第4話 4



 もたもたと慣れない手つきで解かれる布が、足元に落ちていく。

「お前、男じゃ…勃たねぇくせにこんな事して…、楽しいのかよ…っ」

 途切れ途切れの声は、すっかり甘く掠れていた。

「楽しくは、ないですけど」
「じゃあ、止めろよ!…ッ、玉、揉むなっ!」
「今すごく、興奮しています」
「あぁ、やッ…」

 半分解けかかった褌から頭を出した赤黒いモノが、先走りでぐちゃぐちゃに濡れている。揉み込まれた嚢まで、べっとりだ。

「う…ンッ、ぁ…」
「…可愛い声」
「はッ、触んな…っ!」

 硬く反り返る竿を一気に扱き上げられ、限界まで充血して張り詰めた亀頭を責められて、内股の筋肉が軽く引き攣った。
 身体の奥で渦巻く熱液が沸騰して、早く外に出せと暴れている。

「熱くなってますね」
「ん、離せ…っ、あぁ…ッ」
「もう出そう?」

 さすがに僅かに残った理性でも、このまま射精してノンケのはずの鮎川の手を自分の精液で汚してはいけないという事くらいは分かる。
 それなのに鮎川は逆に、抱き寄せる腕の力を強めて、もう片方の手で猛烈なラストスパートをかけてきた。

「うッ、あぁ、あ…ッ」
「眞木さんの、震えてる」
「鮎川…ッ、出る…、イクッ!…んっ、あぁぁあッ、あ…ぁッ!」

 目の前が白くなって、身体が硬直する、あの瞬間。

「…や…ぁ、あっ…!」

 ドクドクと、全身が心臓になってしまったのではと思うくらい大きく脈打っている。

「すごいな…大量。もしかして、溜まってました?」

 鮎川の手でイカされてしまったモノからは、ドロリと濃厚な汁が零れて、床と褌を汚していた。

 本当に思いっきり、出してしまった……。

「…んッ」

 まだ熱の余韻が残る雄を絞りきるように揉まれて、敏感になった身体が微かに反応を示す。

「眞木さん、俺も…して、いいですか」

 甘く囁かれた言葉の意味も分からずにぼんやりしていると、俺の放った白濁液でぬるついた鮎川の手がそっとケツを撫でて、そのまま普通では考えられない場所を探ってきた。

「おい、何する気だ…!」
「男同士って、ココでヤるんでしょ」
「はっ!?…うわ、止め…っ」

 まさか、そこまではしないだろうと勝手に油断していたのに。
 無遠慮な指は、まだ誰にも触れられた事がないその場所を、乱暴にこじ開けようとしていた。



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