あ…う、うん」
「…じゃあ、また」
「うん…あ、ありがとうヒロ君…」
「うん。ナナシといると楽しい。じゃあ」

そう言うと、ロウは帰って行った。

「…なんなの、ヒロロウ…。不良で、トップの座を奪われて、1番嫌いなのに。私…ドキドキして止まらない…」

ごんべいは暫く、門の前で突っ立っていたー。



「えー!ヒロ君と一緒に補習して一緒に帰ったの?!」

翌日、学校で友達に昨日の事を話すと、かなり驚かれた。

「うん…いきなり私の前に座って勉強して、それで帰ったの」
「へえー。こりゃあ驚きよ。あのヒロ君がねえ…」

今、教室にロウや不良の姿はない。
何処かでサボっているのだろう。

「で、今日もするの?補習」
「うん…ヒロ君が一緒にやろうって…」
「そっかー。ね、きっとヒロ君はごんべいに近付きたいから、成績上がったのかもよ。ごんべいに知ってもらいたくてさ」
「それはないと思うけど…」
「ま、どっちにしろ、どうなるか楽しみね。ごんべい、私はあんたの味方よ」
「…うん、ありがと」

ごんべいは笑顔で言った。


放課後、ごんべいは少し戸惑いながらも図書室へ向かう。
数人の人が勉強したり、本を読んでいてとても静かだ。
ヒロロウは、窓側の1番奥の席に座っていた。
がー。

「ヒロ…君?」
「スースー…」

彼は、気持ち良さそうに寝ている。

(こう見ると…ヒロ君かっこいいよね。凄いイケメン…)

寝顔を見てるだけで、ごんべいの鼓動が高まる。

「んー…」
「!」

ロウが伸びをしたので、ごんべいは慌てて向かいの席に座る。

「…」

ロウはぼーっと起きて、ごんべいを見る。
ごんべいは、ドキドキしながらロウに言う。

「おはよ…ヒロ君」
「おはよ…ナナシ。…可愛い」
「え?!」
「可愛いなって、ナナシが」

ごんべいの顔は、ゆでだこの様に真っ赤だ。
男に可愛いと言われたのは、生まれて初めてだ。
ごんべいは、真っ赤な顔を見られない様に、ノートを取り出し勉強し始めた。
ロウは、そんなごんべいの姿をじっと見ている。
その視線が、ごんべいは気になって仕方ない。

「ね、ねえヒロ君。勉強…しないの?」
「ナナシを見てるからいい」

ロウの言葉一つで、ごんべいはドキドキしてしまう。

(もういい…ヒロ君なんか気にしないで勉強しよう…)

ごんべいは、顔をブルブル振って集中し始める。
暫くやっていると、また分からない問題が発生。

(この公式、いまいち分からないんだよね…)

ごんべいが少し悩んでいると、後ろに何かの感触が。

「!」
「ナナシ、ここはこう考えると分かりやすい。やってみて」
「っ…ヒロ君…」

ロウは後ろに立ち、右腕をごんべいの右肩に乗せる。
そして、左手でノートを指差す。

「っ…こ、こう、かな?」
「…ああ。それでいい。ナナシ、まじ頭良いな」

ロウは右手はそのままで、左手でごんべいの頭を撫でる。
ごんべいは、彼の大胆な行動に胸が高鳴る。

「ナナシの髪、綺麗だな。柔らかい…」
「ヒロ…君?」

ロウはごんべいの髪を取ると、ちゅっと髪に唇を落とした。

「っ!!」
「…可愛いな、ナナシ」

ロウは、ごんべいの反応を見て言う。
ごんべいは、ノートをパタンと閉じる、恥ずかしさがこれ以上伝わらないように。

「ヒロ君、か、帰ろっか」
「ああ…帰ろナナシ」

ロウはまたごんべいに手を差し伸べる。
ごんべいはまた、その手を取る。
ロウは、ごんべいの手をぎゅっと握りしめたー。




それから、次のテストまでずっとごんべいは、ロウと2人で図書室での勉強を続けた。
ごんべいは、いつの間にかロウと勉強する事が楽しくてたまらなかった。
分からない所があれば、直ぐにロウは教えてくれた。
ロウは、本当に頭が良いとごんべいは思った。
同時に、自分がトップにならなくていいとさえ、思っていた。

