モノノ怪 飽和する世界 番外 | ナノ
R18
年末年始〜2009姫始め〜
女主
初詣を終えて部屋に戻ると、僅かに温もりが残っていた。
西明は外套を脱いで綺麗に畳んでから、寒いのだろう、手を擦り合わせている。
そんな西明を背後から抱き締めれば、途端に西明は眉間に皺を寄せて振り返った。
「私は嫌だと言っただろう」
「そう、仰らずに」
着物の中に手を入れる。
すると西明は身体を跳ねさせた。
肌着越しに触れる乳房は左側だからだろうか、心臓の鼓動が直に伝わってくる。
早いそれに、僅かに期待してしまうのは、悪い癖だろうか。
「やめろっ!」
柔らかい胸。
しかし寒さからか、尖った先端だけは形を主張していて、しこりの様だ。
肌着越しにそこを輪を描くように撫でると、西明の身体は面白いくらいに痙攣してみせた。
「やっ……」
いつもよりも少し高い声。
自分の声と身体の反応が恥ずかしかったのだろう、西明の頬はみるみる紅潮した。
弱点である耳を噛んだり舌でくぼみを舐めたりすれば、西明の腰は簡単に砕ける。
「卑、怯だ」
「それだけ、西明を手に入れたいの、ですよ」
脇腹を撫でてやれば、西明はまた高い声を上げた。
脇腹も西明の弱点なのだ。
弱い場所を突かれて力を失った身体は俺にもたれてくる。
その身体を横にずらして、唇を合わせながら身体を畳に寝かせれば、西明は慌てた表情。
今更、自分の状況を理解したのだろうか。
「良い、ですよね?」
西明は赤く上気した頬のままに、俺を睨む。
その瞳は潤んでいて、誘っているみたいだ。
軽い音を立てて唇を合わせる。
目を閉じた西明は拒絶をしない。
それは西明なりの受け入れ方だ。
西明は良いとは言わない。
ただ、黙って受け入れるのだ。
それは、曖昧な関係の象徴。
西明は俺と恋仲でもなければ、夫婦でもない。
なのに、こうして夜を共にして肌を重ねる。
稀に、不安になる。
西明はこの関係をどう思っているのだろうかと。
帯に手を掛ける。
着物を脱がし、肌着を一枚纏うだけとなった西明。
いつも黒や紺といった着物ばかりを好んで着ている為に、白い肌着の着物一枚の姿は新鮮だ。
真っ白な肌に、喉が鳴る。
西明は羞恥からだろうか、顔を反らして腕で目元を隠してしまった。
白い着物は布が薄い。
胸の突起の形がすぐに分かる。
布越しに撫でれば、西明の身体は敏感に反応をした。
それでも声は洩らさない。
口を一文字に結んで声を殺す姿は加虐心をそそると、知らないのだろうか。
薄い白地の布も剥がせば、その下にはこれまた白い肌。
胸の頂きに乗った桜色は鮮やかで、魅力的だ。
「んっ……」
舌先で胸の先を転がせば、西明は鼻に掛かった声を出す。
恥ずかしいのだろう、とうとう両腕で顔を隠してしまった。
けれど、それを許すほど俺は優しくはない。
俺は西明の女の一片を見たいのだ。
いつも、女性らしさを見せない西明。
その理由は俺には分からない。
ただ、思うのだ。
他の人の前では骨董屋でも医者でも良い。ただ、俺の前だけでは、女でいて欲しいと。
細い手首を掴む。
「嫌だ……」
弱い抵抗。
腕を退かして、指を絡ませる。
西明の顔は真っ赤で、見られたくないのか横を向いてしまった。
けれど、横を向いたせいで耳が正面に現われる。
漆黒の髪の隙間にある耳は頬以上に赤くて、それに口元が緩む。
「西明、可愛いです」
「戯言を」
「本心、ですよ」
頬に、鼻先に、瞼に、額に口付けをする。
最後に唇に接吻をすれば、安心からか、閉ざされていた口が僅かに開いていて誘われるように舌を入れた。
強ばってぎこちない動きをする舌。
どうにも西明は、行為の最中は緊張からか、舌の動きが悪くなる。
普段の接吻ならば、自分から舌を絡めてくる事もあるというのに、最中の接吻ではいつもこうだ。
行為に慣れない西明。
それに苛立ちはない。
むしろ、愛しさが胸を支配するのだ。
胸を揉んで先を指で摘む。
与える刺激に西明は従順に反応した。
潤んだ瞳に紅潮した頬。
加えて呂律が回らないままに甘い声を出されたら、男は誰だって我慢が出来ないだろう。
「西明」
「やっ」
脇腹を伝って秘部へと手を伸ばす。
西明は身体を震わせたが、抵抗は見せなかった。
湿ったそこに中指を入れる。
中にはぬるりとした液があって、俺の指を伝って外へと溢れだした。
それに、たまらない嬉しさを感じる。
西明の女としての性を、目覚めさせたのだと思えるのだ。
指を曲げると、西明の中は俺の指を締め付けた。
肉壁を撫でると、西明の身体が生きた魚のようにピクピクと動く。
知り尽くした西明の身体。
一番弱い部分を撫でれば、甲高い声を上げた。
親指で陰茎を転がせば愛液が増えて、西明の中が指を招き入れるように蠢く。
指を増やしてバラバラに掻き混ぜる。
水音が鼓膜を刺激して、自身がまた欲を溜めたのが分かった。
西明は両手で耳を塞いで、音を拒絶する。
「あっ、や、あぁっ」
水音に気をとられているせいか、西明の口からは声が溢れ出る。
水音と甘い囀り。
その二つに俺の耳は犯される。
指にまとわり付く粘膜も、その熱さも、指ではなく自身で味わいたい。
指を抜く。
西明の秘部がヒクリと動いて、ひとりでに水音を奏でた。
西明は絶頂を迎えられずに苦しいのだろう、薄くあけた口で浅い呼吸を繰り返しながら、情欲に潤んだ瞳で俺を見る。
わざと愛液で濡れた指を舐めれば、西明は僅かに残る理性から羞恥を覚えたのだろう、視線を外した。
「西明」
「んっ」
足を持ち上げて、肩に掛ける。
少し浮いた腰。
真下を見れば、西明の秘部が濡れていて、酷く卑猥に思えた。
自分の盛った物を西明のそこに当てる。
二、三回擦り付けると、西明のそこは招き入れるように動いた気がした。
「入れ、ますよ」
「あ、ああぁぁあっ!」
押し込めば、熱い肉壁が俺を締め付ける。
理性が崩れたのが分かった。
「待っ、あぅっ!」
制止の声を無視して律動を開始すれば、西明の瞳から涙が零れた。
ぐちゃぐちゃと響く淫猥な音。
手を噛んで声を殺そうとするので、指を絡めて畳に縫い付ける。
ある一点を突けば、中がギュッと絞まって西明が悲鳴を上げた。
「くっ」
中の動きが吐精を促してくる。
耐えながら腰を動かせば、西明は嫌だ嫌だと懇願するように頭を振った。
その幼い素振りに、ゾクリとする。
「西明、西明……もっと」
もっと貴女の素を見せて下さい。
いつも纏っていた無欲さも、冷静さも、無表情も剥がれ落ちれば良い。
俺にだけは、泣いて、喘いで、欲に溺れた姿を見せてくれ。
「く、す……あっ!」
もう嫌、と泣く西明に、自身も追込みをかける。
まとわりつく肉壁と、その熱さに、俺はすぐに絶頂を迎えた。
いつもよりも酷く扱ったからだろう、西明はぐったりとしていた。
西明の腹に掛かっている自身の精液を拭っていると、西明は擽ったいらしく、身を捩った。
「何か、飲みますか?」
「み、ず……」
カラカラに咥内が渇いているのだろう、西明は擦れた声でそれだけを言った。
普段よりも低く聞こえるその声に、先程の高い声はどこに行ったのかと思う。
水を一杯差し出せば、美味しそうに飲んだ。
「正月から、散々だ」
もう寝る、と言う西明。
その動きは腰を庇っていて、西明の身体に自分を刻んだという大きな充足感と、少しの罪悪感が生まれた。
「寝正月に、しましょう。初詣も、行きましたし」
同じ布団に入り込めば、西明にジロリとねめつけられる。
西明は着物を着るのも面倒だと言って、まだ裸の状態だ。
「このほうが、温い、ですよ」
「身の危険を感じるのだが」
「今の西明には、しませんよ」
「起きた時は?」
「分かりません」
西明は、出ていけ、と言って布団から俺を追い出そうと俺を蹴る。
けれど、抱き締めてみれば、あっという間に抵抗は止まった。
胸元に納まった西明の髪を撫でていれば、俺の胸に額を当てて、ふぅと息を吐いた。
「今日は辛かった」
西明がぽつりと言う。
「久々だったので、自制が、効きませんでした」
「次は、今日みたいのは止してくれ」
「今から、良くしましょうか」
「私の身体が持たない。眠たいんだ。おやすみ」
西明は本当に眠たかったのか、すぐに寝息をたて始めた。
よく考えれば、昨日の朝からずっと起きていて、夜に初詣に行ったのだ。
疲れて当然だろう。
特に、西明は規則正しい生活をしているから、日付を跨いで数刻経った今は眠くて仕方がないはずだ。
西明を抱き締めて、俺も目を閉じる。
初夢で、西明と中睦まじくしているのを見られたら良い。そう、思った。
〜終〜
年末年始ネタで、『女主で姫始めを!』というコメントを頂いたので書いてみました。
グダグダで済みません。
エロが書けなくなっていました。
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