凡人が怪我しないって大変
一年生が参加するのは障害物競走だ。第一種目だから開会式のすぐ後に始まる。

ちなみに担任の先生からは個人的に「ゴールしなくても罰せられない」という忠告をもらった。

体育の先生からはスタート地点にいれば欠席扱いにはならないと言われた。

私にだけ忠告があって、私にだけ念入りな説明があって、私にだけ当日の保健室は忙しいからお世話にならない前提で動けと言われた。

つまり、私が参加して無事でいられるレベルじゃないってことだ。

スタート地点から出て行くゲートはひと学年全員が出ていくにはどう見ても狭い。
前の方にいたらやばそうだ。きっとかっちゃんは前の方にいるのだろう。
私はなるべく後ろの方に行くと、知らない人たちが多くなった。多分経営科の人だ。サポート科の人は全身に機械を身につけていて分かりやすい。

スタート地点にさえ行けば、そこからどう動こうと自由。ゴールしなくてもいい、という発言からしてゴールを目指さなくても良いのだろう。

「スタート!」と大きな合図で前の方は動き出す。

ゲートが狭いから少しずつしか動かないけど、熱がすごい。温度的には冷気とか熱とか色々伝わってきて、とても嫌な感じだ。

後ろの方は全く動かない。ゲートから全く出る気のない人たちも多いので、私もゲートの中にいることにした。
個性に巻き込まれるのも嫌だしね。

ここでもプレゼント・マイクの実況は聴こえて、時折母の解説も聞こえる。

大きなロボットが障害物になっているらしく、スポンサーがついているとロボットが障害物になるのか、と感心した。

ゲートの中の人たちが外に出始める。
後ろの方にいた先生たちが「そろそろ出てけー」と、促した。

私たちはぞろぞろとゲートを通過して、ボコボコになった地面を歩いた。
スクリーンがよく見える場所で集団が止まったから、私も止まった。

下手に動いたらロボがいる可能性がある。一人では動けない。


上位は最終関門に突入したらしい。多分かっちゃんもその中にいる。

プレゼント・マイクが「一面地雷原!!」と興奮気味に関門を解説した。

「地雷とか死人がでる……」

豊潤な予算で粗悪な地雷は用意してないと思うが、十五歳に地雷原を走らせるな。少年兵か雄英の生徒くらいしか走らないよ。私たちはまだまだ未成年なのに。
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