Pale blue | ナノ

うちはの一件から数年が経った。
私とサスケはうちはの集落を出て、2人で家を借りて過ごしている。

サスケの野望はイタチ兄さんを殺すこと、それと一族の復興。
私の野望もサスケ同様イタチ兄さんを殺す。それだけだ。

どちらにせよ、力はつけなければならない。
私とサスケは日々読み漁った書物の内容を共有し、着実に年齢相応以上の力をつけていった。


そうして私たちは今日、アカデミーをダブル首席で卒業する。

「班一緒がいいなあ」
「そうしてもらわなきゃ困る」

教室に先生が来るまでの間、適当に座った席で私とサスケが話していた。
後ろで女子が「何この女…」とか「離れろよ!」とか言ってるけど無視。今更他の女の子に渡すつもりなんてないんでね。

そんな時、誰かが私の背中に体重をかけてきた。その勢いに重力の赴くまま、私は机に身体を倒す。

「サスケくぅん!隣いい!?」

春野サクラ。
サスケのことが好きなんだろう。かなり積極的にアピールしている。かわいい。

「ちょっとサクラ!サスケくんの隣はあたしよ!」

山中いの。
サクラ同様サスケが好きらしい。サクラと張り合ってサスケにアピールしている。こちらもかわいい。

この2人にはアカデミー時代、特に執拗に絡まれた。
何かと勝負を持ちかけられ、敵対心を燃やされた。サスケの隣を歩いていようものなら肘で押されるわ、足は踏まれるわで、何かとその位置を狙われたものだ。

初めこそ、2人がかりの襲撃に頭を抱えたが、サスケの態度は変わらず私が最優先で、他の女子は一切寄せ付けない態度を徹底しており、そんなサスケに少し救われたりもした。
今では日常と化し、サクラといのの顔を見ると平和だなとすら思える。

「おはよう、サクラ、いの」
「あ、おはよう」
「おはよー…て、あんたねえ!」

背の上にサクラといのを乗せたまま、平然と挨拶する私にいのがツッコミを入れる。「ちょっとは抵抗しなさいよ!」とのことだ。自分たちが乗ってきたくせに、乙女心は難しい。

「毎度のことながら、サスケはモテるねえ」
「何言ってる、お前の方が…」

眉をひそめながらサスケがそう言いかけた時だった。
サスケに敵意むき出しなナルトが机の上に乗ってガンたれる。

「てめェー、ナルト!サスケくんにガンたれてんじゃないわよ!」
「サスケくん!そんな奴やっちゃいな…」

サスケとの顔の距離わずか数センチ。
サクラや周りの女子が喚くがナルトが退く気配はない。そんな時、事件は起きた。

ドンッ
「うわっ」

前の席に座っていた男子の肘が当たり、ナルトがよろける。
そうして一瞬のうちにサスケの口とナルトの口が重なった。

「ぐぉおォオ、口が腐るゥウ!!」
「てめ…ナルト!殺すぞ!!」

オェェ、と吐き真似をする2人。
バッとサスケが私の腕を掴み、席を立った。

「なまえ」
「は!?え、ちょ…」

慌てて席を立ち、引っ張られるがままに教室を出る。
後ろでサクラやいのが「ちょっとなまえ!?」とか「サスケくーん!」とか言ってる声がする。

教室を出て1つ角を曲がったところでサスケが止まった。
私を壁側に寄せ、向き合うように立つ。

「もう嫌だ…」

向き合った私の肩に顔を埋めるサスケ。
相当嫌だったのだろう。初日から最悪だ…などと零している。

「私も嫌だったけどね」

肩に乗るサスケの頭をよしよしと撫でる。
すると肩から重みが消え、向かい合ったサスケと目が合った。

「お前の取り巻きもどうにかしろ」
「何、取り巻きって」
「前でナルトを押した奴…なまえに声掛けるとかなんとか話してただろ」
「え、何それ知らない…気付かなかった」

そう言うと、はぁ…とため息を漏らすサスケ。
先ほどの会話で途中になった「お前の方が…」はそういうことだったのか。

「もう少し危機感を持て…」

そう言うとサスケは私の首に吸い付き赤い印をつけた。

「それでも付けとけ。男避けくらいにはなるだろ。」
「う、ん」


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