Pale blue | ナノ

付き添いで来たはずだった。
うちはの瞳術の秘密を知るために。


うちはの秘密。確かにそれは存在し、私たちはそれを食い入るように見ていた。

「九尾をコントロールする力を得るための代償…それが失明…」
「九尾って…あの…」

ちょうど私たちが生まれた頃の出来事。
ちらりとサスケの顔を見ると先ほどと顔つきが違うように見えて少し怖かった。

「あれ、この巻物…」

石碑の上に置かれていた巻物にサスケが気付く。
それにはみょうじ一族の家紋が描かれていたのだ。

「なんで、みょうじ一族の家紋が…こんなところに」

不思議で仕方がなかった。同時に中を見るのが怖かった。
サスケが巻物を持ったまま固まる私を見つめる。

「なまえ…」

名前を呼ばれてハッと我に返った。覚悟を決め、恐る恐る巻物を開いてゆく。

「この巻物を、読んでいるということは…みょうじもうちは一族も滅んでいて、オレ…うちはイタチはお前たちの前にいないだろう…」

私は冒頭を読み上げた。この巻物の送り主に驚愕し、息が止まる。
なんで、イタチ兄さんが私に巻物を…??いくら考えてもその答えは分からない。

固まる私に、サスケは「貸して」と巻物を取った。そして私の代わりにそれをシュルシュルと広げ、続きを読む。

「なまえの両親は任務先で待ち伏せされ、部隊ごと全滅した…」
「その待ち伏せをしたのが、オレだ…」

「なんで、イタチ兄さんが…お父さんと、お母さんを…」

分からない。頭が真っ白になった。
あの日から、何度後悔したか。自分の無力さを。何度恨んだか。両親を殺した仇を。
それがずっと近くにいたなんて。想像もしなかった。私の記憶にあるイタチ兄さんはずっと優しい、それでいて大好きな兄だったから。

「見た目や思い込みだけで人を判断しない方がいい…オレを優しい兄だと勝手に判断し、オレの器の深さを知らぬから、本当に大切なモノを失う…」
「真実から目を背け、己の器を図り違える…悲しみに暮れ、未だ見ぬ知らぬものに気付かない…愚かなる妹よ」
「万華鏡写輪眼を開眼し得る者として、最も親しい友を殺し…オレと同じ眼を持ってオレの前に来い」

そこまで読み上げたサスケは異変に気付く。すぐさま巻物を投げ捨てると、それは炎を上げて燃え始めた。

「…どういうことだ」
「私が、万華鏡写輪眼を開眼する…!?」

サスケと私は混乱したまま顔を見合わせた。イタチ兄さんの実弟であるサスケに万華鏡写輪眼の秘密を明かすのは分かる。しかし、何故、うちは一族でない私にも同じ事を…

「兄さん…イタチは、あの夜オレにも同じことを言った」
「私が気絶した後の話?」
「うん…なまえを外に連れ出すと、イタチが行く手を阻んだんだ。その時に、今の巻物と同じ事を…」

考えても考えても答えは出ず、2人で立ち尽くして長い時間が経った。

「謎は多い…けど、一つ言えることは、オレはイタチを殺す」
「私も、2度も私の大切な人たちを奪ったイタチ兄さんは、絶対に許さない」

震える私の手の上にサスケの手が重なる。

「怪我させてごめん。でも次は絶対、オレがなまえを守る。これ以上、大切な家族を失いたくない。」
「…ありがとう」

孤独の中の一筋の光。それは私だけでなく、サスケにとってもそうだったのかもしれない。


もう一つの秘密

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