「いよいよ明日だね、テスト」

向かい側に座るロウに、ごんべいは言う。
もうすっかり、ここが定位置になっていた。

「ナナシ、自信ある?」
「まあまあかな。けど、もうトップになれなくていいの」

ごんべいの言葉に、ロウの目が見開く。

「…なんで?トップになりたくない?」
「うん。ヒロ君がトップならそれでいい。だって、ヒロ君本当に頭良いから。私なんて、全然敵わない」
「……。な、ナナシ、頼みがある」
「なに?」

いつになく、ロウの顔は真剣だ。

「賭け、しない?」
「賭け?」
「うん。俺が勝ったらナナシが俺の言う事を1つ聞く。ナナシが勝ったら、俺に何でも命令出来る」
「いいね、面白そう!」

ごんべいは、直ぐに承諾した。

(これは絶対ヒロ君に勝たなきゃ。ふふ、私とデートして下さいって命令しよう)



「よおロウ、上手く言ってんのかよナナシとは」

いつものロウの不良仲間が言う。

「ってか、まーだヤってないんだろ?さっさとヤっちゃえよ、ロウ。女は具合が良いのが1番だぜ?」
「俺はお前らみたいに猿じゃない」

ロウは、きっぱりとそう言った。

「…結構はっきり言うよな〜」
「お前、まさか本気でナナシが好きなのか?」
「…ああ。本気でナナシが好きだ。だから、大切にしたい。あの子は…全然綺麗だから。俺みたいに、汚れてない」

ロウはそう言うと、スタスタと歩き出す。

「お、おいロウ!たまには遊びに行こうぜ、女もいるしよ」
「俺はナナシにしか興味ない。2人で行けよ。俺はナナシと帰る」

ロウは、そのまま行ってしまった。

「…まさか、本気で女を好きになるとは思わなかったな」
「そうだよ。あのロウだぜ?女に興味ないのにさ」
「…まあ、ナナシはガリ勉にしちゃ結構良い身体してるが…」
「女なんて、遊んで捨てるのが1番めんどくさくないよ」
「まあな」

不良2人は頷きあう。
彼等にとって、本気になれる女性が現れるのか、分からないー。



「ここはこうして…ヒロ君に教わったから皆分かるわ」

夜、テスト勉強をしながらごんべいは呟く。

「最初は不良だし、私よりトップになったから嫌いだった。けど…毎日一緒にいて…私はきっとヒロ君が好き。一生懸命私に色々教えてくれるヒロ君が好き。だから、もし私が勝ったら…」

1人呟いていると、携帯にメールが入った。

「明日頑張ろう。俺も本気でやるから」
「ヒロ君、ふふ。うん、私も本気でやるよ。頑張ろうね」

メールにそう返信すると、携帯を閉じまた勉強をする。

「…クス、ナナシ、やっぱり可愛いな…」

ロウは、ごんべいからのメールを読みながら、自然に笑顔になる。
明日は、いよいよ運命のテストだー。


翌日、テストを終えたごんべいは、自分からロウの元へ行く。

「ヒロ君」
「ナナシ、どうだった?」

ロウは、椅子から立ち上がりながら言う。

「うん、全力出した。だから、負けても後悔しないよ」
「そっか、良かった」

ごんべいの笑顔に、ロウは本当に安心した。

「帰ろヒロ君」
「ああ」

ごんべいは、自分からロウに手を差し出す。
彼は、その手を嬉しそうに握る。

「ねえ、やっぱヒロ君とナナシさん付き合ってんのかな?」

2人が教室から出ると、クラス中がガヤガヤと騒ぎ出す。

「だよねー毎日一緒に帰ってるし」
「ええー、私、あの3人でロウ君が1番好きだったのにー」

ロウファンの女子生徒達が、悲痛の声を上げていた。

テストの結果が、翌日直ぐに張り出された。
結果は、全ての教科ロウがトップとなった。

「すごーい、ヒロ君トップだよ」
「かっこいいー!」

クラス中が賑やかになる中、ごんべいとロウは帰りの道に付く。

「ヒロ君、おめでとう」

ごんべいは、ロウと手を繋ぎながら笑顔で言う。

「…ありがとナナシ。ナナシにそう言って貰えるのが、俺1番嬉しい」
「ふふ、良かった。けど、ほんとヒロ君凄いね。全部満点なんて、私うっかりミスしちゃって」
「…ナナシと付き合いたいから、頑張っただけだよ」
「…え?」

