4


 何でコイツは、会社にそんなモノを持ってきているんだろう。

 俺のお尻を指で慣らしながら、またどこからかゴムを取り出していた庄司が、スラックスの前を寛げて取り出したイチモツに片手で手際よくそれを被せているのをチラッと視界の隅に捉えて、俺の頭には当然の疑問が浮かび上がっていた。

 ゴムくらいなら男として最低限のマナーというか、財布の中に一枚忍ばせておくのは理解できる。
 でも、小さなチューブ入りのジェルは!?
 そんな物を普段から持ち歩いている男は、ほとんどいないだろう。

「や、あっ、しょーじ……もう……!」
「我慢できませんか?」
「んん、……いじめるな、ばかっ」

 ジェルで濡らされていやらしい水音をたてるソコは、物欲しげに庄司の指に絡みついて、もっと大きなモノが欲しいとねだっている。

「はぁンッ!」
「そんないやらしい声を出して。誰かに聞かれても知りませんよ」
「や、だって、しょーじが……あぁっ、あんッ」

 中を探る指が敏感なポイントを押し上げる度に、勃起したモノの先端から濃い粘液が糸を引いて落ち、タイル張りの床に恥ずかしい跡を残していた。

「声、少しだけ我慢して下さいね」
「っ!」

 鼓膜をくすぐる、大好きな甘い声。

 背後から身体をピッタリと密着させ、トロトロに解された小さな穴に雄茎の先端を宛がった庄司は、耳元で低く囁くと同時に、いつもより強引な侵入を開始してきた。

「――やあぁ、あッ、太い、庄司のが……っ」

 圧倒的な質量を持った太い熱の塊が、肉の壁を押し分けて一気に身体の奥へと突き入れられる。

 待ち侘びていた充足感に、俺は庄司が動き出すのを待てず、自分から腰を揺らしてしまった。

「そんなにコレが欲しかったんですか」
「ああッ」

 からかうように笑って、庄司が太い楔を身体の中でぐるりと回す。

「ん、好き……庄司の大きいの、気持ちいい」

 アナルセックス自体の気持ち良さとか、前立腺を刺激されることで得られる快感とか、そういう要素はもちろんある。
 でも今は、庄司が俺の身体でちゃんと感じてくれているのが分かるから、俺も気持ちいいんだ。

「庄司、もっと奥に……いっぱい欲しい」
「!」

 甘いお菓子の差し入れもお土産も、いらないから。

 ――俺を捨てないで。
 こんなに庄司が好きで、いつも庄司のことでいっぱいになっている俺を、迷子にしないで。

 声にならない言葉の変わりに、太い楔を受け入れた部分が切なく引き締まって、キュウキュウと庄司を締め付ける。

「柏木さん……!」

 普段は挿入の後、俺の身体が落ち着いて庄司の形に馴染むまでじっと堪えてまってくれる辛抱強い男が、かすれた声で俺の名前を呼び、荒々しい動きで腰を使い始めた。

「ひ、ぁッ……深い、庄司!」
「すごい、柏木さんの中……熱くて、俺のに絡み付いてきます」
「やぁ、ん、あぁッ、お尻、グチュグチュしちゃ駄目……!」
「静かに。誰かに気付かれちゃいますよ」
「やだぁ……っ」

 激しく腰を打ち付けられる度に揺れるペニスの先端から蜜が飛び散って、床を汚す。
 薄暗い物品庫に濃い雄臭が漂って、まだ皆が働いている社内でこんなにいやらしいことをしているんだという背徳感が、更に快感を煽った。

「ドアの向こうに誰かがいるかもしれないのに、こんなに感じるなんて。柏木さんは本当にエッチですね」
「あ、あ……気持ち、い……やぁあッ」
「今誰かが入ってきたら、可愛いお尻もペニスも入口から丸見えですよ」
「馬鹿……っ、しょうじ、いじわる!」

 金属製のラックの端を握り締め、背後から荒々しく突き上げられて、張り詰めた雄の器官を揺らしているなんて。
 こんな所を誰かに見られたら死んでしまいそうなくらい恥ずかしいのに、身体はいつも以上の快感にビクビクと震えていた。

「お尻よりもっと気持ちいいトコロ、触ってあげましょうか」
「ん、しょうじ、触って……!」
「こんな所でイキたいんですか」
「イキたい、もう、出るからっ」

 限界まで張り詰めた雄茎は、僅かな刺激だけで暴発しそうな勢いで血管を浮かび上がらせ、雄臭い汁をこぼしている。

 全身が熱くて、こんな所で射精して後始末はどうするんだということも考えられないくらい、俺はただひたすら庄司から与えられる刺激に酔っていた。

「は、あ、あんッ、あっ」
「柏木さん、可愛くていやらしくて……堪りません」
「あっ、庄司の、また大きく……あぁッ」

 腰を打ち付けるスピードが上がって、身体をガクガクと揺さ振られる。
 目も眩むような快感に流される俺の身体を後ろから力強く抱きしめて、庄司は、決定的な刺激を待ち侘びて蜜をこぼしていたペニスを優しく握り、擦り上げてくれた。

「やぁあ、イクッ、イク、アッ……あぁっ、んッ!」

 元々耐え性がなく快感に弱い俺には、庄司のひと擦りだけで十分な決定打だ。

「――あぁああッ!」

 目の前のラックに詰まれた物が大量のコピー用紙だということに気付いても、男の生理現象が止められるはずもなく。
 勢いよく先端から吹き出した白濁液は、ラックに詰まれた荷物にかかる寸前のところで、庄司がまたしてもどこからか取り出して準備していたハンカチに受け止められたのだった。

「ん、……あ、あ」
「っ、はぁッ」

 ハンカチ越しにペニスを押さえられ、射精の余韻に震える俺の中で、庄司も耐えていた熱液を解き放つ。

「しょーじ……」

 大好きな恋人の名前を小さくこっそり呟くと、まだ熱を持った腕が後ろから俺を抱き寄せ、耳たぶや首筋に、甘いキスが降ってきた。




(*)prev next(#)
back(0)


(4/7)
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -