*散心散華 日が沈み夜がくる。空には明るい偃月が上っていた。何かをするには十分で、人の目を避けるにも満月よりも遥かに適していた。そんな中を素早く動く人影がひとつ。人の目を避けることに適していない銀糸の髪はふわふわと揺れる。 銀時は手入れの行き届いていない廃寺の中でも奥まった綺麗な小部屋の前で止まると、少し前のことを思い返した。 何度も悩み考えを巡らせても、否定されると分かっているのに、***が自らここに来ないよう説得することしか頭には浮かばなかった。でもそんな言葉は語り尽くした。何度言葉を尽くしても彼女は変わらないのだ。そんなもどかしい気持ちを抱えていては顔を合わせたらどうなるか分からない。だから高杉に懐刀を託そうと無言で差し出した。 「相手が違うんじゃねェか」 だが返ってきたのは意地の悪い悪態。 「んなこた分かってんだよ、返しといてくれ」 そっぽを向きながらでも自分に頼み事をする銀時に、高杉は小さく笑った。 「へえ、お前が俺に頼み事とはね」 「俺だってお前に頼みたかねェよ、でも仕方ねェだろうが」 そう零す顔には、複雑な感情が現れていた。 この数日一切***に会うこともせず、悩み抜いたであろう顔。 「会ったって良いこと無いってか。お前がそこまで考えられるとはな」 「お前に理解されるとか腹立つけど分かってんなら受け取れや」 「嫌なこった。自分でいけよ」 「はぁ?てめえが会うなっつったんだろうが。俺が悩んでんの見て笑ってたのかてめえコノヤロー!会わねえって言ってんだから受け取れ!」 高杉はため息をついた。 「お前だけの問題じゃあねェだろ」 2人が気持ちの落ち着いた状態で会ってきちんと話をする。話し合ってしっかりお互いに向き合って欲しい、そう思って高杉は懐刀を渡したのだ。 「分かってんだよそんな事」 だがどうしていいのか分からないのだ。 ***がどんな状態かも詳しく分かっておらず、会って冷静に言葉を交わせるのか。会ってはいけない気がした。だから高杉にせめて懐刀だけでも返してもらおうと思ったのだ。これが手元になければ***は此処を去るにも去れないから。 高杉は差し出されたものを受け取ることはなく、お前の代わりは必要ないだろうと***の傍も離れた。 今この奥まった部屋の前には銀時しかいない。 このまま高杉に言われたように会っていいのだろうか。迷う視線の先は時間も時間で眠っているのだろう、都合のいいことに灯りはなく闇に覆われている。そっと戸を開けて隙間から懐刀を部屋に入れて素知らぬ顔をしていようか。とりあえず懐刀が***の手元に戻ればいいのだから。 そっと戸を開けようと銀時が手をかけた。 「誰、…晋助?」 戸を開ける前に、手にした懐刀を忍ばせる前に部屋の中から声がした。起きていたことに驚いた銀時はなんと返していいか分からず慌て懐刀をしまうと、ガラリと開く戸。目の前には***が立っていた。 「どうした、の…、ぎん…ちゃん」 最初は高杉かと思っていた***の表情がみるみるうちに驚きに染っていく。まだ会いたくなかったのに、そんな表情に見えてチクリと胸が痛んだ。 「悪かったな、高杉じゃなくて」 「ごめ、驚いちゃって…」 しまったと口許を抑え言葉を探す***の横を通り部屋に入る。こうなったら逃げるのも格好がよくない。部屋の中央に置いてある明かりに火を灯すと2人は腰を下ろした。 柔らかい明かりで室内が照らされより鮮明になる***の表情。それはやはりどこか前とは違って不安げで頼りなく見えた。 