ごんべいは、一瞬自分の耳を疑った。


「…そこ、寄ってこ」

ロウは、小さな公園へごんべいを引き寄せる。
そして、ブランコに座りごんべいも隣に座る。

「ナナシ、俺の言う事、聞いてくれる?」

ロウが、ブランコを揺らしながら言う。
ごんべいは、こくんと頷いた。

「…ごんべいが好き。クラスが一緒になった時から、ずっと好きだった。…俺と付き合ってほしい」
「っ…」
「…だから俺、ごんべいよりも良い点を取った。そうすれば、ごんべいは俺の事気に掛けてくれるから」

ロウは、自分の事を苗字ではなく名前で呼んでくれたごんべいが、凄く嬉しかった。
そして、自分を気に掛けてくれた事、本当に嬉しいと思った。

「…ロウ、君」

ごんべいは、ロウの顔をじっと見る。

「こちらこそ…宜しくお願いします」
「ごんべい…ありがと。凄い…嬉しい」
「私も…気が付いたら、ロウ君が好きだった」
「ロウでいい。ごんべい…好きだ」
「私も…ロウが…好き」

ごんべいは、素直にそう言った。
ロウは、ごんべいの肩を掴むとそのまま唇を重ねた。
ごんべいも、目を瞑って受け入れる。
ごんべいのファーストキスは、甘く幸せな味だった。

「ごんべい、明日デートしよ」
「うん、何処行く?」
「ごんべいの好きな所でいい」
「じゃあね…」





「きゃー!」

ごんべいは、悲鳴を上げていた。
風がビュッとなり、急降下したからだ。

「はあ…怖かった」
「ごんべい、凄い悲鳴だったけど、そんなに怖かった?」
「うん。私…絶叫マシン苦手だから。けど、ロウとなら平気だった」
「俺がずっと手を握ってたから?」
「うん!」

ごんべいは、ロウの腕を掴んで組む。
ロウは、嬉しそうにごんべいの頭を撫でる。

2人は、遊園地に来ていた。
初めてのデートだ。

「ね、次は何に乗る?」
「…じゃあ、あれにしよ」
「え…」

ごんべいの声が裏返る。
ロウが指差したのは、何とお化け屋敷。

「行こ、ごんべい」
「う…うん…」

ごんべいは頭に冷や汗をかいていた。

「うう…暗い…」
「大丈夫、俺が付いてるから」
「ロウ、手を離さないでね…」
「絶対離さない」
「うん…!」

ごんべいはロウの手をしっかり握り、彼の背中に隠れるように歩いた。
いきなり幽霊やお化けが現れ、ごんべいはその度に悲鳴を上げていた。

「ね…も、もう、終わるよね?」
「うん、もう大分歩いたし。終わると思う」
「はあ、良かった…」

ごんべいがそう安心した時だった。
トントンと、いきなり肩を叩かれた。

「え…きゃー!!!」

振り向いた先には、血まみれの女の人。
悲鳴を上げ、失神しそうになってしまった。

「ごんべい、大丈夫、ほら」
「あ…」

ごんべいは、ロウにぎゅっと抱き締められていた。

「もう、怖くないだろ?」

ロウの声が耳元で聞こえ、ごんべいはドキドキする。
恐怖心はもうなくなっていた。

「クス、ごんべいは本当に怖がりなんだな」
「だって…びっくりしちゃって…」
「けど、もう平気だろ?」
「うん…」
「良い子だ…」

ロウは、更にごんべいを抱きしめる。

「あ、あの〜」

ロウは、目の前の血を流した女性をきっと睨む。

「ひ、す、すみません!で、ですが、そこで立ち止まっていられると、次の方が詰まってしまうので…どうか…」
「…」

幽霊は、よっぽどロウが怖いのか震えながら言った。

「ごんべい行こ。もう大丈夫だろ?」
「うん…ごめんね…」
「ごんべいが面白かったからいいよ」
「恥ずかしい…」

ごんべいとロウは、そう笑いながら出て行った。

「あーあの兄ちゃん、まじこえーよ…」

血を流した女性の幽霊に扮したアルバイトの男性は、真面目にガタガタと震えていたー。



「はーもう夕方、早いね」

遊園地のカフェで、ジュースを飲みながら一息付くごんべい。

「ごんべいといると、時間なんかあっという間だな。…楽しかった」

ロウは肘をついて、あい向かいのごんべいを見る。
ごんべいは、そのロウがとてもかっこよくて、目を背けてしまう。

「私も…楽しかった」
「良かった、また来よう」
「うん…」

ごんべいは、頬を染めて頷く。
そんなごんべいの姿が可愛くて、ロウは微笑む。
が、それは直ぐに険しい表情へと変わっていく。

「よおヒロ」
「この間はよくもやってくれたな」

ごんべいの背後で、男ののろけ声が2人上がる。
ごんべいはびっくりして後ろを振り向くと、チャラチャラしたギャル男が立っていた。
ごんべいが、1番嫌いなタイプだ。

「…失せろ」

ロウは一言、低い声で言う。

「おーおー強気だねー」
「てめえのその格好つけてんが、ムカつくんだよ」
「きゃっ!」

ごんべいは、いきなり背後からギャル男に肩を抱かれていた。
煙草の臭いがして臭い。

「へえ、この女お前の女か?」
「かわいーじゃん」

男は、ごんべいの耳を舐めるように囁く。

「ごんべいから離れろ。汚い手で触るな」

ロウは、ごんべいが今まで聞いた事のない低い声で言った。

「あー?なんだと?」
「聞こえねえなぁ、ひひ…」
「きゃあっ!」

肩に置かれていた男の手が、ごんべいの胸をいきなり掴んでいたのだ。

「すげえでかいおっぱいしてんじゃん、最高だ…うわっ!!」
「てめえ!うわ!!」

一瞬の事だった。
ロウが立ったと思ったら、2人のギャル男はすっ飛んでいた。

「…ごんべいに二度と触るな。もし今度またらやったら…許さねえからな」
「ロウ…」

ごんべいは、ロウの見た事のない強い怒りの姿に、びっくりしてしまった。

「ちっ…」
「くそ、覚えてろ!」

ギャル男は、口から出た血を拭いながらカフェを出て行った。
カフェ内は、少し騒然としていた。

「…ごんべい、出よう」
「…うん…」

2人もカフェを出て、そのまま遊園地を後にしたー。




「…ごめんな。怖い思いさせて。大丈夫か?」

帰りの電車の中で、ロウはごんべいを心配そうに見て言う。

「大丈夫、何ともないよ」
「良かった…」

今のロウの顔は、先程とは全く違う優しい顔。

「…さっきの人達も、ロウの知り合い?」
「ああ…。俺達が喧嘩で勝ったことを恨んでいるらしい。しょっちゅう、人の前にああして出てくる」

俺達というのは、ロウと一緒にいる2人の不良だろう。
ごんべいは複雑だった。
真面目な自分にとっては、不良の喧嘩なんて1番嫌だった。

(けど、ロウにも事情があるんだよね…)

ごんべいは、うーんと考え込む。

「ごんべい…」
「え、きゃっ」

ロウにいきなり頬をちゅっとキスをされ、ごんべいはびっくりしてしまう。

「本当にごめんな。もう…さっきみたいな怖い思い絶対させないから。…俺がごんべいを守るから」

ロウはそう言うと、また頬にちゅっとキスをする。
電車の人前なのに、ロウは気にしていない。
ごんべいは顔を真っ赤にし、頷くしかなかった。

「おい、ロウ!」

聞き覚えのある声が、電車内から上がる。

「お前も帰りか?」

ロウの不良仲間の2人だ。
何処かで遊んできたのか、香水の臭いがプンプンする。
ごんべいは、あまりこういう香水は好きではない。
が、今思うとロウはこういう野暮な臭いはしない。

