ガチャ…
「サスケええええええええええ!」
玄関のドアを開けると、先に帰っていたらしいなまえはエプロンをつけてリビングから飛び出してきた。夕食を作っていたらしい。
勢いよく抱きついてきたなまえを抱きとめるとその頭を一撫でする。
「あいつに何かされなかったか」
「あいつ…?」
「お前のこと教室から連れてったヤツ」
「ああ、トビオ?何もされてないよ!すぐに手も離してもらったし」
えらいでしょ?そう言うなまえがあいつを呼び捨てにしていることに少しの嫉妬を覚えたが、それはあいつに限ったことではなく、ナルトやサクラに対してもそうであるので我慢せざるを得ない。
「もしかしてずっと心配してた…?」
「当たり前だろ」
少しふてくされた様子を見せながらなまえをソファの方へ促す。
素直にソファに座ったなまえは、そのまま隣に座ったオレの膝に顔を埋める。
「…アミって覚えてる?」
「あぁ…いたな、アカデミーに」
ぐりぐりとオレの膝に顔を擦りつける動作がピタリと止んだかと思ったら、そのまま顔を上げずに話し出したなまえ。こいつちゃんと息できてるか?
「同じ班になったんだけどさあ、もうすっごい色々言われたの!ハンバーグはきもいとか、サスケに捨てられるとか!」
「ありえねぇから。構うな。」
ハンバーグのくだりはよく分からないが、後半については否定した。ただ、オレがなまえを心配していた時、こいつもオレを心配していたのか…そう思うと少し笑えてきた。同じ時、お互いが同じことを思っていたんだな。
オレは、オレの膝に顔を埋めたまま微動だにしないなまえの髪をゆっくりと頭を撫でる。すると再びなまえはゆっくり話始めた。
「私もね、すごい心配だよ。だってサクラは可愛いし、積極的だし。あ〜〜早く下忍になりたいって思ってたけど、初っぱなから憂鬱すぎるなあ…」
意外と好戦的で、でも協調性もあるなまえは、アカデミーでは一匹狼を貫いたオレと違い多くの友達を作った。アカデミーでの休み時間はキバやシカマルたちといたずらをすることもあれば、放課後はヒナタと出掛けることもあった。
喧嘩もするが、サクラやいのとも良きライバルとして切磋琢磨していたように見える。
そんななまえのこういった姿を見れることには、少し…いや、大分優越感を感じていた。
「オレの方は心配いらない。昼間も言ったがサクラに靡くことはねぇし、なまえを手放すつもりもない。」
「…うん」
大人しくなったなと思ったのはつかの間、「〜〜でもやっぱ心配なものは心配なの!!」となまえはガバッと起き上がった。
「馬鹿、オレも心配してるの忘れるなよ」
オレはなまえの重みがなくなった自分の膝に自分の腕を置き体重を支える。顔だけチラリとなまえの方に向けると、オレに心配されたことで少し満足したのかなまえは笑顔を取り戻していた。
「私の方も心配しなくていいよ!ちゃんと危機感持つし!サスケを手放すつもりもないしね!」
先ほどのオレの言葉をそのまま返してくるなまえ。そのまま「どーん!」とオレにのしかかってくる。
「おいっ…!」
呆れた声を出しつつも満更でもないオレは、押し倒された状況をひっくり返すべく身体の位置をなまえと入れ替えた。
「…サスケ?」
オレの下でオレを見上げるなまえの声が部屋に響く。
オレも自分の感情にそこまで鈍くはない。こいつが好きだという自覚は相当前にしていた。そして、今まで我慢してきたが今日の一件でさすがに自分を抑えることができなかった。
この時、オレは初めてなまえにキスをした。
似たもの同士