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*ジャンルCP雑多でなんでもあり


(臨帝)

とおくに行きたいです、隣に座る帝人君がそう呟いた。俺はすっかり冷えてしまった彼の手を握り締めてコートのポケットに半ば無理やりに突っ込む。帝人君の表情は変わらない。どこかとおくに、二人で。そう続ける帝人君の肩をそっと抱き寄せた。遠くからバスのライトが見える。
「うん、行こう、どこにでも。二人だけで」
誰もいない誰も追いかけて来ない、二人だけの世界。そんな場所へ。
目の前で止まったバスに、俺達は迷うことなく乗り込んだ。




(平和島兄弟)

兄は、少し変わった。
昔は忌み嫌っていた自分の力を嫌悪しなくなった。昔は大嫌いだった自分自身を受け入れるようになった。
何が兄を変えた要因なのかは、わからない。残念ながら俺はずっと兄の傍にいたわけではないからだ。
でも原因が何であれ、俺はよかったと心の底から思う。
「なあ幽。今度、またあのパン屋、行ってみねえか?」
今ならちゃんと、感謝と謝罪を言える気がするから。
「……うん、行こう」
変わった今の兄の方が、俺は好きだと思った。




(静吉)

がっつくようなキスだった。壁際に追い込んだ体は震えていて、汚れたビルの壁に押し付けた煙草がじゅっと消える。少し顔を離すと、三好の顔はその赤毛に負けないくらいに真っ赤だった。
「へいわじまさ、」
「黙ってろ」
またキスをした。からんと、三好が持っていたコーラの缶が落下した。




(臨帝)

ぱしんと乾いた音が屋上に響く。呆然とする僕を余所に、臨也さんはけらけらと笑った。
「知ってた?俺本当は君の事大嫌いなんだよね」
まるで手品のタネを明かすように、臨也さんは笑う。そして軽い足取りで僕の腕を引っ張ると、柵の側まで促された。
「ここ、自殺の名所なんだって」
どうする?と尋ねてくる臨也さんの目は夜でも赤く光る。叩かれた頬はまだひりひりとしていた。
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「深夜の屋上」で登場人物が「ひっぱたく」、「手品」という単語を使ったお話




(臨帝/学パロ)

早朝の空気は切るように冷たく、思わず肩を竦めた。何か温かいものでも買っていこうとコンビニに足を向けると、入口の脇に見慣れた後輩が立っているのに気づいた。ココアの缶を両手で持ち、暖をとっているようだ。
「…なにしてるの」
こんな寒い中、店にも入らず。
「先輩が来るのが見えたので」
一緒に登校しようと思って出てました。帝人ははにかみながらそう言った。馬鹿じゃないのかと思ったが、彼の手を握り歩き出すと帝人君は嬉しいそうに瞳を細めたから、どうでもいいやと思った。
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「早朝のコンビニ」で登場人物が「あたためる」、「瞳」という単語を使ったお話






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