「あれ?ナナシさんもいたの?」

顔をぐいっと覗かれ、ごんべいはビクッとなる。

「へえ、ロウ、ナナシをものにしたのか?」
「…俺とごんべいは付き合ってる。それだけだ」
「ふーん、女嫌いのロウがやっとナナシさんをねー。確かに可愛いかも、ナナシさん」

また顔を覗かれ、ごんべいは顔を背ける。

「それよりロウ、あいつらお前の所に行っただろ?」

あいつらというのは、先程のギャル男達だろう。
ロウの顔がくぐもった。

「来た。ごんべいに触ったから殴っといた」
「へ?ナナシさんに手を出したの?大丈夫だったナナシさん?」
「え、あ、はい…」

ごんべいは、小さく答える。

「やっぱりな。俺らんとこにも来たから、お前の所にも行ったと思ったぜ」
「こっちもぶちのめしたんだけどね」

不良2人は、楽しそうに笑う。

(なんで喧嘩が好きなの?私には…分からない)

「ね、そんな事よりこれから遊ぼー。ナナシさんも一緒にさ、ね?」
「え!わ、私は…」
「悪いけど、今日はごんべいといたいから」

ごんべいが戸惑っていると、ロウがきっぱり言う。

「なら、俺達で行ってくるぜ」
「しょうがないなー」

2人は、少し残念そうだった。

「ねえーなんで急にいなくなるの?」
「もー置いてかないでよー」

他の車両から、派手な服を着たギャル2人がやって来て不良2人に腕を絡ませる。
この2人の連れのようだ。

「わりー。じゃあ、またなロウ、ナナシさん」
「じゃあな」

2人はギャル2人を連れ、向こうの車両に行ってしまった。
ごんべいもロウも、暫く黙っていた。
自分の気持ちを整理するように。

やがて、駅に着くと2人は電車を降りる。
見ると、不良2人もギャルも同じ駅で降りると、キャーキャー騒ぎながら行ってしまった。

(私、やっぱりああいう人達苦手…。けど、ロウは違う…)

ごんべいがロウを見ると、彼もそれに気づく。

「ごんべい?」
「ロウ、私ロウが好き。大好きだから…」
「ごんべい…ありがと。俺もごんべいが好きだ。大好きだ」
「ロウ…嬉しい」

ごんべいは、自分からロウに抱き付く。
ロウは、ごんべいを優しく受け止める。
一目も構わず、2人は暫く抱き合っていた。

「ごんべい、もう、帰る?」
「え…。う、うん…。もう、夕方、だもんね」

ごんべいはそう答えながら、もっとロウと一緒にいたいと思っていた。

「…俺の家、来る?」
「え…!」

ごんべいは、びっくりして顔を上げる。
そこには、かっこいいロウの顔があった。

「ごんべいさえよければ」

ロウの言葉に、ごんべいは頷いていたー。




「す、凄い…」

ごんべいは、目の前の和風な豪邸に絶句する。
見事な日本庭園が、門の外から見え、その奥には立派な豪邸が。

「おいでごんべい」

ロウはごんべいと手を繋ぎ、驚いている彼女を中へと招き入れる。

「お帰りなさいませ、ロウ様」

門に立つ、スーツを着てサングラスをかけた男性が、ロウの姿を見て言う。

(ロウの家って…一体なんなの…?)