「怪我は?」 「…うんん、大丈夫」 「どこか痛かったりしないか?」 「、痛くないよ、大丈夫」 「そうか」 ***は同じ場所で向かい合うこの状況が落ち着かないようで視線はずっと逸らされたまま。愛想笑いを零し言葉少なに返事をした。 「怖かっただろう」 「……、大丈夫だよ」 間があったことに顔を見ればその下に目がいった。灯りに照らされ、手の形をした痣が首元にくっきりと見えた。なんだそれは。 「なぁ、***」 「なあに、銀ちゃん」 呼んでもこっちを見ようともしない***に手を伸ばすと、そっと首の痕に手を這わす。 「首絞められたのに?怖くなかったの、ほんとに」 自分でも驚く程に冷たい声が出た。 ***はびくりと身体を震わせ反射的に顔を上げた。銀時の手のひらの感触に、言葉に、思い出されるあの時のこと。首を絞められ、馬乗りに臓腑を押さえつけられぎらりと光った刃を。次の瞬間温い血を浴びたことを。 「***」 「…っ、だ、大丈夫だよ、だって私生きてるから…ね?心配性。…そんな怖い顔しないで」 声は上擦っているのに、なんでもないように***は笑ってみせた。 なんで高杉の前では泣いて俺の前では全部隠して笑うんだ。 「じゃあなんで今怖がったの?」 「いきなり首触られたらびっくりしちゃうよ」 冷静に話しをして、懐刀を返す。そうするはずだったのに弱味を見せないよう本音を隠して笑う***に、キリキリと胸が締め付けられて悲しさが、黒い感情が積もっていく。 本来だったらいつまでも泣いているような泣き虫だ。今だってきっと思い出しては怖がって泣き出してしまいたいはずなのに。 「お前はもうここに来るな」 ***は守られなければならない程弱くはない。 高杉の言葉が思い返されるも、それ以上の感情が胸を埋め尽くす。 危険な目にあって欲しくない。ずっと心の底から笑っていて欲しい。自分以外の男に色目で見られたくない。 自分勝手でとても醜い感情が、思わず言葉を零れさせた。 しん、と静まり返る室内。 少しの間の後に、動いたのは***だった。 「それは、できない。確かに銀ちゃんの言う通り私の考えは甘かったって思い知ったよ。でも、わがままだって分かってるけど、二度とあんなことにならないようにするから、お願いだからここにいさせて」 首に伸ばしていた手が懇願するように握られ、先程までは交わることのなかった視線が、しっかりと銀時を見つめていた。 なんで、なんで泣かねんだよ。 「嫌だそんな事言わないで」そう言って勝負をした時みたいに泣いて縋ってくれればいいのに、弱味を見せないように笑う***に酷く苦しくなる。 なにより、高杉の前では素直に涙を見せたのに、俺の前では涙ひとつ見せず笑ってみせる***が許せなかった。 首を掴み床に倒れ込むと、***の唇に噛み付いた。 「んんッ、ぁ、…んっ、」 優しさなんて欠けらも無い。口の中を荒らす舌。逃げようとする顔を両手で掴みもっと奥を探る。 「んッーぁ、…ぐ」 呼吸まで奪う突然の口付けに銀時と床に挟まれた体はじたばたと暴れる。それでも離さず熱い舌で蹂躙した。***があまりのことに嘔吐く程に。 だが、ズキリと走る痛み。思わず顔を上げれば***の口許には血。じんじんと熱を持つ口許を触れば唾液とは違う滑りがあって、垂れるそれを舐めれば鉄の味がした。 「あ、ごめんなさい」 痛みに顔をしかめると***は心配そうな表情を浮かべた。いきなり押し倒して自分勝手に口唇を犯した男に向かって怒ることも無く。 