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世界の終わりに
「ヒロトさんたちが本物の宇宙人だったら大変だったでしょうね……」
地元でもなかなか見られないかもしれないほどの満天の星空を見上げながら、立向居がふと呟いた。
「そうだなぁ……。最初は本当に本物の宇宙人だと思ったくらいだしな」
綱海も同じように呟きながら、空を仰ぎ見た。
「……もし、地球が侵略されたとしたら、どうしますか?」
「うーん……そんときはそんときで、またサッカーで対決してみんなを守る!かな?」
そう言って、綱海は立向居を見てニカッと笑った。
「……そうですよね。その時はその時ですよね」
立向居にもふっと笑顔が浮かぶ。
「おう、そうだ、そんときのノリだノリ!」
快活に笑うと、綱海はついと立向居の方に体を寄せた。
「でももし、どうにもならねぇときは……」
優しく囁くと、二人の顔が近付く。
「俺は、お前と居たい」
「綱海さん……」
そっと二人の唇が重なり、立向居にも穏やかな笑みが浮かんだ。
「俺もです」
くすくす笑いあうと、二人はまた唇を重ねた。
本物の宇宙人が地球にやってくるのは、これから10年後のことだ。
了