ドキドキしながら豪邸まで歩くと、玄関から1人の男性が出てきた。
ロウに似て、渋いが美形の男性である。

「ロウ、帰ったのか」

低い声で男性は言う。
何処か、恐ろしい雰囲気を持つ男性だった。

「どっか出かけるのか?」
「ああ、組合にな、会議だ。そちらのお嬢さんは、初めて見る顔だな」

男性の視線が自分に向けられ、ごんべいはビクッとなる。

「あ、は、初めまして。ナナシごんべいと申します…!」
「ごんべいは俺の女だ」

ロウがさらりと、付け加えた。

「ほう。やっとロウにも女が出来たか。これはいい。ナナシさん、どうか息子を頼むよ。私は、ロウの父だ。宜しく」
「あ、はい!こちらこそ、宜しくお願いします!」
「はは、可愛いお嬢さんだ」

笑った顔は、ロウの笑顔にそっくりな彼の父。

「組長、そろそろお時間です」
「ああ。じゃあナナシさん、ゆっくりして行ってくれ」
「は、はい。ありがとうございます」

ごんべいがそう言うと、ロウの父は強面の人達と車で出かけて行った。
ごんべいは、組長という言葉が引っかかったが、あえて聞かない事にした。

中に入ると、立派な家具や絵などで一杯だった。
そして、あちこちにスーツサングラスの男性が立っている。

「ロウ様、お帰りなさいませ」
「暫く下がってろ、部屋には来るなよ」
「はっ!」

ロウが一喝すると、男性は去っていく。

「ごんべい、ここが俺の部屋」
「お、お邪魔します…」

ごんべいは、ゆっくり部屋に足を踏み入れる。
日本風のお屋敷は、ロウの部屋も畳だった。
シンプルな部屋で、必要な家具しか置いていない。
彼らしい部屋である。
ごんべいを座布団に座らせると、ロウは彼女を真っ直ぐ見据えた。

「俺の家も、親父もびっくりしたよな?」
「う、うん…こんな凄いお屋敷に住んでるからちょっと驚いちゃって…」
「ごんべいには嘘付きたくないから言う。…俺の親父はヤクザの組長だ」
「え?!」

想像していた事だが、やはり驚いてしまった。
あのロウの父の威圧感、沢山のガードにこの豪邸。
ヤクザとしか思えなかった。

「…軽蔑、したよな。ヤクザなんて良い仕事じゃないし」

ロウは、フッと寂しそうに言う。

「けど、俺がヤクザの息子でもごんべいが好きだから。それは変わらない」
「ロウ…」

ごんべいは、一瞬でも変な事を思った事を馬鹿だと思った。

(ヤクザとかそんなの関係ない。私はロウが好き)