責められて謝る可きなのは本来逆の立場のはずなのに。 「なんでお前が謝んの」 「…だって」 「だって、なに?」 「私が、わがまま、言った…から」 怒ったんでしょう。意味もなく人が嫌がることをしたりしない。そう言いたげな***に笑いがこぼれる。 そんな風に可愛い感情でも、意味があった行動でもない。本来ならば大事にしたい目の前の相手が、ただただ憎く思えただけ。俺ではなく、高杉に縋ったお前が酷く憎らしく、俺の前では笑顔を絶やさないお前がどうしようもなく意地らしくたまらなく妬ましくなった。 こんな感情を抱くのは、お前が悪いから。いいやそんな風にしかできない間柄にしてしまった俺が悪い。いやどちらも違う。そんな問答を己の中で繰り返して絡まって縺れた感情は何処にも行き場がなくて、澱んで停滞してどす黒く染まっていた。 腰紐を掴むと解いて引き抜く。***は何をされるのか頭が追いついていないようで、無防備なままの襟を掴むと左右に開いた。 「…や、いや!」 焦りを声に滲ませ身体を捩る***に、暴れる腕を掴み抜いた腰紐で纏めあげた。着物をさらにはだけさせ胸元を隠すさらしを毟り取れば、薄闇の中でもほの淡い明かりが***の裸体を晒す。所々に浮かぶ傷と、打撲の痕。滑らかな肌を汚すように大きな痣が鳩尾にもあった。それをそっとなぞる。 「やだ…!、解いて」 「これ、痛くねェの?」 「ぅ、あ…っ!」 痣を押す指先に加減もなく力が入り、***は呻くような声を出した。 「なァ、***」 「…痛いっ」 「そう、」 恐怖と痛みから逃げようとする体を押さえつければ、暴れて乱れた髪の間から目の端に光るものが見える。***の涙。ぞくりと肌が粟立つ。 「おねがい、やめて…」 「怖い?」 堪える涙を流して「怖い」と言って欲しい。 「怖くない…」 だが、どう答えるのが正解なのか、一瞬迷った***は視線を逸らすと震える声でハズレを引いた。 どこまでも強情で、どこまでも俺の感情を乱す。 ため息をつけば不安げに***は眉根を寄せた。 肩を掴み体を起こすと抱きしめる体勢で着物の袖を落とし肩越しに背中も見る。至る所に残る小さな痕。銀時は眉を顰めた。 「じゃあこんなことされても構わねェの」 痕の残る背をなぞり、反対の手でそっと胸の膨らみに触れる。 「…っあ、!」 びくりと驚きに跳ね逃げようとする身体を背から押さえて、綿菓子のようにふわふわな膨らみを揉む。ぷくりとした突起が手のひらに触れる度に硬くなる。 「い、あ、銀ちゃ…なに、して」 「分かってんだろ。怖くねェんだもんな」 もし相手を殺していなかったら***が受けていたであろう屈辱。それと同じ状況。何をされるのか察した***が腕の中から逃げようと藻掻く。それと同時にツンと自己主張を始めたそこを摘んでくりくりと転がした。 「ひっ、あ…やっ、やめ、て…んっ」 「なんで?気持ちよくねェ?」 銀時の触れたところから伝わる甘い痺れが、逃げようとする***の力を奪っていく。震える体は思惑とは逆に銀時に縋っているようにも見えた。 手で抑え漏れる声を我慢する***の首筋が目に入る。とくりとくりと血が流れる太い血管がある場所。人の急所。口唇で触れれば熱かった。***が生きている証。 怖い思いをして怪我をして、それでも生きている事に安堵した。 「…っ」 確かめるように体を這う銀時の舌に、静かに息を詰める音が薄暗闇に溶ける。舌が首から下へと降り胸元を探り、指で弄ぶ側とは逆の突起に触れた。 