はいでえ!比嘉中!! | ナノ
トマト:ほのぼの:全員
庭にある菜園に、トマトが鈴なりに出来た。
熟す時期が同じだから仕方ないけど、それでも出来た量が今年は半端ない。
近所に配ってもまだまだあるトマトをビニール袋につめて、チャリの籠に入れる。
「なまからいじちゅーん」
チャリを跨いでペダルを漕ぐ。
アブラゼミが耳に痛い位啼いていて、試しに街路樹を一本蹴ってみる。
すると予想以上に落ちる奴や飛び立つ奴がいた。
チャリを飛ばして着いた先は中学校。
チャリ置場に甲斐がいて、よぉ、と手を挙げて挨拶をする。
「うきみそーち」
「うきみそーち。トマト?」
目聡くも籠に入った大量のトマトを見つけた甲斐は近づいてきて、中を覗いておおっと言う。
「てぃーち、じょうとう?」
「おー、かめ」
やった!と言ってトマトを一つ取った甲斐はシャツでトマトを研くと、噛り付いた。
「まーさん!凛ぬうすぬーが作ったぬ?」
「おう」
ラケットとユニフォーム、それからトマトが詰まったビニール袋を持って部室に向かう。
甲斐はすぐに食べ終わり、ご馳走様、と言った。
「うきみそーち」
中にいる部員が一斉に挨拶を返してくる。
テーブルにビニール袋を置くと、すぐに皆反応する。
「お!トマト!」
「にふぇーでーびる!」
「しーじゃーぬ庭に出来たんですか?」
「おう」
「キャプテン、かんでじょうとう?」
「練習後にしなさいよ」
「えー」
「えー、じゃないよ。冷えてたほうが美味しいでしょ」
トマトに手を伸ばしていた田仁志や新垣が見てすぐ分かるくらいにしょぼくれている。
甲斐はすでに食べてしまったが、知らんぷりを決め込んでいる。
「冷蔵庫に入れておきますね」
「入るか?」
冷蔵庫は最近調理実習室のが新調されるからというので、ボロいのを貰って来た。
それまでは某引っ越しセンターのプレゼンとよろしくな商店街のくじ引きで当たった小さな冷蔵庫を使っていたから、それに比べたら断然大きい冷蔵庫に皆はしゃいだ。
冷凍庫にはガリガリ君が詰まっている。
冷蔵庫はペットボトルやプリンが入っててトマトを入れる隙間が無かったように思う。
「今は飲まないペットボトルを出せば良いでしょ」
「おお、流石永四郎」
手伝うつもりで冷蔵庫に向かうと、知念が先にユニフォームに着替えた方が良いよと言った。
「んじゃ、よろしく」
知念は冷蔵庫の前にしゃがんで中からペットボトルを出していく。
家で散々食べてたからトマトに少し飽きているけど、部活後に食べる冷えたトマトと特別うまいんだろうなと思った。
なまからいじちゅーん=いってきます
うきみそーち=おはよう
てぃーち=一つ
じょうとう?=良い?
かめ=食え
まーさん=美味しい
うすぬー=おばあちゃん
にふぇーでーびる=ありがとう
しーじゃー=先輩
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