ごんべいは、ロウを見てはっきり言った。

「私もロウが好き。ヤクザとかそんなの関係なくて…ロウが好き」

ごんべいはそう言い、ロウに抱きつく。

「ありがとごんべい、嬉しいよ」

ロウも、ごんべいを抱き締める。
彼女の言葉が、本当に嬉しいからだ。

「ごんべい…顔上げて」
「え?ん…っ」

ごんべいは、ロウに抱き締められたままキスをされる。
彼女の口の中へ舌を入れ、ちゅうっと絡ませる。
そして、彼女の歯列をゆっくりとなぞる。

「ん…っ、ロウ…っ」

長いキスから解放されると、ごんべいはふーっと息を吐く。

「ごんべい…君に触れたい。ごんべいが欲しい…」
「ロウ…いい、よ?でも私…初めてで…」

恥ずかしくて、顔が真っ赤になるごんべい。

「嬉しいよ。ごんべいの初めてになれるなんて。…なるべく、優しくするから。大事に、するから」
「うん…」

ロウは、押入れから布団を出し畳に引く。

「おいで、ごんべい」
「ロウ…っ」

ロウの元へ行くと、直ぐに背中に手を回されまたキスをされる。
そして、そのままごんべいを布団に寝かせ、その上に覆い被さる。

「ロウ…っ」
「ごんべい…」

ロウは、ごんべいの首に顔を埋める。
首にキスを落としながら、彼女の服の上から2つの膨らみを触る。

「!!や、やだ…ロウっ…」

良いとは言ったものの初めての経験。
少し怖くなってしまった。

「ごめんごんべい…やめる?」

心配そうにロウが言う。
ごんべいは、ロウが本当に自分を想ってくれてると分かった。
想ってくれてるからこそ、こうして心配してくれている。

「うん、大丈夫…。ロウ、触って…?」
「…もう止められないよ?」
「うん…」

ロウはごんべいの言葉に、再び愛撫する。

「あっ…」

ロウの手が、服の裾を持ち上げブラを露わにさせた。
ブラの上から、再び膨らみを触ると優しく円を描くように揉み始めた。

「あ…んっ」

ビクッとなるが、今まで味わったことのない快感に吐息を漏らす。

「気持ち良い?」

ロウは、ごんべいの甘い声にクスッと笑う。

「う…ん、なんか…変…っ」
「良かった。じゃあ…もっとごんべいの声聞かせて」

ロウはそう言うと、ブラのホックを背中から外し、そのまま服と同じ様に上にたくし上げられた。

「ごんべいの胸…大きくて綺麗だ」
「恥ずかしい…っ」
「クス、本当に可愛いなごんべいは…」

そう言うと、ロウはごんべいの左の胸に舌を這わせていく。
乳輪をなぞるように舌を這わせ、右の乳房は掌で包み込むと、大きく優しく揉んでいく。

「あっ、あっ…!あんっ」

初めての快感に、ごんべいは堪らず声を上げてしまう。
自分からこんな声が出てしまうなんて、ごんべいは信じられなかった。
初めての行為に恐怖はあるが、ロウの愛撫はとても気持ち良く、何故か安心出来た。
ロウの舌が、乳輪から乳首をちろっと舐める。

「あん!やっ…」

びりっと電流が流れる様な快感に、ごんべいは身をよじる。

「可愛いな。こんなに硬くして…」
「ロウっ…あっあんんっ」

ロウは、ごんべいの左の乳首を完全に口に含むと、ちゅうっと吸う。
そして、右は指先でコリコリと撫でる様に転がした。

「あんっ!あっあん!」

(やだ…私変…っ。こんな声…でも止められない…っ)

ごんべいは、自分の中で戸惑いを覚えながらも、与えられる快感に酔っていた。

ロウの手が、するりと胸を離れお腹を伝い、彼女の脚の間に入っていく。
太ももを撫でてから、下着の上からそこに指を這わす。

「あっ!だ、だめぇ!」

ごんべいはびっくりして、脚をぎゅっとと閉じる。

「ごんべい…脚閉じないで…」
「だ、だってそこ…汚いよっ…」

ごんべいの言葉に、ロウはクスッと笑う。

「汚くなんかない。俺にとっては1番美味しい所だよ…」
「え…あっ!」

ごんべいが驚いている間に、ロウの手によって脚が開かされ、再びそこを触れられる。
指を上下に動かすと、そこはもう濡れて湿っていた。

「ああっ…!い、や…だめ…っ!」
「ごんべいのここ…凄い濡れてる…」

指でも分かる濡れた下着。
ロウはそれを掴み、するりと膝の下まで下ろしてしまった。
直にそこを指で触れ、敏感な突起を探し当てそれをなぞると、ごんべいの身体が跳ねた。

「あぁん!やぁ…ああっ!」
「ごんべい…」

ごんべいの乱れる姿に、ロウの頬も赤く染まっていた。
そして、乳首から舌を離すと一気に脚の間へと顔を移動させた。


「ロウ…っ?」

ごんべいはびっくりして、首を上げる。
が、ロウはごんべいの脚の間に唇を這わせていた。
その瞬間、感じた事のない強烈な快感がごんべいを襲った。

「ああん!はあっ…あん!ロウっ…ああっ!」

ロウの舌が、ごんべいの愛液を捕らえ、一滴も逃すまいと丁寧に舐め上げる。

「だめぇロウっ…ああん!」

ごんべいは脚を閉じようとするが、ロウの手が押さえつけられ出来ない。

「ん…ごんべいの凄く美味しいよ…」

ロウはそう言い、愛液と共に突起を一緒に下から上へと舐め上げる。

「あぁん!」

ごんべいはビクンッと、大きく跳ねる。
ロウは顔を上げると、そのまま自分のズボンを下げる。

「ごんべい…ごめん。もう我慢効かない…」
「ロウ…ああっ!!い、痛い…っ!」

ごんべいは、ロウが舐めていたそこが、今度は張り裂けそうな激痛に変わる。

「っ…ごめんごんべい…くっ…」
「痛…っ、っく…」

自分の中に、どんどんロウのものが入っていくのが分かる。
そして、それは全て自分の愛液と一緒に入っていった。

「…俺のが、ごんべいん中に…入った。ごめんごんべい…痛い?」
「ちょっと…だけ…っ」
「ごめんな…あんまりごんべいが可愛いから、我慢効かなくて…く…」
「あうっ!いっ…」