「んんっ…あっ、あ…っ」 ちろりと舐めてちゅうと吸う。可愛がれば吐息と共に漏れる囀り。 もう一度気持ちを折ってやろうと思っていたのに、触れれば触れるほどに蟠った感情が大きくなっていく。 ***が欲しい、自分だけのものにしたい。 その瞳に写るのは俺だけでいい。 花が咲くかのような笑顔も何もかもを晒す泣き顔も、自分にだけ向けられればいい。 例えそれが無理矢理に暴いたものだとしても。 「あ…っ、や…やだっあ、や、ああっ」 じゅるりと柔い肌を夢中で食べるように舐めしゃぶる。 縛った腕が肩を押すも些細な抵抗だった。 「っあぁ、は…、んんっあ」 必死に抑えようとした声が、甘い吐息となって鼻をぬけて銀時の耳に届く。その度に情欲の熱が身体を走った。 早く***の中に入って欲を吐き出したい。ぐずぐずに体も思考も蕩かして初めて感じる気持ちよさにみっともなく喘ぐ、未だ誰にも見せたことのないであろうあられもない***の姿を自分にだけ晒して欲しい。 舌と指で弄った乳首がいやらしく尖り、強い刺激に悦ぶように肌が粟立つ。酸素を求めるかのように開かれた口からは、***の興奮を表すかのように短く息が吐き出される。その間から覗く真っ赤な舌が、淡い灯りに照らされ銀時の視界に写り込んだ。 胸元に押しつけていた顔を上げ、唇を重ねる。ぺろりと舐めれば先程のように拒絶する素振りはなく、苦しいとばかりに弱々しく顔をずらされる。抵抗をものともせず顎を捕まえれば、先程とは打って変わり優しく唇を塞いだ。 「気持ちよかった?」 強ばり力の入った体を抱き寄せた体勢から床に寝かせる。今度はゆっくりと。下着を脱がせようと腰を抱えた時だ。顎に軽い衝撃が走った。それは***の足で、最期の砦と言うべきものを奪おうとする銀時への弱々しい牽制。 「なにも良くない…、今すぐ放して」 いやだと訴える***の声は、どこか甘えるように縋っているもので、きっと自分の願いを聞いてくれる。そんな気持ちが垣間見えた。 「お前言ったよな、ここにいたいって。俺に訴える前に自分で自分の身くらい守ってみたら」 ***の懐刀を懐から取り出すと目の前に差し出し、腕の自由を奪っていた紐を解く。これを抜いて抵抗してみればいい。そういうつもりで差し出したものを***は受け取らなかった。こんなにも酷いことをしようとしているのに、刃を向けるべき相手ではないとでも思っているのか。 「なにしてんの。このまま犯されんの?」 冷たく吐き捨てる言葉に***は、ただ首を横に振るだけ。 「じゃあさ」 ガンッ! 手にした懐刀を鞘から抜いて***の頭の横に突き立てた。耳のそばで鳴った音と、ぎらりと光る抜き身の刃に***の顔は青ざめる。 「こうやって脅されたら?どうやって逃げんの。どうやっててめーの身を守んだ、なぁ、***」 怖いやめて。そう訴えるように***は震え、瞳には今にも溢れ落ちてしまいそうなほど涙を溜めていた。 懐刀を鞘に戻し横に置くと***の足首を掴み、邪魔な布を抜き取った。何も身につけずに震える膝裏を手で抑え胸元に押しつければ、秘された場所が眼前に晒される。 初めて見る***の其処に自然と喉が鳴る。ずっと欲しくて欲しくて、仕方がなかったのだ。気持ちを高ぶらせるには充分だった。 「…銀ちゃん、おねがい…やめて…っ」 「それ本音?此処は触ってくれって、涙流して強請ってっけど」 「ひぃ!な…にっ」 滑る程度に潤った秘所を指でなぞる。