Pale blue | ナノ

 
「午前は誰も鈴を取れなかったね。それぞれ思うところはあると思うけど、とりあえず昼食にしよう。」

ヤマト先生が3人それぞれに弁当を配る。
私はそれを受け取りつつ、いつになく焦っていた。

「(この下忍選抜試験は、ほぼ確実にチームワークを試されている…となると、トビオとアミの協力は必須だけど協力してくれるかどうか…でも、)」

協力しないといけない。そして、きっとサスケなら受かる。というか、十中八九サスケも同じような試験を受けさせられているはずだ。こんなところで私が遅れを取るわけにはいかない。

「午後は3人で協力して鈴を取りに行こう」

お弁当を食べながらそう提案する。

「3人で鈴取りに行っても合格するのは2人だぜ?どうすんだよ」
「それは…」

咄嗟に具体的なアイデアが浮かばない私は口籠る。

「私も協力なんてイヤ。ていうか仕切んないでくれる?別にアンタの下についた覚えないのよね」

「どっちが上とかどっちが下とかじゃなくて、これは鈴を取る試験の前にチームワークの試練なんだって!」

「必ず1人落ちるのにチームワークもクソもないって言ってんのよ!ていうか、アンタ目障りなのよね。ちょっとサスケくんに気に入られてるからって、調子乗んないでくれる?」

「なっ…!今サスケは関係ないでしょ!?」

「今までサスケくんと一緒にいたのはアンタかもしれないけど、今一番サスケくんに近いのってサクラだし?このまま取られちゃうかもね!」

「その時はその時よ!でも…でも、サスケは私のことを大切にしてくれてる!」

“でも、サスケは私のことが好きだし!”そう喉まで出掛かったのを飲み込んだ。昨晩のキスの出来事が頭をよぎったのだ。
初めてサスケにされたキスは一瞬のことだった。その後サスケは、照れ隠しのように「食うか」と言い、私が作っておいた夕食を食べる流れになってしまった。つまり、あのキスの意味は本人から直接はまだ聞けていないのだ。
…でも、やはり期待してしまう。

そんな昨夜の幸せな出来事を思い出していた私をどん底に落としたのはアミの一言だった。

「そんなの分からないわよ。人の心なんかいくらでも変わるんだから!」

確かにそうだ。今はサクラには靡かないと言ってくれているサスケだが、この先その言葉が変わらない保証はない。それに、私はまだ明確に告白されたわけでもないのだ。
私が怯んだ一瞬の間に、トビオが口を挟む。

「おい、脱線してるぞ…それにそろそろ…」

トビオの言葉に私はハッとし、頭を切り替え、話を戻す。

「とにかく、まずはどうにかして鈴取らないと全滅なんだよ。誰が合格するかは恨みっこなしで、協力…」

「アンタとは絶対に組まない。」

私の言葉を遮るように言うアミ。
結局トビオも自分の力で頑張りたいと言い、私の説得が叶うことはなかった。


反省、そして

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