ロウの腰が動き始めると、彼のものも中で動き出す。
再び、激痛がごんべいを襲う。

「痛い…ああっ…」
「ごめんごんべい…ゆっくり動くから…くっ…」

ロウは、腰をゆっくり上下に動かす。
そして、徐々に動く早さを上げていった。
最初は痛かったものが、段々となんとも言えない快感へと変わってきていた。

「あっああん!」
「ごんべい…少し、はいい…?」
「う…ん、大分…痛くない…」
「良かった…ごんべい…」
「ああっ!」

ロウが覆いかぶさってきたので、中の彼のものもぐいっとごんべいの奥を突く。

「ごんべい…本当に、可愛い、な…っ」

ロウの頬も、自分と同じ様に赤い。

「この胸も身体も…全部可愛い…」

ロウの手が、ごんべいの乳房を包み込む揉み出す。

「ああっあん、ロウ…も、かっこいい…よ…」

ごんべいは笑顔で言う。
痛みはもうなかった。

「ありがとごんべい…嬉しい…」

ロウの腰が、強く激しく動き出す。
肌がぶつかり合う、パンパンという音が響いていた。

「あぁん!ロウ…っ」

痛みはもう無かった。
ごんべいは、与えられる快感に素直に声を上げていた。

「く…っ…」

ロウの顔も、快感に歪む。
パンパンという音ともに、くちゅっという水音も上がる。

「あぁん、あん!だめぇっ」

ごんべいは、どこからともなくそう叫んだ。
そして、ロウにも限界は来ていた。
ごんべいの中から自身を抜くと、彼女のお腹に欲望を吐き出した。

「はあ…はあ…っ」

激しい行為に、ごんべいは息を整える為ゆっくりと息をする。
それは、ロウも同じであった。
ロウは、布団のシーツが少し赤く染まっているのを見た。
そして、ごんべいのお腹に吐き出したものをティッシュで丁寧に拭き取る。

「ごんべい…ごめんな」

ロウは、起き上がったごんべいを抱き締めた。

「ロウ…どうして謝るの?」
「…痛かったろ?…血が出てるから…」

ロウは、消え入りそうな声で呟く。
ごんべいはロウを見て、やっと自分の処女がなくなったのだと理解した。
けど、そこに悲しみは全くない。

「ロウ気にしないで?私、ロウが初めてで良かった。それに嬉しいから…」

ごんべいは、ロウを真っ直ぐ見上げて言った。

「ごんべい…じゃあ、怒ってない?」
「怒るわけないよ。有難うロウ…優しくしてくれて…」
「ごんべい…」

ロウは、ごんべいの胸に顔を埋める。
ごんべいは、ロウの髪を撫でるように触れる。
2人はまだ、これから始まるのだったー。




「おはよー」
「おっはよー」

翌日、学校にいつも通り生徒達が登校する。
そんな中、ごんべいとロウは仲良く手を繋いで登校していた。

「ロウおはよーって、ナナシさん?」
「お前ら方向違うだろ?なんで一緒に登校…」

ロウの仲間の2人が、不思議そうに言う。

「昨日一緒だったから。それだけ」

ロウは一言そう言うと、ごんべいと共に教室に入る。
2人はポカンと、口を開けた。

「って事は…そっかーとうとう…」
「あのロウがな…びっくりだぜ」

教室に入っても、2人はひっきりなしに色々聞かれたが、その都度ロウははっきりと言っていた。

「ごんべいは俺の女だから」

その言葉を聞く度、ごんべいは幸せに包まれるのであったー。


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