くちゅくちゅと体液が指を往復させる度いやらしく水音が立てば、***は真っ赤に顔を染めて喘ぎの漏れる口を両手で塞いだ。 「こんなに濡らして、こっちも弄ったらどうなんの」 上下に動かしていた手を止め、その上へと指を伸ばす。 股越しに***を見れば、眉根を寄せて首を横に振るいじらしい姿が目に入った。 「早く触って欲しい?」 「ちが…っあ、あ…っん、ゃあっ、あ」 反論しようと口を開く瞬間を狙ってクッと陰核を押せば、衝撃に息を詰まらせ体を固くして小さく震える。それを解すかのようにくるくると円を書くように撫でてやると、面白いくらいに甘い声で鳴いた。 「撫でられるの好き?」 それに返事を返すように花弁がひくつき、蜜を溢れさせる。 「ぁぅ、ぎ…ん…、ちゃっ…ひあ!…やだ、どこに…ッ」 指に蜜を絡ませ秘穴の付近を弄る。閉じた花弁を指で割り開くと指を1本押し込んだ。 「ひっ、やだ…抜いてッ!」 痛みは無いようで、不快感から閉じようとする足を押さえつけ熱くぬめった内側を指の腹で引っ掻いていく。爪を立てないように、ゆっくりと***のなかを探るように。 繰り返せば最初とは比べようもないくらいぐじゅぐじゅと水音を立てるそこ。体に心が追いつかない***はぼろぼろと涙を床に落とした。 「ぁ、ひ…っこわいの、…ぎんちゃ、たすけて」 弱々しい声で零された言葉に手が止まった。 なんて馬鹿なんだろうか。 誰に助けを求めてる。 「…わかった…から…、っ…もう、」 高杉でも桂でもない。他の誰でもない。今一番***を苦しめている目の前の自分に助けを求めることに、言いようのない高揚感を得る。 「怖い、?」 そっと頬を撫でる。***は頷くと、その優しく触れる手を縋るように掴み確認する。 ずっとそうして欲しいと、本音を隠さず晒して欲しいと思っていた。だが昂った気持ちはそんな姿を見ても、穏やかになることは無い。 湧き上がってくるのは自分勝手なもの。誰にも汚されたくないし、渡したくない。このまま自分のものにして腕の中に閉じ込めてしまいたい。そんな感情ばかり。 「やめて欲しい?」 こくりと縦に振られる首。 「でも気持ちよかっただろ」 どんなに願ってもその願いをを受け入れるつもりの無い態度に、***の小さな体が可哀想なくらい震えた。 「大丈夫。気持ちいいことするんだ、怖ェことはなんもねえよ」 動きを止めていた指をぬるりと滑らせ濡れた花弁の奥へと進ませる。指の付け根まで入れるとゆっくりと抜いてまた奥へと進ませる。***は出入りする異物にぎゅっと目をつぶり涙を流した。 「痛ェか?」 小さく首を横に振る。 「じゃあこれは」 「あぅ、っ…はぁ、っ」 出し入れする指の隙間から溢れた蜜を掬い、べったりと陰核に塗りたくって指で軽く撫でると、腰を引いて逃げようとする。 「やっぱ此処好き?」 「ああッ…あ、…や、あ」 逃げるのを追うように指を押し付け、敏感な其処を指で挟み込んで強く擦りあげる。強い刺激に喉を反らせ涙を零す様は、普段の***からは想像すら出来ない淫靡な光景だった。 どんな時でも曲がらず己の想いを貫こうとする***は銀時にとって、荒れ野でも真っ直ぐに咲く花のような存在だった。それが今、己の手によって情欲に塗れ淫らに乱れるひとりの女に成り果てようとしている。 「は、最高だな***」 全身を火照らせ汗ばむ肌が触れあう度に***が自分の指に高ぶり翻弄されているのが分かり、背筋に痺れが走った。 