Pale blue | ナノ

 
私がうちは一族に引き取られてから半年が経った。

両親を失ったことで私はひどく落ち込んだが、その悲しみを糧に修行に打ち込むようになった。強くなりたかった。
為す術のないまま不条理に巻き込まれるのはもうごめんだ。大切な人を守れるようになりたい。それが私の原動力となっていた。

「痛っ!」
「まったく…アカデミーが休みの日くらいちゃんと身体を休めないと」

ミコトお母さんが私の足を消毒する。その切り傷は浅いものから深いものまで、痛々しいものだった。

私は亡くなった両親の形見として、2本の剣を受け継いだ。まだ子供で背の低い私はその剣のうち1本を背中に背負い、毎日素振りをした。アカデミーで習った忍術はもちろん、サスケがイタチ兄さんに取り付けた修行に誘われ教わった手裏剣術の修行も欠かさなかった。

「早く強くなりたいの」
「そう…でもね、無理しなくていいのよ」

ミコトさんは本当のお母さんのように接してくれた。ミコトさんだけではない。フガクさんも、イタチ兄さんも、もちろんサスケもだ。本当の家族のように接してくれる。

この半年で呼び方も変わった。フガクさん、ミコトさんに「まだつらいだろうが、第2の親と思ってほしい」と言ってもらい、私もその好意に甘えることにした。
”お父さん””お母さん”は生みの両親。なので、私の第2の両親は”フガクお父さん””ミコトお母さん”と呼ぶことにした。フガクお父さんとミコトお母さん、イタチ兄さんも私のことを”なまえちゃん”ではなく”なまえ”と呼ぶようになった。

「さっきね、フガクお父さんに成績表見せてきたの」
「あら、後で私にも見せてね」
「うん、分かった!」

アカデミーでは上期の成績表が渡された。全て1位の成績表だ。サスケとも見せ合いっこしたが、同じく同率で全て1位だった。

さっきフガクお父さんに見せたら「この調子で立派にやりなさい」と言ってもらえた。嬉しくて、廊下で会ったイタチ兄さんにも見せた。「頑張ったな、後で一緒に甘味でも食べに行くか」と、頭を撫でてもらえた。どちらもすごく嬉しかった。


ガタンッッ

「イタチはいるか!出て来い!話がある!」

突然の物音に身体がビクッとなった。玄関の方からだ。
大きな怒鳴り声が怖くなり、ミコトお母さんの顔を見上げる。

「大丈夫よ、様子見てくるわね」

残りの消毒を終えたミコトお母さんは、救急箱をしまいに行った。私は一足先に恐る恐る玄関の方に向かうと、玄関の外でイタチ兄さんがうちは一族の人達と何やら話をしていた。
玄関の内ではサスケが様子を見守っている。

「サスケ…」
「なまえ…!どうしよう、兄さんが…!」

私に気付いたサスケが歯を食いしばる。
その時だった。

カッ
「オレの器はこの下らぬ一族に絶望している…」

外壁に描かれたうちはの家紋にイタチ兄さんの投げたクナイが刺さる。
その後もイタチ兄さんとフガクさん、うちは一族の数人が言い合いをしていた。うちは一族の人達の口調はどんどん荒くなり、私は不安でいっぱいになっていった。

「兄さん!もうやめてよ!」

涙をためたサスケが叫ぶ。
サスケのその言葉により、事態は収束の方向へと向かっていった。

「シスイを殺したのはオレじゃない…けれど数々の失言は…謝ります…申し訳ありません」

地面に頭を垂れたイタチ兄さん。フガクお父さん越しに見えたその瞳は、赤い色をしていた。


成長を目指して

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