「いや、…銀ちゃんなんか、くる、離してっ」 「なんかくるじゃねェよ。イクって言うんだよ」 縛られあまり自由の利かない手を銀時の手に重ね、どけてと弱々しく訴えてくる。 離すどころか浅く出し入れしていた指できつく締め付けてくるなかを押し広げて、ぐちゅりと卑猥な音を立てて奥まで指を捻じ込む。 「あ、…ああ、や…だ…いやぁっ、!」 圧迫感と迫り来る絶頂に喉を引きつらせ涙を零す***の姿に、最低だと思いつつもより一層欲を掻き立てられた。 「もっと気持ちよくしてやるよ」 きゅうきゅうと締め付ける中にもう一本、尻まで垂れる蜜を人差し指に絡めて押し込む。 「あああっ…ひ、…も、やっ…あぁ」 「嫌?嫌なわけあるかよ。こんなにどろどろに濡らしといて」 指をくの字に曲げ恥骨の裏辺りを指の腹で押し擦れば***の白い体が反る。 「――っんん!!」 咄嗟に手で***の口を覆えば、くぐもった声を上げ爪先を張り体を痙攣させて達した。 「んん、っ…あ、ぁ」 はあはあと息を荒げて肩で息をする***の下腹部を撫で、膣内に入れたままの指でさっきの場所を優しく擦れば奥から溢れ出る蜜。ふるりと***は身震いすると目を閉じ体を縮こまらせた。 指を抜き足の付け根を押さえつけるように掴むと、親指で左右に花弁を開く。蜜で濡れた陰核がぷくりと腫れて主張しているのが目に入った。 「んなに気持ちよかった?ココそんなに勃たせて」 顔を寄せふっと息を吹きかけてやれば絶頂の余韻でひくひくと返事をするかのように開いたり閉じたりするそこ。 「体は素直だな、***」 「ひっ、ああ、ぁ…な、なに、なにして」 舌を伸ばし主張する陰核をつつき、唇で触れる。そのまま挟んでちゅうと吸い上げれば、達したばかりの所為か容易に反る腰。 「んんんっ、あ、それらめ、らめ、!…またへんなの、きちゃ、ひっ、」 誰も教えてもいないのに男を誘うように泣く様に***のそこにしゃぶりつく。唾液の滴る舌で舐め上げ時折歯を立てた。 「っあ…ひ、、だめぇ、っ」 逃げようとする***にぴんと尖った陰核からその下のひくりと痙攣する蜜壷に舌を潜らせ舐め啜る。指とは違った感覚に逃げることをやめ、びくりと反応する肢体。達してしまえと肉壁を舌で蹂躙し啜る。陰核を指で捏ね回した。 「あ゛ああァ!…ひっ、いやぁ、…やだ…らめ、んあぁ」 達しても止まらない銀時に無情にも***は強制的に何度も高みに上らされた。他人に身体を弄られ自分が自分でなくなる感覚。意識が浮遊するような絶頂に何度も浮かされる。 ぐじゅぐじゅに蕩かされて解されたそこから銀時は顔をあげると濡れた口許を拭う。着物の前をくつろげ大きくなった肉棒を取り出すと、***の足を掴んで大きく開かせた。 「っ、…あっ、あ」 欲を纏って肥大した熱は触れただけでも火傷しそうなほどに熱い。 「ひ、いやだ、おねが、…や!」 首を横に振って涙を零しながら懇願する***逃げる腰を捕まえて、熱い猛りを押し付ける。 「なんでやなの?気持ちよかったろ。嫌がってたくせにな」 銀時の言葉にかっと赤くなる頬。 「ほらこれで、中擦られたくねぇ」 「…!んん、あっ」 前後に滑らせこれからすることを再現すれば、陰核に触れたのか震える***の体。羞恥と再びの快楽に気の逸れた瞬間を狙った。 「――っ!!ぃ、」 体重をかけて押し込もうとすれば、みちりと入り口が拒み上手く入らない。 「***、力抜け」 「ひ、やだやだっ」 「言ったろ、気持ちいいことだけ考えてろって」 「いや、こわい、…こわいの」 「んなの当たり前だろ、初めては誰でも怖ェよ」 今まで以上に泣いて拒絶する***を無視して猛りを押しつけた少し上を、人差し指と中指で挟んで擦ってやれば唇を戦慄かせる。 「っ…あ、ああ、や、!そこは、やあ」 「好いの間違いだろうが。下のお口は涎垂らしてんぞ…っ」 ぐぷりと熱が体を押し開く。混ざり合う熱に息を詰まらせた。 「ふ、は……、***、っ…口開けろ」 痛みと陰核からくる気持ちよさに口を閉ざし噛み締める***に口唇を重ねる。 「んっ、は、…んんっあ、ぁふ、っう」 ちゅちゅっと舌を吸い優しく這う舌に***は翻弄された。酸欠と気持ちよさと、痺れるほどの痛み。自分の中に侵入を果たした銀時の熱に浮かされた。 「く、ぁ、…きっ、つ…」 はあはあと荒い息を繰り返し、ひっきりなしに涙が零れる頬に目元に口付けを落とす。最初よりも舌の上に強く広がる涙の味。それを刻みつけるかのように何度も、何度も***が落ち着くまで涙を拭った。 「…、動くぞ」 一旦入った欲をゆっくりと引き抜き、また押し込む。それを数度繰り返すと、互いの敏感な粘膜が擦れあいぞくぞくと気持ちのいい痺れが体に走る。***も多少の痛みの中から甘い痺れを拾っているのか、繰り返すうちに甘い声に変わっていく。 「あ、あっ、…ひ、や、だめ、うごくの、ああっ!」 少しずつ角度をずらし***の感じるところを探る。ある一箇所を熱が抉るときゅうと締め付けるそこ。 「ここ、ここがいい?」 「あうっ…、ひあ、あ、ああっ」 「俺がもう我慢出来ねェから、もうちょっと我慢な…っ」 速くなる突き上げと的確に泣き所を熱い熱に擦られ突き上げられる。お腹の奥を内臓を甘い熱が何度も押し上げた。 「あ、あ…っあ、ぎんちゃ、」 「ん、?はっ、…なに」 「っ、…奥が、おなか、ぁ、あつぃ、!」 縋るように伸ばされた手を指を絡めて捕まえた。 「俺も、一緒に気持ちよくなろうか」 耳元で囁くとびくりと***の体が一際跳ねた。ぴんと伸びるつま先に強ばる体。 「んぁっーーー!!」 「くっ、ああ…っ」 痙攣して甘く締め付けるそこに銀時は咄嗟に***の口を塞ぎつつ己の熱を引き抜いた。 気持ちのいい吐精感と腕に抱く柔らかく温い***の体に暫くぼんやりとしていれば、ここに来た時に火を入れた蝋燭が切れかけているのが視界に入った。炎が弱く小さくなる。そんな火を見ていると痺れていた頭の中が徐々にしっかりしていく。密着していた体を引き剥がす勢いで上体を起こせば目に入ってくる現実。涙でしとどに濡れた頬と顎にまで飛び散るどろりとした白濁液。一糸纏わぬ白い肌に、抵抗する腕を拘束した痕。あられもない***の姿が浮かび上がった。 腹の底で燻っていた真っ黒な感情はいくらか和らいだものの、今度は違う感情が銀時の奥に居座る。 動揺、焦燥。 自分は一体何をしているんだ。***の気持ちが知りたくて、隠している思いを自分に話して欲しかっただけなのに。それを力づくで暴くために女である***が絶対に適わない力で押さえつけてその体を貪った。憎いと思ったその苛立ちを最低な形でぶつけたのだ。 それで嫌悪されてもいい。嫌いになればここから足も遠のくだろうと、少なからず思っていたはずだったのに。そうはならないで欲しいと今は思う。とても身勝手で矛盾した感情を抱えていた。 汚れた体を清めて着物を整える。ぐったりとした***が朝まで目を覚ますことは無かった。 ♭21/08/21(土) (5/11) ← |